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専門家Q&A

透析患者さんのシャントの観察

ご質問

透析患者さんのシャントの観察って、どうやってするの?何を観察しているの?
透析室のスタッフがやればいいのでは??

専門家の見解

シャント閉塞は突然起こることが多く、透析患者のQOLを低下させる要因になりかねません
シャントは透析患者の命綱と言っても過言ではありません。ですが残念ながらシャント閉塞は突然起こることが多く、透析患者のQOLを低下させる要因になりかねません。
シャント閉塞は血圧の著明な低下や脱水などでも起こりますが、その多くは血管が狭くなった部位(狭窄部位)に血の固まり(血栓)ができ、血管が詰まってしまうことが原因となります。狭窄が出現するとシャントはさまざまな信号を送りますので、普段からちょっとした変化に気づき、早期に発見できれば、患者への侵襲も最小限に抑えられます。
狭窄部位からの信号を逃さない観察ポイント「看て・聴いて・触って」
「看て」
シャントの腕を心臓の高さより少し持ち上げてみます。血管がへこむ部位があればその部位が狭窄している可能性があります。また腕の付け根あたりに狭窄があれば、シャント血流が心臓に戻れないため、血流が塞き止められダムのような状態になり、シャントの腕だけが太い場合があります。(静脈高血圧症)
「聴いて」
良好なシャント音はザーザーと低音で、また連続した音とされています。しかし、シャントが狭窄していた場合、高音が聴かれることが多くあります。なぜ高音が聴かれるのでしょうか。風の強い日に少しだけ窓を開けてみます。ヒューヒューと高音のすきま風が聴かれると思います。狭いところを流れると高音になるように、シャントの狭窄部位ではこのヒューヒューといった高音(狭窄音)が聴かれます。さらに狭窄がすすむと、連続して流れることができずドン・ドンと太鼓のような断続音(拍動音)が聴かれる場合があります。
「触って」
シャントを触った時にビリビリとした振動を感じます。この振動をスリルと言います。シャントとは、動脈と静脈の血管をつなぐことで、奥深くに流れている動脈血を表面の静脈血管に流し入れ、簡単安全に動脈血が取り出せるようにしたものです。本来動脈血管の壁は勢いの良い血流に耐えるため分厚く、静脈は薄い構造となっています。その薄い壁である静脈血管に流れるはずもなかった勢いの良い動脈血を流し込むことで、血管が振動し始める、これをスリルと言います。スリルの有無、強さも重要な観察項目です。
観察ポイントを以上に挙げましたが、どこにも狭窄がなく、全く問題のないシャントはほぼ存在しません。部位によっては狭窄音が聴かれたり、血圧低値の場合はスリルが弱くなったりと変化していきます。大事なことはシャントが正常か異常かではなく、患者の通常を把握し、そこからどのように変化しているかを観察することで透析患者のシャントを守ることができるのです。

こちらの記事は、会員のスキルアップを支援するものであり、患者の病状改善および問題解決について保証するものではありません。
また、専門家Q&Aにより得られる知識はあくまで回答専門家の見解であり、医療行為となる診療行為、診断および投薬指導ではございません。
職務に生かす場合は職場の上長や患者の主治医に必ず相談し許可を取ってから実践するようお願いいたします。
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