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専門家Q&A

夫婦認知症 内服管理

投稿日:2012.01.13

ご質問

夫婦で認知症があります。訪問看護で内服管理していますが、カレンダーにセットした薬を過剰に服用してしまうため、毎日看護と介護のどちらかのサービスが入り、内服介助しています。しかし、その薬を見つけだしサービス介入時にすでに服用しており過剰服用が心配です。内服を隠してしまうことで物を隠されたと被害妄想が悪化してしまう可能性もあり、内服管理に困っています。

専門家の見解

夫婦で認知症であり、薬の管理が難しい事例は昨今大変に増加してきております。
また、薬の他者管理による被害妄想も私自身も経験しております。
これは、場面場面によって対応が異なるので、私が体験した事例での対応をお話しさせていただきますと、

①薬剤の見直し ②薬剤の一包化 ③居宅療養管理指導の導入

の3点を導入いたしました。

まず①の薬剤の見直しですが、過剰服用が心配のため医師と相談して認知症の薬など変更可能なものは内服薬から外用薬の変更をお勧めいたします。
去年、認知症の薬も多く発売され、貼り薬も発売されておりますのでこちらへ切り替えを行うことによって、過剰服用の問題が軽減されました。
(これは、貼付薬をどなたかが毎日貼り替えを行える今回のような事例のみではありますが・・・)
また薬剤(例えば血圧の薬など)を1日1回の薬に変更することによって、訪問看護・介護のスタッフの皆様が薬の管理がしやすくなると思います。

次に②薬剤の一包化です。
一包化とは薬を一回服用ごとに分包することです。
これは単に医師の指示によって薬局で一包化を行う作業ですが、薬局によって一包化の仕方が異なります。
処方せんはどこの薬局でも対応してもらえるので以下のような一包化をしてくれるような薬局に頼むといいと思われます。

 1)名前・用法・服用日を分包紙に印字

 2)用法(朝・昼・夕・寝る前)によって分包紙に色を塗って色分け

 3)必要時は錠剤・散剤の両方とも一包化

これは、過剰服用した場合などに服用日をいれることによって、過剰に服用してしまった日や量が同定しやすいということ。
分包紙を色分けすることに患者様本人への視覚的効果で誤薬を防げる可能性があるからです。

③最後に医師と相談して、調剤をお願いしている薬局に居宅療養管理指導をお願いし、週に一回は必ず薬のセットや服用の管理や対策を立てるようにしてもらいましょう。患者様毎に薬のセットの一番いい方法が違うので、薬剤師も臨機応変にどのようなセットをすればいいかも合わせて提案・準備してくれます。

 ですので、薬局の選択の必須項目に居宅療養管理指導ができるかもあげられます。
まれに断る薬局さんも残念ながら存在していますので・・・。

①~③の実行で、訪問看護・介護の皆様も少し肩の荷があり、私たち薬剤師としては腕の見せ所ということで、チーム医療として在宅業務が回っていきます。
しかし、必ずしもうまくいく場合ばかりではないので、粘り強く職種間で案を出し合うコミュニケーションの場を持つことも大切だと思います。

こちらの記事は、会員のスキルアップを支援するものであり、患者の病状改善および問題解決について保証するものではありません。
また、専門家Q&Aにより得られる知識はあくまで回答専門家の見解であり、医療行為となる診療行為、診断および投薬指導ではございません。
職務に生かす場合は職場の上長や患者の主治医に必ず相談し許可を取ってから実践するようお願いいたします。
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