ナースマガジン vol.34
【何ぞやシリーズ第28回】オストメイトの食事ーその落とし穴って何ぞや?
投稿日:2021.02.09
オストメイトが抱える悩みの一つに排泄コントロールがあります。皆さん「ストーマを造ったからといって、食事制限はありません」と患者に伝えていると思いますが、食べ方によってはトラブルにつながる落とし穴が潜んでいるかもしれません! 「オストメイトの食事-その落とし穴」って何ぞや?
今までと変わらない というけれど …
もと君、さっきストーマ外来ナースにオストメイトの食事について訊きに行ったら、栄養課の管理栄養士さんを呼んでくれたの。
オストメイトの方たちが、美味しく楽しく食事をするための注意点を教えてくれたから、私たちも覚えておきましょうね。
オストメイトの方たちが、美味しく楽しく食事をするための注意点を教えてくれたから、私たちも覚えておきましょうね。
落とし穴1:食事には特に制限なし
食事についての制限はありません、って嬉しいことなのに何が落とし穴なの?
確かに食材や摂取量に対して具体的な制限はないんだけれど、自分に必要な適正エネルギーを無視して食事量が多すぎたり少なすぎたりするとどうなるの?
太ったり痩せたり…あ、体型の変化に伴って腹壁も変化するっていうことだ!
そういうこと。
そうなると装具のサイズが合わなくなって漏れの原因になることもあるわけ。食欲旺盛の人は「制限なし」といっても腹八分目が大切ね。
そうなると装具のサイズが合わなくなって漏れの原因になることもあるわけ。食欲旺盛の人は「制限なし」といっても腹八分目が大切ね。
落とし穴2:予定に合わせて食事をコントロール
コロストミー(下行結腸、S状結腸ストーマ)で化学療法などしていない患者では、1ぐらいで排便のタイミングがわかってくるみたいだけど、それに合わせて出てほしくない時間帯から逆算して食事時間を決めたりするんじゃないの?
問題なのは、外出先で出ちゃうといやだな、って食事や水分を控えることが日常的になること。特にイレオストミー(回腸ストーマ)の人は脱水や電解質異常を起こしやすいから積極的に電解質を含むドリンクや、失われがちなナトリウムやカリウムを含む野菜スープなどを摂ってほしいの。
ほんとだ!「回腸ストーマでは1日に約800mLの電解質を含んだ水分を喪失する」って書いてある!バナナやスナック菓子も食べた方がいいんだね。
それは多く含む食品例であって、食べる時はバランスよくほどほどに。
落とし穴3:今まで通りに 食べてください
これは早食いの癖のある人の落とし穴。なんだかわかる?
早食いの人ってほとんど噛んでない印象があるんだけど、それかな?
これもイレオストミーの人は 特に気をつけないといけないね。 「フードブロッケージ」といって、食物残渣が腸に溜まって流れを悪くしたり閉塞させることがあるんだ。
便通コントロールに良いといわれる食物繊維だが、オストメイトは食べ方には注意が必要だ。わかめやキノコなどは、細かく切ってよく噛んで食べるように心掛けてほしいね。
便通コントロールに良いといわれる食物繊維だが、オストメイトは食べ方には注意が必要だ。わかめやキノコなどは、細かく切ってよく噛んで食べるように心掛けてほしいね。
フードブロッケージの症状
・痙性腹痛・悪臭を伴う水溶性の排液
・腹部膨満・ストーマの浮腫
・排液量の減少または停止
・嘔気・嘔吐など
・痙性腹痛・悪臭を伴う水溶性の排液
・腹部膨満・ストーマの浮腫
・排液量の減少または停止
・嘔気・嘔吐など
変えたくないのは食を楽しむ気持ち
便秘も下痢も腸管機能が戻ってくれば、ストーマ造設前と同じで、食材、食べ方
、食べる量、水分の摂り方、精神的なストレスなどが影響する。食べ過ぎに注意して、あまり神経質にならずに挑戦してみてもらいたい。もしトラブルが起きたら、その時の食べ方や量などの条件を変えて試してみたら、違う結果になること
もあるんだよね。ほんのちょっとの晩酌を楽しんでいる人もいるし、「今まで通り」の意味をしっかり伝えてオストメイト生活をエンジョイできるように、君たちもしっかりサポートしてほしいな。 (つづく)
、食べる量、水分の摂り方、精神的なストレスなどが影響する。食べ過ぎに注意して、あまり神経質にならずに挑戦してみてもらいたい。もしトラブルが起きたら、その時の食べ方や量などの条件を変えて試してみたら、違う結果になること
もあるんだよね。ほんのちょっとの晩酌を楽しんでいる人もいるし、「今まで通り」の意味をしっかり伝えてオストメイト生活をエンジョイできるように、君たちもしっかりサポートしてほしいな。 (つづく)
■監修
杏林大学医学部付属病院 師長 皮膚・排泄ケア認定看護師 丹波 光子先生
■参考文献
ナーシング・プロフェッション・シリーズ ストーマケアの実践
編著:松原康美 発行所:医歯薬出版株式会社 2007年
杏林大学医学部付属病院 師長 皮膚・排泄ケア認定看護師 丹波 光子先生
■参考文献
ナーシング・プロフェッション・シリーズ ストーマケアの実践
編著:松原康美 発行所:医歯薬出版株式会社 2007年
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