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専門家Q&A

褥瘡の真菌感染について

ご質問

カカトのd4の褥瘡
壊死組織があり周囲皮膚は浸軟状態 医師の指示でプロスタの軟膏処置が行われていましたが、匂いのある浸出液が増えて
きたためユーパスタの処置を提案し行っていました
いったん肉芽が見えてきましたが白い膜上の組織が出現し創底全体を覆いました。真菌を疑い休み明けまで軟膏を中止し洗浄のみを行っています
今後真菌の検査を医師に以来予定ですが、真菌がプラスの場合その後の治療はどのようにして行くのが妥当ですか

専門家の見解

踵部の深い褥瘡の治療についてですね。ここでは下肢の閉塞性動脈硬化症などの末梢動脈疾患がないこと、明らかな感染兆候(局所の明らかな炎症、微熱、発熱、WBC上昇など)がないことを前提に述べたいと思います。

現状の問題点を整理してみますと
①壊死組織がある
②(肉芽の上の?)白い膜状の組織
③匂いのある浸出液
④周囲皮膚の浸軟
⑤真菌症疑い
の5点が挙げられます。

まず、①壊死組織が残存している場合は、可能な限りデブリードマンをすすめます。壊死組織が残ったまま、その上に肉芽が形成されてしまうと、不良肉芽となって治りにくくなりますし、将来、感染源になる可能性もあるからです。外科的シャープデブリドマンができない場合でも、エイヒや摂子を用いてできる限り壊死組織を少なくし、取り除いておくことが大切です。これを十分に行うことで②~⑤の症状を改善することにもつながります。
②の白い膜状の組織というのは、おそらく肉芽の表面に形成されるゼリー状のフィブリン膜のことと思います。そうであれば、細菌のバイオフィルムが形成されていることが考えられますので、これもできる限り取り除きます。洗浄水を流すだけでは取り除けないことが多いので、セッシやエイヒで除去すると良いです。①②ともに、医師による頻回なデブリードマンが難しい場合には、医師の指示のもとで、看護師が滅菌綿棒やガーゼなどで出血しない程度に、残存する壊死部分を擦ったり、フィブリン膜を拭ったりする方法もあります。

次に、③匂いのある浸出液、ですが、創感染または臨界的定着(クリティカルコロナイゼーション)の可能性がありますので毎日の創洗浄は継続しましょう。ユーパスタ軟膏は、真菌も含め広範囲の細菌に有効とされているポピドンヨードを含有する軟膏なので、中断せずに、創部に継続することをお勧めします。創感染が疑われる場合は、創培養、血液培養などの検査やその後の抗菌剤の投与について医師の指示を受けてください。

④と⑤ですが、周囲皮膚が浸軟していると皮膚真菌症のリスクが高まります。検査で真菌が認められた場合は、創洗浄のあと、医師の処方に従い周囲皮膚に抗真菌剤の外用薬(例:ニゾラールなど)を塗布します。なお真菌が検出されない場合でも、抗真菌剤成分配合のソープ(例:コラージュフルフル泡石鹸150ml・1,800円など;持田製薬)が市販されていますので、経済的に可能であれば、このような製品を予防的に使用する方法もあります。

以上、局所の治療ケアについて述べましたが、踵の深い褥瘡(D4)の場合、骨まで到達していると、骨髄炎を合併するリスクが高まります。WBC、CRP値ほか全身的所見にもご留意ください。

こちらの記事は、会員のスキルアップを支援するものであり、患者の病状改善および問題解決について保証するものではありません。
また、専門家Q&Aにより得られる知識はあくまで回答専門家の見解であり、医療行為となる診療行為、診断および投薬指導ではございません。
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