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専門家Q&A

PEG造設後の栄養剤の量と種類について

ご質問

当院では、PEGを造設したらパスを使用しています。造設後1日目は白湯注入のみ、2日目から液体栄養剤(ラコール200ml)を3回/日開始することになっています。胃食道逆流予防のため、可能であれば、半固形栄養剤へ変更していますが、PEG造設後はおよそどのくらいから半固形栄養剤を注入するのが妥当でしょうか?また、追加水の白湯は100ml/hの指示になっていますが、カテーテルチップでの短時間ショット注入は可能でしょうか?また、長期絶食期間患者とPEG造設前までNGチューブで経腸栄養をしていた患者とでは、消化管の状態が違うと思うのですが、PEGのパスも2通りあった方がいいのでしょうか?教えてください。

専門家の見解

>胃食道逆流予防のため、可能であれば、半固形栄養剤へ変更していますが、
PEG造設後はおよそどのくらいから半固形栄養剤を注入するのが妥当でしょうか?

PEG造設前に経鼻経管栄養を行われていることが多いと思います。
その際に、胃・食道逆流などでREF-P1+K4Sの投与を行って、
胃内で半固形化を行っている症例や、造設翌日の造影で胃・食道逆流を認めた症例では、
その日の夜から半固形化製剤を投与しています。
その場合、私は下記のように増量しています。
 造設翌日  300kcalx1回
 2-3日目  300kcalx2回
 4日目以降 300kcalx3回
 7日目以降 必要エネルギーまで100~200kcalずつ増量
液体タイプの栄養剤と半固形化製剤で注入開始時期を変える必要はないと思います。
ただし、注入前の胃内残渣量の確認と腹部膨満などの症状には注意が必要です。
一番の問題は瘻孔周囲のもれとそれに伴う感染ですが、半固形化製剤のほうがリスクは少ないです。


>追加水の白湯は100ml/hの指示になっていますが、カテーテルチップでの短時間ショット注入は可能でしょうか?

水は栄養剤よりも胃からの排泄時間が速いのでそこまで時間をかける必要はないと思います。
ただし、水を注入するタイミングが重要です。
うちでは栄養剤注入の30分前か食間に100~200mLのボーラス注入としています。
コップの水を飲む感覚で良いのではと考えています。
一方、栄養剤が胃内に残留している状態でのボーラス注入は、胃内容が増加して逆流のリスクが高くなるので危険です。


>また、長期絶食期間患者とPEG造設前までNGチューブで経腸栄養をしていた患者とでは、
消化管の状態が違うと思うのですが、PEGのパスも2通りあった方がいいのでしょうか?

長期絶食後では腸粘膜の萎縮が指摘されています。
その状態で経腸栄養を開始した場合、下痢などを起こしやすくなります。
整腸剤やグルタミン製剤(GFOやグルタミンF)などから開始して、
腸管粘膜の状態を整えてからの栄養剤投与が望ましいので、
栄養剤の開始時期や種類、投与量、増量のペースについて別に扱う必要があります。

こちらの記事は、会員のスキルアップを支援するものであり、患者の病状改善および問題解決について保証するものではありません。
また、専門家Q&Aにより得られる知識はあくまで回答専門家の見解であり、医療行為となる診療行為、診断および投薬指導ではございません。
職務に生かす場合は職場の上長や患者の主治医に必ず相談し許可を取ってから実践するようお願いいたします。
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