専門家Q&A
PEJでの栄養剤投与の速度
投稿日:2014.09.09
ご質問
看護師2年目の者です。
PEGを造設していたが、胃癌の為胃切と空腸にPEJ造設となった70歳代男性の患者がいます。
PEJについていろいろ調べていたのですが、注入速度は100ml/hと書いてありました。
造設後の注入食の指示はディムス400となっていました。調べたとおりに投与するとなると、4時間かかることになります。しかし、褥瘡発生のリスクを考えると4時間はかかり過ぎだと思いました。
PEJで注入を行う場合、どこまでなら注入速度を上げてもいいのでしょうか?
やはり100ml/hは守った方がいいのでしょうか?その時は注入中であっても褥瘡発生のリスクを考えて除圧の為に体を動かしてもいいのでしょうか?
PEGを造設していたが、胃癌の為胃切と空腸にPEJ造設となった70歳代男性の患者がいます。
PEJについていろいろ調べていたのですが、注入速度は100ml/hと書いてありました。
造設後の注入食の指示はディムス400となっていました。調べたとおりに投与するとなると、4時間かかることになります。しかし、褥瘡発生のリスクを考えると4時間はかかり過ぎだと思いました。
PEJで注入を行う場合、どこまでなら注入速度を上げてもいいのでしょうか?
やはり100ml/hは守った方がいいのでしょうか?その時は注入中であっても褥瘡発生のリスクを考えて除圧の為に体を動かしてもいいのでしょうか?
専門家の見解
まず、質問に対するお答えですが、基本的に小腸(空腸)へ投与する場合、教科書的には100ml/H以下の投与速度が推奨されています。
経皮内視鏡的十二指腸瘻造設(percutaneous endoscopic duodenostomy: PED)を除くき、カテーテルの先端はトライツ靭帯を超えて挿入されていますので、投与中の体位は半坐位である必要はありません(唾液誤嚥への配慮は必要です)ので、褥瘡予防のために注入中も体位変換を実施していただいて問題ありません。
ただ、臨床の中では、患者さんによって、250ml/HにUPしてもダンピング症候群・下痢等の合併症がない方もおられますので、患者さんに見合ったスピードでということになります(我々の病院では、50ml/Hでポンプでの注入をスタートし、2日間隔でUPしていき、患者さんのスピートを決定しています)。
あまりスピードアップするとダンピング症候群・下痢になります。また、カテーテルも細いものが多く、100ml/H以下の場合は、ポンプでの注入が推奨されています。カテーテル閉塞予防のため。24時間持続投与されている方もおられます。
さて、今回の患者さんは、PEG-J とのことですがよろしかったでしょうか?
胃がんの胃切と腸ろうにされたとのことですので、内視鏡(endoscopic)は使っておられず、開腹下もしくは腹腔鏡下の外科的腸ろうではないでしょうか?
小腸(空腸)への経管栄養ルートには、下記がありますので用語の確認をお願いします。
とくに、経皮内視鏡的十二指腸瘻造設(percutaneous endoscopic duodenostomy: PED)の場合は、カテーテルの先端はトライツ靭帯を超えていませんので、あまりスピードアップしすぎると嘔吐のリスクもありますし、PEDの方の注入体位は半坐位が望ましいと思います。
1)経胃瘻的小腸瘻造設術(PEG-jejunostomy:PEG-J, jejunostomy through percutaneous endoscopic gastrostomy :JETPEG)
胃食道逆流が多いときや胃瘻の瘻孔からの漏れが多いときには、PEG(percutaneous endoscopic gastrostomy)などによって既に作られた胃瘻から、カテーテルをトライツ靭帯より深部に送り込む方法です。流動食の投与と並行して胃の減圧を同時に行うことが可能です。
2)内視鏡的小腸瘻造設術(direct percutaneous endoscopic jejunostomy : direct PEJ)
小腸に直接留置する方法には、direct PEJや開腹術による小腸瘻造設術があります。direct PEJ は、Pull法によるPEGと同様の手技によって直接、小腸にカテーテルが留置されますが、適応となる小腸と腹壁との位置関係を正確に定めるのが困難なため、熟練が要求されます。
3)開腹術による小腸瘻造設術
従来から開腹術では、Witzel法などで小腸にカテーテルが留置されてきました。近年は穿刺式カテーテル空腸瘻造設術(needle catheter jejunostomy : NCJ)の開発に伴い、胃全摘術などの開腹手術時に小腸瘻を造設し、術後の栄養管理に使用する方法は一般的になってきています。
4)経皮内視鏡的十二指腸瘻造設(percutaneous endoscopic duodenostomy: PED)
幽門側胃切除術Billroth I法再建術後の患者で残胃に胃瘻を造設する予定でも、残胃が食道側へ移動し、経皮内視鏡的手技の時には残胃への穿刺ルートが得られないことも多い。そこで、穿刺可能な十二指腸に瘻孔を作成することが推奨されています。
参考になれば、幸いです。
経皮内視鏡的十二指腸瘻造設(percutaneous endoscopic duodenostomy: PED)を除くき、カテーテルの先端はトライツ靭帯を超えて挿入されていますので、投与中の体位は半坐位である必要はありません(唾液誤嚥への配慮は必要です)ので、褥瘡予防のために注入中も体位変換を実施していただいて問題ありません。
ただ、臨床の中では、患者さんによって、250ml/HにUPしてもダンピング症候群・下痢等の合併症がない方もおられますので、患者さんに見合ったスピードでということになります(我々の病院では、50ml/Hでポンプでの注入をスタートし、2日間隔でUPしていき、患者さんのスピートを決定しています)。
あまりスピードアップするとダンピング症候群・下痢になります。また、カテーテルも細いものが多く、100ml/H以下の場合は、ポンプでの注入が推奨されています。カテーテル閉塞予防のため。24時間持続投与されている方もおられます。
さて、今回の患者さんは、PEG-J とのことですがよろしかったでしょうか?
胃がんの胃切と腸ろうにされたとのことですので、内視鏡(endoscopic)は使っておられず、開腹下もしくは腹腔鏡下の外科的腸ろうではないでしょうか?
小腸(空腸)への経管栄養ルートには、下記がありますので用語の確認をお願いします。
とくに、経皮内視鏡的十二指腸瘻造設(percutaneous endoscopic duodenostomy: PED)の場合は、カテーテルの先端はトライツ靭帯を超えていませんので、あまりスピードアップしすぎると嘔吐のリスクもありますし、PEDの方の注入体位は半坐位が望ましいと思います。
1)経胃瘻的小腸瘻造設術(PEG-jejunostomy:PEG-J, jejunostomy through percutaneous endoscopic gastrostomy :JETPEG)
胃食道逆流が多いときや胃瘻の瘻孔からの漏れが多いときには、PEG(percutaneous endoscopic gastrostomy)などによって既に作られた胃瘻から、カテーテルをトライツ靭帯より深部に送り込む方法です。流動食の投与と並行して胃の減圧を同時に行うことが可能です。
2)内視鏡的小腸瘻造設術(direct percutaneous endoscopic jejunostomy : direct PEJ)
小腸に直接留置する方法には、direct PEJや開腹術による小腸瘻造設術があります。direct PEJ は、Pull法によるPEGと同様の手技によって直接、小腸にカテーテルが留置されますが、適応となる小腸と腹壁との位置関係を正確に定めるのが困難なため、熟練が要求されます。
3)開腹術による小腸瘻造設術
従来から開腹術では、Witzel法などで小腸にカテーテルが留置されてきました。近年は穿刺式カテーテル空腸瘻造設術(needle catheter jejunostomy : NCJ)の開発に伴い、胃全摘術などの開腹手術時に小腸瘻を造設し、術後の栄養管理に使用する方法は一般的になってきています。
4)経皮内視鏡的十二指腸瘻造設(percutaneous endoscopic duodenostomy: PED)
幽門側胃切除術Billroth I法再建術後の患者で残胃に胃瘻を造設する予定でも、残胃が食道側へ移動し、経皮内視鏡的手技の時には残胃への穿刺ルートが得られないことも多い。そこで、穿刺可能な十二指腸に瘻孔を作成することが推奨されています。
参考になれば、幸いです。
Thanks.
回答ありがとうございます。 治療を受けた患者はPEG-Jです。術式は開腹での造設術でした。 注入中、患者は注入時間に対して「じっとしているのは辛い、もっと早くできないのか」と訴えてこられたので、注入速度を上げてもいいのか不安でした。 体位交換も大丈夫、注入速度アップは患者に合わせて決定してもいいということで、安心しました。 患者が安楽に注入ができるよう、頑張って調節していこうと思います。 本当にありがとうございました。
専門家の見解
PEJでの投与ですが、最近は、REF-P1を使った半固形化が臨床で行われている報告があります。
私自身も前職で、低速投与で腹部膨満等訴えの多かった患者さまにボーラス投与で上手くいった例があったので、注目しています。
REF-P1は栄養剤との相性があるので、必ず投与前にジャネフさんで栄養剤ごとの粘度確認をしてから使用します。
DIMSは当院では使用経験がないので、要確認ですが、REF-P1を使用する場合は、チューブ先端が胃であれば、栄養剤投与60分以内、小腸留置であれば30分以内とのPEJの方がより短時間で投与できます。
私自身も前職で、低速投与で腹部膨満等訴えの多かった患者さまにボーラス投与で上手くいった例があったので、注目しています。
REF-P1は栄養剤との相性があるので、必ず投与前にジャネフさんで栄養剤ごとの粘度確認をしてから使用します。
DIMSは当院では使用経験がないので、要確認ですが、REF-P1を使用する場合は、チューブ先端が胃であれば、栄養剤投与60分以内、小腸留置であれば30分以内とのPEJの方がより短時間で投与できます。
Thanks.
回答ありがとうございます。小腸の注入なので、正直粘度の強い栄養剤は投与できないと思っていました。また、注入速度もあまり早くし過ぎるのもよくないとばかり思っていたので、このことに驚いています。患者に対してより安楽にできるものを選ぶ選択肢ができました。 本当にありがとうございます。一度当院で使用できるか確認してみようと思います。
こちらの記事は、会員のスキルアップを支援するものであり、患者の病状改善および問題解決について保証するものではありません。
また、専門家Q&Aにより得られる知識はあくまで回答専門家の見解であり、医療行為となる診療行為、診断および投薬指導ではございません。
職務に生かす場合は職場の上長や患者の主治医に必ず相談し許可を取ってから実践するようお願いいたします。
専門家Q&Aを通じて得た知識を職務に活かす場合、患者のの心身の状態が悪化した場合でも、当社は一切責任を負いません。
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