神戸の訪問看護師 藤田 愛さんのコラム
千分の一のコロナの訪問看護③
投稿日:2021.05.29
※原文およびその他の投稿内容については、藤田さんのフェイスブックでお読みいただけます。
1000分の一のコロナの訪問看護③
ずっと電話してるけど出ないんです
聞かせてくれるなともよぎりながら
分かりました、見てきます
真っ暗で呼び鈴に反応なし
耳をすませても物音一つしてこない
あかん、またか
階下に降りる階段に足をかけた時
背中に聞こえる「ガチャ」
電話つながらんから心配してみにきました
呼吸数50 酸素飽和度85 ハーハー肩で息する
たまりかねた本人が救急車呼んでも、そりゃそうだ空床なければ不搬送しかない
廊下の隅っこでいいから入院させて下さい、あのお母さんの言葉は今の私の言葉となる
保健師さん、何人にも聞いていると思いますが、明日生きてないかも知れません。入院必要です。
せめて酸素とステロイドを届けたいが、若くてかかりつけ医など持ってない。
もう今夜できることはない。ここまでが今日の精一杯。
部屋の扉を閉じるといつもと変わらぬ町の風景が広がる。
今見たものは現実じゃなかったかもとうずく心がとぼけ始める。
ずっと二つの世界を行き来している。
コロナはまるで魔法だ、見たものにしか見えない。そこにいるのに足音が聞こえない。
私はまだ正常だろうか。神戸マジやばいって。
帰り道、空腹に気づく、明かりとマクドナルドがありがたい。
(2021.5.3)
つづく・・・
聞かせてくれるなともよぎりながら
分かりました、見てきます
真っ暗で呼び鈴に反応なし
耳をすませても物音一つしてこない
あかん、またか
階下に降りる階段に足をかけた時
背中に聞こえる「ガチャ」
電話つながらんから心配してみにきました
呼吸数50 酸素飽和度85 ハーハー肩で息する
たまりかねた本人が救急車呼んでも、そりゃそうだ空床なければ不搬送しかない
廊下の隅っこでいいから入院させて下さい、あのお母さんの言葉は今の私の言葉となる
保健師さん、何人にも聞いていると思いますが、明日生きてないかも知れません。入院必要です。
せめて酸素とステロイドを届けたいが、若くてかかりつけ医など持ってない。
もう今夜できることはない。ここまでが今日の精一杯。
部屋の扉を閉じるといつもと変わらぬ町の風景が広がる。
今見たものは現実じゃなかったかもとうずく心がとぼけ始める。
ずっと二つの世界を行き来している。
コロナはまるで魔法だ、見たものにしか見えない。そこにいるのに足音が聞こえない。
私はまだ正常だろうか。神戸マジやばいって。
帰り道、空腹に気づく、明かりとマクドナルドがありがたい。
(2021.5.3)
つづく・・・
※藤田さんの著書は台湾でも翻訳出版(写真左)されています。
\ シェア /
シリーズ
他の方が見ているコラム
患者と技術の架け橋 デバイスナースとは?
2024.09.19