認定看護師さんインタビュー企画
認定看護師さんインタビュー企画~小川綾乃さん(訪問看護認定看護師)~
認定看護師インタビュー今回は、
ソフィア訪問看護ステーション成城でご活躍されている小川綾乃さんにお話を伺いました。
ソフィア訪問看護ステーション成城でご活躍されている小川綾乃さんにお話を伺いました。
■看護師になろうと思ったきっかけを教えてください。
実は大学を卒業するまで看護師になろうとは思っていませんでした。
大学受験の前、浪人時代から耳鼻科でアルバイトをしていて、看護っておもしろいなと少し興味はあったのですが、一方で仕事としてはどうかな?という思いもありました。
ただ、勉強だけはしてみたいと思い、病院に置いてあった雑誌で、間に合う大学を探してみると、まだ募集をしている学校があり、受験してみたら、受かってしまいました(笑)。
でもそのときは、看護師になりたいと強く思っていたわけではなかったんです。
大学受験の前、浪人時代から耳鼻科でアルバイトをしていて、看護っておもしろいなと少し興味はあったのですが、一方で仕事としてはどうかな?という思いもありました。
ただ、勉強だけはしてみたいと思い、病院に置いてあった雑誌で、間に合う大学を探してみると、まだ募集をしている学校があり、受験してみたら、受かってしまいました(笑)。
でもそのときは、看護師になりたいと強く思っていたわけではなかったんです。
■その思いがどのように変わっていったのですか?
大学での病院実習でも、実はいい思い出はあまりありませんでした。地域看護学の実習で(始まりだした頃ではありません)、訪問看護ステーションに行って在宅での実習がありました。
伺ったのは、末期がんの患者さんのお宅でした。
奥様と二人で暮らしておられたのですが、お宅に訪問すると、患者さんが掃除機をもっていて、部屋を丁寧に掃除していたんです。奥様は座って、「やらせておけばいいのよ」と笑っていらっしゃるんです。
伺ったのは、末期がんの患者さんのお宅でした。
奥様と二人で暮らしておられたのですが、お宅に訪問すると、患者さんが掃除機をもっていて、部屋を丁寧に掃除していたんです。奥様は座って、「やらせておけばいいのよ」と笑っていらっしゃるんです。
食事もとることができない患者さんが点滴をしながらお掃除をしているのに、奥様は座っているんです。食事はとれなくても奥様と同じものを味わいたいと、一緒に食卓で同じものを噛んで味わって吐き出すということをしていらっしゃいました。
そのとき、患者さんにとって家で暮らす事が、どれだけ幸せなことかを思い知らされました。重い病気をしても、こうやって自宅で暮らすことができる。在宅っていいなぁ、とその時強く思ったんですね。
それからも、訪問看護の実習は印象に残ることばかりで、すごく楽しかったんです。そこで大学の看護学科を卒業して、そのままソフィアに就職しました。
そのとき、患者さんにとって家で暮らす事が、どれだけ幸せなことかを思い知らされました。重い病気をしても、こうやって自宅で暮らすことができる。在宅っていいなぁ、とその時強く思ったんですね。
それからも、訪問看護の実習は印象に残ることばかりで、すごく楽しかったんです。そこで大学の看護学科を卒業して、そのままソフィアに就職しました。
■訪問看護師は経験がないと難しいとよくいわれますが、看護師未経験でいきなり現場に出向くというのは、不安はありませんでしたか?
不安だらけでしたし、実際何度も辞めようとも思いました。現場に行っても不安、帰ってからも不安、朝起きてもまた不安、という毎日でした。やっぱり病院に行って経験を積み直したほうがいいのでは、という思いは常にありましたね。
でも一緒に働いていた先輩が「じゃあ、何を目的に病院に行くの? 目的もなく、ただ経験だけ積みたいといった気持ちなのであれば、どこに行っても成長なんかできない」と言われたんですね。
それを聞いて、自分がやりたかった看護とは何だったのか、それは在宅看護ではなかったのか、と改めて思い直したんです。もう少しここで頑張ってみようと気持ちが切り替わり、もっと積極的に頑張らないといけないって思いました。
そのとき先輩が「頑張れ、できる」と背中を押してくれたことはとても大きかったと思います。
でも一緒に働いていた先輩が「じゃあ、何を目的に病院に行くの? 目的もなく、ただ経験だけ積みたいといった気持ちなのであれば、どこに行っても成長なんかできない」と言われたんですね。
それを聞いて、自分がやりたかった看護とは何だったのか、それは在宅看護ではなかったのか、と改めて思い直したんです。もう少しここで頑張ってみようと気持ちが切り替わり、もっと積極的に頑張らないといけないって思いました。
そのとき先輩が「頑張れ、できる」と背中を押してくれたことはとても大きかったと思います。
■訪問看護師の仕事の内容について教えてください。
基本的には、病院でやっている看護を在宅で行う、ということだと思います。ただ使っているものが違っていたり、ご家族と一緒に介護をしていくというスタンスであることは大きく異なる部分です。
ケアマネジャーさんとの連携も含め、トータルに患者さんの生活に関わることになりますので、患者さん本人やご家族とのつながりは非常に深いものになります。
基本的な医療技術を伴う処置ももちろんありますが、むしろそれに付随していく生活面での調整のほうがウエートとしても大きく、そこにやりがいを見出せるのかな、と思います。
ケアマネジャーさんとの連携も含め、トータルに患者さんの生活に関わることになりますので、患者さん本人やご家族とのつながりは非常に深いものになります。
基本的な医療技術を伴う処置ももちろんありますが、むしろそれに付随していく生活面での調整のほうがウエートとしても大きく、そこにやりがいを見出せるのかな、と思います。
■認定看護師になりたいと思ったのはなぜだったのですか?
訪問看護の仕事を始めてすぐ、先輩に叱咤激励された頃に、ちょうど認定看護師の制度がスタートしました。
私は当時、仕事に対して自信がもてない毎日でいつも悩んでいました。そんな中で、勉強して自分に自信をつけられるものがあるのなら、それを目標にして、そこに向けて頑張ってみればいいんじゃないかと思うようになったんです。
先輩の言葉で次第に前向きな気持ちをもてるようになっていたこともあって、認定看護師を目指してみようと決めたのです。
私は当時、仕事に対して自信がもてない毎日でいつも悩んでいました。そんな中で、勉強して自分に自信をつけられるものがあるのなら、それを目標にして、そこに向けて頑張ってみればいいんじゃないかと思うようになったんです。
先輩の言葉で次第に前向きな気持ちをもてるようになっていたこともあって、認定看護師を目指してみようと決めたのです。
■認定看護師の受験対策はどのように行いましたか?
1回で受かろうと思っていなかったので、最初はそれほど勉強しなかったんですね(笑)。エキスパートの看護師の方がいっぱいいるだろうから、1回ではきっと難しいだろうと思っていたんです。まずは力試しの感覚で受けようと思っていました。
ただ、訪問看護振興財団から出版されている訪問看護の参考図書から問題が出されることになるだろうから、それをひたすら徹底的に読み込みました。きっとその勉強法が良かったのかもしれません。
受かったと知って、なんだか信じられない気持ちになったことを覚えていますね。入学が近付くにつれて、うれしい気持ちよりも、現場を半年も離れなければいけないという不安が自分の中で次第に大きくなっていきました。
看護師になってまだ5年あまりの頃で、キャリアが浅いのに実技や実践の感覚、経験が乏しくなっていくことが不安でした。でも学校に行って、そうした不安は充実感のほうに変わっていきましたね。
受かったと知って、なんだか信じられない気持ちになったことを覚えていますね。入学が近付くにつれて、うれしい気持ちよりも、現場を半年も離れなければいけないという不安が自分の中で次第に大きくなっていきました。
看護師になってまだ5年あまりの頃で、キャリアが浅いのに実技や実践の感覚、経験が乏しくなっていくことが不安でした。でも学校に行って、そうした不安は充実感のほうに変わっていきましたね。
■学校での学びが充実していたのですね。
とにかく、ひたすら楽しかったです。知らなかったことをどんどん学べる、新しい知識が増えていくという喜びが常にありました。今までやってきたことが間違っていなかったと確認できたことも大きかったですね。
あと、全国にいる訪問看護師と出会えたのも意義のあることでした。いろんな経験を聞いて、自分の中の世界が大きく広がりました。勉強の負担よりも、新しい世界や知識と出会えることがとても新鮮で楽しかったですね。
あと、全国にいる訪問看護師と出会えたのも意義のあることでした。いろんな経験を聞いて、自分の中の世界が大きく広がりました。勉強の負担よりも、新しい世界や知識と出会えることがとても新鮮で楽しかったですね。
■認定看護師に合格して気持ちの変化はありましたか?
これからが大変だなと思いました。資格をもつということは、それなりの目で人から見られるということです。認定看護師だから知ってるはず、やってくれるはず、と周りの方はきっと思うはずですから。
そんな期待に応えていける自分でなければいけないという重圧は常にありましたね。逆に学校を出てからのほうがむしろ「勉強していかなければ」と強く思いました。これから自分個人の力が試されていくんだと思うと、怖くなる、緊張する、身が引き締まるという気持ちが強かったですね。
そんな期待に応えていける自分でなければいけないという重圧は常にありましたね。逆に学校を出てからのほうがむしろ「勉強していかなければ」と強く思いました。これから自分個人の力が試されていくんだと思うと、怖くなる、緊張する、身が引き締まるという気持ちが強かったですね。
■認定看護師になって、仕事内容で変わった部分はありますか?
看護師全体の教育研修に関わったり、症例検討を行うなどのスタッフ全体の底上げに携わるような仕事が増えました。
それまでは、自分のステーションのことだけを考えていればいいという思いでしたが、施設の何百人というスタッフ全体の能力やスキルを上げていくために自分の力を使っていくことが多くなったと思います。
それまでは、自分のステーションのことだけを考えていればいいという思いでしたが、施設の何百人というスタッフ全体の能力やスキルを上げていくために自分の力を使っていくことが多くなったと思います。
■今のお仕事内容について教えてください。
訪問看護師として働く役割と、管理者としてステーションでのマネジメント業務を行っている2つの要素があります。
管理者としての仕事としては、スタッフの勤怠管理はもとより、初回の訪問にあたってお客様と契約もしなくてはいけません。広範囲な事務的な仕事も含めて、病棟の師長さんよりも少しワイドな業務内容になってくるイメージだと思います。
管理者としての仕事としては、スタッフの勤怠管理はもとより、初回の訪問にあたってお客様と契約もしなくてはいけません。広範囲な事務的な仕事も含めて、病棟の師長さんよりも少しワイドな業務内容になってくるイメージだと思います。
今は専門学校での非常勤の講師として、学生向けに訪問看護を教える業務も行っています。これから訪問看護を担う人たちの教育に携わったり、すでに働いている方で訪問看護に興味を持つ方への説明会を開いたりするなど、訪問看護そのものを医療現場にいっそう浸透させるための啓蒙活動のようなことを多く行っていますね。
■訪問看護師として仕事をする上で楽しいことは何ですか?
常に現場では「マイ患者」なんですよね。「何曜日の何時にうかがうお宅」という中では、1時間はその方だけのために自分が邪魔されずに使えて、いろんな交流ができる。行くだけで元気になれるんです。
「ありがとう」という言葉をいただいたときも、こちらが感謝の思いを伝えたいような、人と人とのふれあいがあります。1時間がその人のためだけの時間というのは病棟での看護では決して味わえない時間だと思います。
その日の患者さんの体調や気分によって、看護内容を自分で判断していけることはやりがいもあります。自分がその方の生活に携わらせていただく。そこはすごく魅力ですね。
「ありがとう」という言葉をいただいたときも、こちらが感謝の思いを伝えたいような、人と人とのふれあいがあります。1時間がその人のためだけの時間というのは病棟での看護では決して味わえない時間だと思います。
その日の患者さんの体調や気分によって、看護内容を自分で判断していけることはやりがいもあります。自分がその方の生活に携わらせていただく。そこはすごく魅力ですね。
■逆に現場でつらいと思う部分は何でしょうか。
つらいのは、ご本人やご家族の思いにうまく沿えないときですね。
また、ご家族と患者さんご本人のとの思いが異なる場合には、その間に挟まれてしまって、どちらの味方にもなれない無力さを感じることもあります。在宅でのお看取りは、患者さんと最後までしっかりとお付き合いができて、すごく素敵なお別れができることが多いんです。
先日も、亡くなった後、ご本人が好きだった社交ダンスの衣裳を着せてほしい、というご家族のご要望がありました。そういう素敵なお別れに立ちあわせて頂くと「最後の大切な時を任せてくださってありがとうございます」という感謝の思いでいっぱいになります
死を迎えて残念、悲しいというよりも、いいお別れにしたいという気持ちで、ご本人やご家族の願いに最後まで応えていくことが大事だと思いますね。
また、ご家族と患者さんご本人のとの思いが異なる場合には、その間に挟まれてしまって、どちらの味方にもなれない無力さを感じることもあります。在宅でのお看取りは、患者さんと最後までしっかりとお付き合いができて、すごく素敵なお別れができることが多いんです。
先日も、亡くなった後、ご本人が好きだった社交ダンスの衣裳を着せてほしい、というご家族のご要望がありました。そういう素敵なお別れに立ちあわせて頂くと「最後の大切な時を任せてくださってありがとうございます」という感謝の思いでいっぱいになります
死を迎えて残念、悲しいというよりも、いいお別れにしたいという気持ちで、ご本人やご家族の願いに最後まで応えていくことが大事だと思いますね。
■今後、認定看護師としての目標は何ですか?
病院の方にももっと訪問看護のことを知ってもらって、一人でも多くの患者さんが安心してお家に帰れるような環境を作っていきたい。そのための仕事をしていきたいと思います。
病院の先生や看護師に積極的に相談してもらうことで、在宅が可能になる前向きな判断ができることも増えていくと思いますし、気楽に相談いただける窓口として使っていただける存在になりたいと思っています。少しでも多くの人にステーションを利用してもらい、お家に帰るという願いがかなえられるようにしていきたいですね。
■ナースの星Q&A会員へのメッセージをお願いします。
訪問看護は実際にやってみると、看護師として見える世界が違ってくると思います。同時に訪問看護師の中でも、認定看護師を目指すことで新たな世界が必ず広がると思いますね。
認定看護師を目指す中で多くの人と知り合うだけでも貴重な財産になるに違いありません。その過程で得るものはすごく大きいと思います。
認定看護師を目指す中で多くの人と知り合うだけでも貴重な財産になるに違いありません。その過程で得るものはすごく大きいと思います。
もし迷っているなら、ぜひトライしてほしい。今後、在宅という分野が広がっていくために、認定看護師の存在はいっそう必要になります。一緒に頑張っていける仲間がもっともっと増えていってほしいですね。
<小川さんがご活躍されているステーション>
ソフィア訪問看護ステーション成城
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