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専門家Q&A

ラップ療法について

ご質問

在宅医療で、お金がかからない、ラップ療法というものに興味がありますが、
どういった創が適用なのか、浸出液が多いものにも使えるのか。
実際の具体的に使い方を、アセスメントの方法と、管理も含めて教えてください。

専門家の見解

私は総合病院に勤務しているため、創傷被覆材や薬剤など環境が整っているためと合併症のリスクが否定できない為、推奨することはできないのですが実際には在宅で多く使用されているようです。
個人の印象ですが、当初のラップ療法と今のラップ療法は進化しているように思います。
以前の印象は過度な湿潤状態になってしまい感染のリスクも上昇・悪化・・・というものでしたが、現在は感染創や滲出液の多い創にはラップに穴をあけて使用し、上からガーゼや尿取りパットなどの吸収体を使用して管理するのが一般的なようです。
感染もなく滲出液もコントロール取れていれば穴なしラップ、感染している又は浸出液が多い場合には穴あきラップというのが使い分けの様です。しかしながら、スキンケアの基本である洗浄は毎日行い、創状態を見極め悪化傾向であれば使用を中止し、薬剤使用へ変更していくことも必要と考えます。
私では回答に不足がありますので、ラップ療法の参考本をご紹介させていただきます。

これでわかった!褥瘡のラップ療法―部位別処置事例集 [単行本] 
鳥谷部 俊一 、三輪書店

専門家の見解

ご質問のような「開放性湿潤療法」(いわゆるラップ療法)については、非医療材料を用いた創傷治療法なので、適応や方法などが確立されたものではありません。現時点ではあくまでもイレギュラーな方法(保険診療からはずれる方法という意味で)であり、管理方法については検証が不十分とされています。最近、日本褥瘡学会から、いわゆるラップ療法の見解が出され、8月26~27日に開催された同学会学術集会では、これを「開放性湿潤療法」と呼んでシンポジウムがなされました。次回の褥瘡ガイドラインには何らかの形でその評価を掲載するようです。
結論から言うと、その評価を待ってから現場に取り入れることを検討されてはいかがでしょうか。

とりあえず、ラップ療法のコンセプト(創を乾かさない)をある程度取り入れたいと思うのであれば、このような方法はどうでしょうか。
使用中の軟膏類はそのまま継続可能です。
→1)いままで使用していたものがガーゼであれば、それを吸収パッド(製品名:メロリンやデルマエイドなど)+医療用ポリウレタンフィルム材にする。なければ高分子吸収ポリマーが入ったパッド類(尿とりパッドや女性用ナプキンなど)を直接あてる。創の大きさや浸出液に応じて選んでください。そして、「創は乾かず、周囲の皮膚は湿潤せず」を目標に、適宜そのパッドを交換する。この交換頻度がポイントです。あまり長く持たせようとしないでください。パッドを重ねると、その厚みで創部に圧迫がかかってしまうので注意が必要です。
2)さらに一日一回は石鹸とたっぷりのお湯で周囲皮膚を洗浄してください。
3)創の周囲の皮膚は、できれば撥水性クリームなどで保護して下さい。
4)感染が疑われる場合は、抗菌作用のある薬剤等を医師の指示のもとで使用して下さい。
なお局所管理ですので、主治医の管理のもとで行ってください。

考え方としては、現在の方法から一歩、被覆材料を進化させるということです。
はじめておこなう場合は、壊死組織が無く、感染徴候の無い創を選択されると良いと思います。

ご期待にそえる回答では無かったかもしれませんね。
在宅での褥瘡管理が、制度的にもっと前進することを期待したいです。
以下、ご参考までに。↓↓

日本褥瘡学会「ラップ療法の見解」
www.jspu.org/jpn/info/pdf/20100303.pdf

特定非営利活動法人・創傷治癒センター
www.m3.com/open/iryoIshin/article/124396/

こちらの記事は、会員のスキルアップを支援するものであり、患者の病状改善および問題解決について保証するものではありません。
また、専門家Q&Aにより得られる知識はあくまで回答専門家の見解であり、医療行為となる診療行為、診断および投薬指導ではございません。
職務に生かす場合は職場の上長や患者の主治医に必ず相談し許可を取ってから実践するようお願いいたします。
専門家Q&Aを通じて得た知識を職務に活かす場合、患者のの心身の状態が悪化した場合でも、当社は一切責任を負いません。
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