専門家Q&A
胃内容物の漏れに悩み、研究しようと考えています
ご質問
胃瘻(瘻孔)からの胃内容物の漏れに対して、規格の変更、ティッシュのこよりの使用、化粧用パフにY割を入れ使用する、などがあることを知りました。
まだ実施には至っていませんが…
胃瘻(瘻孔)からの漏れにあたって、
1.ガイドラインのようなものはありますか。
2.胃瘻(瘻孔)からの漏れを少なくするような、有効な対処を考え(実践し)エビデンスを出せた研究がありますか。
3.この研究を看護師がすすめるなら、何かしらアイデアがありませんか。
乱文失礼しました。よろしくお願いします。
まだ実施には至っていませんが…
胃瘻(瘻孔)からの漏れにあたって、
1.ガイドラインのようなものはありますか。
2.胃瘻(瘻孔)からの漏れを少なくするような、有効な対処を考え(実践し)エビデンスを出せた研究がありますか。
3.この研究を看護師がすすめるなら、何かしらアイデアがありませんか。
乱文失礼しました。よろしくお願いします。
専門家の見解
1.ガイドラインは存在しません。
2.漏れを少なくするための論文は多くありますし、看護研究もされており、HEQ研究会、JSPENなどで発表されています。その代表が固形化栄養であり、エビデンスとなっています。
我々の施設での漏れに対する考え方:
まず、漏れの性状を確認しましょう!漏れてくるのが、栄養剤なのか消化液なのかによって対策が変わります。栄養剤であれば、注入量やスピードの調整が必要ですし、胃液であれば胃酸分泌抑制剤や消化管運動促進薬の投与が有用です。尿検査で使用する試験紙でpHや糖の有無を確認する方法も参考になります。軽度の漏れには、 スキンケアの基本が重要です。
漏れの原因には①体位による漏れ、②腹圧上昇、③ろう孔部の圧迫虚血、④ボタン型の逆流防止弁の破損・つまり、⑤ろう孔開大、⑥その他 があり、それぞれ対処法は異なります。
昨年、我々の考え方をまとめたものを、日本コヴィディエン社が上級者向けに資材をつくってくれました。ご活用ください。
PEGスキンケアポケットブック
http://www.covidien.co.jp/product_service/catalog/sherwood/peg_skincare_201206/index.html#page=1
CHECK SHEET
http://www.covidien.co.jp/product_service/pdf/sherwood/NCV_PEG_Skincare_Pocket_Book_Check_Sheet_201206.pdf
3.我々の施設は大人の方が多く、上記でほとんど対応が可能です。
ただ、ねぎぼうずさんのご施設でお困りの重篤な漏れの方は、⑥その他が多いのでは。
おそらく側彎の強いPEGを造設するのもやっとの患者さんが多いのではないでしょうか?
全国にもお困りの方が多くおられることと思いますので、そのあたりに的を絞っての研究がありがたいと思います。
子供さん特有の側彎などの変形の強い方、体動・痙攣の多い方が漏れの原因です。現段階では固形化とPEG-Jが解決策になるとは思いますが、個人的には、このような方は、PEGではなく、経皮経食道胃管挿入術(Percutaneous Trans-Esophageal Gastro- tubing; PTEG)の適応ではないかと思っています。
以上参考になれば、幸いです。
2.漏れを少なくするための論文は多くありますし、看護研究もされており、HEQ研究会、JSPENなどで発表されています。その代表が固形化栄養であり、エビデンスとなっています。
我々の施設での漏れに対する考え方:
まず、漏れの性状を確認しましょう!漏れてくるのが、栄養剤なのか消化液なのかによって対策が変わります。栄養剤であれば、注入量やスピードの調整が必要ですし、胃液であれば胃酸分泌抑制剤や消化管運動促進薬の投与が有用です。尿検査で使用する試験紙でpHや糖の有無を確認する方法も参考になります。軽度の漏れには、 スキンケアの基本が重要です。
漏れの原因には①体位による漏れ、②腹圧上昇、③ろう孔部の圧迫虚血、④ボタン型の逆流防止弁の破損・つまり、⑤ろう孔開大、⑥その他 があり、それぞれ対処法は異なります。
昨年、我々の考え方をまとめたものを、日本コヴィディエン社が上級者向けに資材をつくってくれました。ご活用ください。
PEGスキンケアポケットブック
http://www.covidien.co.jp/product_service/catalog/sherwood/peg_skincare_201206/index.html#page=1
CHECK SHEET
http://www.covidien.co.jp/product_service/pdf/sherwood/NCV_PEG_Skincare_Pocket_Book_Check_Sheet_201206.pdf
3.我々の施設は大人の方が多く、上記でほとんど対応が可能です。
ただ、ねぎぼうずさんのご施設でお困りの重篤な漏れの方は、⑥その他が多いのでは。
おそらく側彎の強いPEGを造設するのもやっとの患者さんが多いのではないでしょうか?
全国にもお困りの方が多くおられることと思いますので、そのあたりに的を絞っての研究がありがたいと思います。
子供さん特有の側彎などの変形の強い方、体動・痙攣の多い方が漏れの原因です。現段階では固形化とPEG-Jが解決策になるとは思いますが、個人的には、このような方は、PEGではなく、経皮経食道胃管挿入術(Percutaneous Trans-Esophageal Gastro- tubing; PTEG)の適応ではないかと思っています。
以上参考になれば、幸いです。
Thanks.
西山 順博先生・望月 弘彦先生 ご回答ありがとうございます。 当院では、胃瘻の患者様は、ほとんど半固形栄養剤を使用しています。漏れの内容は、おそらく両方(栄養剤・胃液)だと考えられます。というのも、先生方のお察しの通り、側彎や不随意的な筋緊張・運動により、PEGに過剰な不可がかかってしまい、胃内容物が漏れてしまっていると思われます。何とか、不随意運動があってもPEGへのストレスを解消できれば良いのになぁ…、なんて悩んでいるところです。 いろいろな参考資料、報告書、ありがとうございます。もっと勉強して、有意義な研究にしたいと思います。 お忙しいところ、ご指導感謝いたします。
専門家の見解
研究のアイディアについて少し触れます。
西山先生がおっしゃるようにPTEGも一つだと思いますが、PTEGでも瘻孔周囲のびらんが問題になることがあるようです。
高齢者で脊椎の変形が強い方で、PEG-J:経胃瘻的空腸瘻に変更して胃・食道逆流を改善できることがあります。
トライツ靱帯より肛門側の空腸にチューブの先端を留置すれば胃への逆流を減らすことができるので
その結果としてPEGカテーテル挿入部からの漏れを減らすことができる可能性があるのではと思います。
ただし、空腸投与では投与速度に注意する必要があるので、経管栄養用のポンプを用いて、
長時間かけての注入となります。
一方で逆流しにくいので注入中の安静の必要性は少なくなります。
参考資料です。
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2012/07/13/1323015_8.pdf
小児を対象とした国の研修資料です。
225ページに漏れについての記載があります。
(高齢者向けのものが厚生労働省のサイトで見つけましたが、小児向けは文部科学省なのですね)
http://www.ncchd.go.jp/center/information/entrust/h23-22s-2.pdf
国立成育医療研究センターの年次研究報告書
胃内圧モニターも研究しているようです。
http://kanagawa-pho.jp/osirase/byouin/kodomo/download/pdf/network/num18.pdf
神奈川県立こども医療センター
http://ci.nii.ac.jp/naid/110007682253
長野県立こども病院外科
どちらもミキサー食の経管投与に触れていますが、漏れについての記載はありません。
半固形化栄養剤を使用する前には、X線造影で胃の排泄能を確認する必要がありますね。
小児での半固形化栄養剤の使用経験はあまり多くないとメーカーの方から聞いたことがあります。
そういった点もあってミキサー食が好まれるのかもしれません。
なかなか難しいテーマですが、頑張って下さい。
西山先生がおっしゃるようにPTEGも一つだと思いますが、PTEGでも瘻孔周囲のびらんが問題になることがあるようです。
高齢者で脊椎の変形が強い方で、PEG-J:経胃瘻的空腸瘻に変更して胃・食道逆流を改善できることがあります。
トライツ靱帯より肛門側の空腸にチューブの先端を留置すれば胃への逆流を減らすことができるので
その結果としてPEGカテーテル挿入部からの漏れを減らすことができる可能性があるのではと思います。
ただし、空腸投与では投与速度に注意する必要があるので、経管栄養用のポンプを用いて、
長時間かけての注入となります。
一方で逆流しにくいので注入中の安静の必要性は少なくなります。
参考資料です。
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2012/07/13/1323015_8.pdf
小児を対象とした国の研修資料です。
225ページに漏れについての記載があります。
(高齢者向けのものが厚生労働省のサイトで見つけましたが、小児向けは文部科学省なのですね)
http://www.ncchd.go.jp/center/information/entrust/h23-22s-2.pdf
国立成育医療研究センターの年次研究報告書
胃内圧モニターも研究しているようです。
http://kanagawa-pho.jp/osirase/byouin/kodomo/download/pdf/network/num18.pdf
神奈川県立こども医療センター
http://ci.nii.ac.jp/naid/110007682253
長野県立こども病院外科
どちらもミキサー食の経管投与に触れていますが、漏れについての記載はありません。
半固形化栄養剤を使用する前には、X線造影で胃の排泄能を確認する必要がありますね。
小児での半固形化栄養剤の使用経験はあまり多くないとメーカーの方から聞いたことがあります。
そういった点もあってミキサー食が好まれるのかもしれません。
なかなか難しいテーマですが、頑張って下さい。
Thanks.
不慣れで、西山先生の回答に、まとめたお礼になってしまい申し訳ありませんでした。ほんと恥ずかしい… 当院では、pegからミキサー食を注入することは、去年の秋くらいから、何例か開始したところです。 すみません。再度お礼コメントさせていただきます。 望月先生、西山先生、お忙しい中ご回答ありがとうございました。
こちらの記事は、会員のスキルアップを支援するものであり、患者の病状改善および問題解決について保証するものではありません。
また、専門家Q&Aにより得られる知識はあくまで回答専門家の見解であり、医療行為となる診療行為、診断および投薬指導ではございません。
職務に生かす場合は職場の上長や患者の主治医に必ず相談し許可を取ってから実践するようお願いいたします。
専門家Q&Aを通じて得た知識を職務に活かす場合、患者のの心身の状態が悪化した場合でも、当社は一切責任を負いません。
本サイト内に掲載された情報の正確性および質については万全を期すものの、常に全ての場合に有効とは限らず、また、本サービスの利用の結果、万が一会員が不利益を被ったとしても、当社は当該不利益について一切の責任を負わないものとします。
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2015.08.07