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専門家Q&A

看護師による爪きりの現状について

ご質問

訪問看護と訪問入浴の看護師をしています。爪きりのケアについて、現在異なった問題を抱えています。それは、爪きりが医療行為かどうかということなのですか゛・・・。
訪問看護を行っている介護付き住宅型老人ホームでは、爪きりが医療行為とされ、介護士は絶対に行ってはならず、看護に一任されています。
一方、訪問入浴では、医療行為はしないという会社の方針にも関わらず、爪切りはするよう徹底を促されます。どちらもパート・アルバイトのため責任は自己責任になり、自己保身も考えねばなりません。
看護ケアの多くは、奉仕の精神と良心による事が多いと思います。
やってもやらなくてもプラス評価は少なく、ミスした時のマイナス評価や責任追及が重いのが現状です。
私は、爪きりは日常生活の援助と思いますが、今の時代はそう簡単ではないようです。
今医療は、加速度的に在宅や施設へと移ってきています。
専門家として、このような状態をどう思われますか?ぜひご意見をお聞かせください。
安心して爪きりの行える方法、知識と技術、法的な保護などの裏づけが欲しいので、投稿させていただきました。よろしくお願いします。

専門家の見解

看護と介護で、携わる方の見方に温度差があるというのは、よくわかります。して差し上げたいのにできない、してもしなくてもマイナスの評価に偏りがちというのは、なんともいたたまれない気持ちになりますね。
では、根拠を私見も含めてお答えしたいと思います。
まず、爪切り自体は医行為(医療行為)にはあたりません。
厚生労働省から2005年に、爪や爪周囲の皮膚の異常がなく、糖尿病などの専門的管理を必要としない場合、爪切りや爪へのヤスリがけをすることは医行為としない、と示されています。ですので、健康で疾患の無い爪を切ることは、介護職の方であっても、無資格の方であっても行っていい行為です。
ただ、ある調査では、爪切りによる出血の頻度は高いようですので、たとえ医療専門職である看護師であっても、侮れない行為であることはお分かりかと思います。
訪問入浴で爪切りをする、というのは、介護報酬云々というよりはサービスの一環として行っているのでしょうが、ご利用者様側としては、とてもありがたいケアのように思います。
訪問入浴を受けている高齢者が、巧緻性の高い爪切りを自分で行ったり、介護を行う家族がそれを容易にできるとは想像しにくいです。ただ、そうした方々の爪は、おそらく爪白癬の罹患率が健康な方よりは高いように思うので、その際に誰が爪切りを行うのか、という部分が課題になると思います。
 そうした場合、やはり看護師が行う業務になります。連花さんがお勤めの訪問入浴では、爪切りでの事故に関しては、どのように対応されているのでしょうか。
もし実施して出血などをしてしまった場合は、やはり事業所に報告し、どう対応していくべきかを協議することが適切かと思います。また、個人としてできることは、看護行為で起こした事故についての自賠責保険に個人で加入をしておく、ということも必要かと思います。
 看護雑誌「臨床看護」の2013年1月号で「リスクマネジメントとフットケア」という特集号を組んでおりますので、もし興味があればご覧ください。
また、安心した爪きりに関しては、書籍で学べる部分もありますが、実際に習いたい、ということであれば、私も看護師や認定看護師向けの研修を個別に行ったりしていますので、よろしければ個別にお問い合わせいただければ幸いです。
いずれにしても、連花さんや周りの方々が、安心して安全にケアを続けていけることを願っております。

こちらの記事は、会員のスキルアップを支援するものであり、患者の病状改善および問題解決について保証するものではありません。
また、専門家Q&Aにより得られる知識はあくまで回答専門家の見解であり、医療行為となる診療行為、診断および投薬指導ではございません。
職務に生かす場合は職場の上長や患者の主治医に必ず相談し許可を取ってから実践するようお願いいたします。
専門家Q&Aを通じて得た知識を職務に活かす場合、患者のの心身の状態が悪化した場合でも、当社は一切責任を負いません。
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