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西山 順博先生の胃瘻(PEG)ケアコラム第1回

PEGの必要性とメリット

PEG(ペグ)ってなんだ?

病気のために口から食事が取れない方が、栄養補給するひとつの方法として、PEGがあります。
PEGは、内視鏡を使って、お腹から胃に通じる小さな穴を開け、ここにカテーテルを通して栄養剤や薬を注入します。
また、PEGは、カテーテルのふたを開けて、胃の中に溜まったガスなども出すことができます。
このようにPEGは、栄養剤を注入するためにつくる場合(栄養目的)と、胃や腸の中の圧を減らすためにつくる場合(減圧目的)があります。
歴史的には1822年にBeaumontが胃ろう治療したことに始まり、1875年にsydney Jonesが施行した胃瘻造設(全身麻酔、開腹下)が最初の成功例とされています。その後長年の月日を経て、1979年にGaudererとPonskyによって、開腹せずに、内視鏡下に胃ろうが施行され、PEG(percutaneous endoscopic gastrostomy)と命名されました。

どうして胃瘻を造るの?

栄養を十分に補給するためです。
食事が十分にできないと人間は少しずつ衰弱していきます。胃ろうを使えば、食べれない人が無理して口から食事しなくても、胃ろうから十分な栄養が補給できます。
例えば、食べるとムセたり、肺炎を繰り返している時や、長い間食欲がなくて栄養不良になってしまっている時などに胃ろうをつくります。

 下記のような場合に胃ろうをつくります。
1)のみ込みがうまくできない。
2)肺炎を繰り返す。
3)食欲がない、食事をしない。
4)食べると状態が悪くなってしまう。
5)現在の栄養療法が続けられない。
6)現在の栄養療法より、胃ろうの方が優れていると判断できる。

どうして高齢者にPEGの必要な方が多いの?

加齢とともに、体の動きはゆっくりになってきます。それは体を動かすための筋力が衰えるからです。食べること、飲み込むことも同じです。加齢とともに歯の数が少なくなるだけではなく、食べるため、飲み込むために関わる口やのどの筋力が弱くなります。
また、何かを飲み込む時、気道(空気の通り道)を閉じて、食道を開く運動を行っていますが、加齢とともにこれらの動きが弱く、ゆっくりとなり、食べ物や飲み物を口に入れてから飲み込みの反射が起こるまでの時間もゆっくりとなります。
一方、水は最も流れるスピードが速く、ペースト状、固形物になるにつれ、流れるスピードが遅くなります。食べ物が喉へ流れ込むスピードが、飲み込みの反射や動きのスピードに勝ってしまった時、閉じていない気道へ入り込んでムセてしまうのです。
高齢者では肺炎の最大の発症原因は”誤嚥”で70歳以上は誤嚥が原因の肺炎は60%に達するといわれています。
このような理由より、食事が十分にできないと少しずつ衰弱していきます。長期にわたる栄養療法には、『胃瘻(いろう)』を用いる方法が最適だと考えられています。


『注釈』
本コラムは以下の第4回HEQ*研究会学術用語委員会報告『PEGに関する用語の統一』に基づいて作成しております。
・PEGの日本語正式名称は「経皮内視鏡的胃瘻造設術」とする。
・PEGは「~造設術」という手技のみに限定するが、便宜上造設された「胃瘻」の意味にも用いてかまわない。従って「PEG造設」という用語は正しくないが、臨床現場では許容される。
・同様に用語的には正しくないものの、PEGに関連した医療行為に「PEG~」という語句を添えることも臨床現場では容認される。例:PEG交換、PEG栄養、PEG管理など

*HEQ(Home Health Care, Endoscopic Therapy and Quality of Life)
PEG在宅医療研究会(HEQ):http://www.heq.jp/

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