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認定看護師さんインタビュー企画

認定看護師さんインタビュー企画~斉藤浩子さん(慢性呼吸器疾患看護認定看護師)~

投稿日:2013.11.25

今回は、慢性呼吸器疾患看護認定看護師2期生として、2013年7月に認定資格を取得され、日本医科大学武蔵小杉病院の内科病棟で活躍されている、斉藤浩子さんにお話を伺いました。

■認定看護師を目指すきっかけは、なんだったのでしょうか?

人の役に立つ仕事として看護師を選び、日本医科大学永山病院へ入職しましたが、系列の千葉北総病院が翌年開院するということで声をかけられ、新病院の立ち上げに加わりました。
集中治療室に配属され、急性期の呼吸器疾患患者さんにも数多く関わってきました。苦しそうな患者さんたちが、体位ドレナージや吸引、排痰といった看護処置によって状態が改善し、楽になって落ち着いてゆくのを目の当たりにして興味がわき、まず呼吸療法認定士の資格を取りました。

その後、武蔵小杉病院に異動し、内科の外来に配属されました。内科全般の患者さんが受診されるので、呼吸器疾患の患者さんに対して、ゆっくり指導する時間はありませんでした。
そんな中、認定看護師の制度が出来て、やってみたい気持ちが半分、今から始めるのはちょっと難しいかなという気持ちが半分で、心が揺れていたのですが、迷っているならやってみては、と強力に背中を押してくれたのが、看護部長でした。

■認定資格を取得するまで、いろいろ大変だったそうですが?

まずは説明会に参加して、願書の準備をしたわけですが、一緒に課題として自分の体験した5症例のレポートも送らなければならず、勤務の合間を縫っては病棟に通い、なんとか用意することが出来ました。
試験勉強は、過去問に沿って行いました。
といっても、私が受験する段階では1期生が誕生したばかりでしたから、その時の過去問しかないわけです。
解剖、生理、アセスメントなど、問題を読みながら重要なのはどういうことか、自分なりに山をかけつつ(笑)、勉強していきました。
結果、合格することができたのですが、研修が始まるまでにも、やっておくことがたくさんありました。呼吸器疾患専門の資格を取りにいくのですから、できるだけ多く、慢性呼吸器疾患の患者さんについての情報を蓄えておこうと思ったのです。

そしていよいよ研修がスタートしました。動きまわっているのが商売の様な看護師が、座学のために1日中椅子に腰かけて勉強するわけですから、最初はそのギャップも大きかったですね。
課題や提出物を次から次へとこなしていかなければならず、パソコンも使いこなせていない私が大丈夫なんだろうか、途中でふるい落とされてしまうのではないか、という思いに、常に追いかけられていました。

でも同期の仲間同士、情報交換をしたり資料を教えあったりしながら、何とか乗り越えることが出来ました。

現在は半年間の研修を終え、再び武蔵小杉病院に戻り、内科の病棟ナースとして勤務しています。
呼吸器科専門の病棟ということではなく、内科全般の入院病棟の中で、いかに慢性呼吸器疾患の患者さんに寄り添って専門性を活かした指導が出来るか、まだ試行錯誤している段階ではありますが、外来受診という「点」ではなく、入院という「線」で患者さんと向き合うことができるので、面会に来られるご家族も含めた各患者さんの情報を、できるだけ集めて、看護に活かすよう心がけています。

■慢性呼吸器疾患患者さんの看護では、どんなところがポイントになりますか?

慢性呼吸器疾患の患者さんたちは、普段から少し息苦しく、呼吸困難を生じると、苦しくてパニックを起こしやすいんですね。
でもひと山越えればまたご自宅や施設で過ごしている事が多いですから、苦しくなったときに楽になる呼吸法や姿勢など、セルフコントロールの指導が大切になります。
動くと苦しくなるので動かない、動かないことで機能が低下する、機能が低下するのでちょっとした動作でも苦しくなる、そんな悪循環に陥らないように、支援していく必要があります。
呼吸筋を使うためには、それを動かせるだけのエネルギー、つまり栄養が必要です。入院患者さんで食べる量が少なくなって栄養不良が疑われる場合には、栄養科に相談します。
状況を把握した栄養士さんから、「おやつやデザートに、高カロリーで口当たりの良いアイスクリームやプリンをつけてみましょうか」という提案を受けることもあります。

また、呼吸や個々の状態に合った運動療法も取り入れて、可能な範囲で動くことも大切です。

奥様が呼吸器疾患を抱えていて、ご主人がとても心配されていた患者さんを担当したことがあります。奥様は台所に立って自分の好きなものを作りたいと言い、ご主人は心配して、そんなことしなくていい、また苦しくなったらどうするんだ、と止めに入る。
でも台所に立って炊事をしたいという奥様の希望があり、体力的に無理のない範囲であれば、それが生活の中でのリハビリテーションになるのです。
精神的な満足感も奥様は感じておられたと思うのですが、今度は娘さんが「そこまで出来るんだったら、洗いものもやってもらったら?」と言い出しました(笑)。

本人の希望と体力のバランスを考慮して、ご家族も含めて適切なケアを指導すると共に、またいつ苦しくなるかわからない不安と闘いながらリハビリを頑張っている患者さんの精神的なサポートも必要だと感じます。

病棟で、患者さんの日常に接していることから学ぶことが、たくさんあるのではないかと思います。

■これからどんなことを目標にしていらっしゃいますか。

認定資格を病院内の看護に活かしたいと思う反面、まだ現状の把握と、今何が課題なのかを探っている状態です。
仲間の病棟看護師たちが、認定看護の資格の有る無しに関わらず、呼吸器疾患患者さんへ同じレベルの看護を提供できるよう、看護力の底上げはしていきたいですね。
また、状態が良くなれば退院してゆく患者さんたちが、その後どういう環境の中でどのような生活をしていくのか、現在はフォローできていません。
退院指導にもかかわりたいですし、訪問看護ステーションとも連携していきたいですね。
患者さんやご家族にとって、病院での入院治療、退院後の在宅療養、定期検査や具合が悪くなったときの外来受診、それらがすべてつながっていることがわかれば、どんなに安心でしょう。

病院と患者さんが生活している地域をつなげるために、将来的に「看護外来」を設けて、退院後の患者さんやご家族の不安や疑問にも応えていけたら、と思っています。

■最後に、認定看護師を目指そうか迷っている方に、一言アドバイスをお願いします。

私自身の体験から、「迷っているならチャレンジすべき!」と言いたいですね。
研修はハードでしたが、得るものはそれ以上にありましたから。不安はあるでしょうが、やらざるを得ないので、クリアできてしまうのです。
第2期生として一緒に研修を受けた看護師仲間とは、今でも連絡を取り合っています。
スマートフォンのコミュニケーションアプリ「LINE」を活用して、「みなさんの病院では、こんなときどうしていますか?」と質問をすると、「うちはこんな風に対応しています」といった情報を寄せてくれるので、とても参考になります。
そういう仲間と出会える貴重な機会を、是非とも逃さないでほしいですね。

<斉藤さんがご活躍されている病院>

日本医科大学武蔵小杉病院
〒211-8533神奈川県川崎市中原区小杉町1-396

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