ケースレポートの書き方
ケースレポートの書き方5 「考察に文献的な肉付けをする」
前回は、考察を自分の力だけで書いてみました。
なぜなら、レポートを書くのに慣れていない人が、考察の記述に最初から文献を使ってしまうと、文献の引用に終わってしまい、自分の考えがどこかに行ってしまうことが多いからなのです。
でも、今回はそんな失敗はしていないはずです。きっと自分の意見を前面に出した考察が書けていることでしょう。
自分の考えが前面に出た文章はとても力強いですが、反面、独りよがりになりがちです。
ここでは、考察が独りよがりではなく、先人の知恵や理論によっても説明ができること、また実践した看護が他の同様な患者にも応用できることを、文献を使って示していくことにしましょう。
1)文献で押さえるポイントと、用いる文献の種類
これまで何度も示してきたAちゃんの事例ですが、考察で「Aちゃんが締め切ったカーテンを開き、医療者や他の患者と少しずつ交流を持てるようになったのは、看護師がまずAちゃんの気持ちを受け入れたこと、Aちゃんの気持ちが落ち着いた段階で徐々に遊びを通して傷に向き合う機会を提供したことが重要だったと考える。」と書いたとします。
これはこれでいいのですが、独りよがりっぽい印象の文章です。
ここで、どんな文献で押さえれば締まるのかを考えます。
すると、Aちゃんへの看護師の対応は、下肢切断に対する「危機介入」だな、またAちゃんは小学1年生だから、ただの危機介入ではなく、発達に応じた介入が必要になるわけだな・・・と見えてくることでしょう。
そうです。Aちゃんの事例の場合は、「危機介入」や「発達に応じた介入」が、使用する文献のキーワードになるでしょう。
2)どんな文献を用いるか
1 まずテキストで確認
みなさんが活用する文献は、何も特殊なものである必要はありません。
学校時代に使用した、基礎看護学や成人看護学のテキストをまず活用してみましょう。
Aちゃんは小児ですから、小児看護学のテキストをひもといてみましょう。
小児看護学のテキストの最初の方は、発達や、看護に役立つ理論がたくさん掲載されていると思います。
そのなかに、病児への危機介入や、小児の発達段階に応じた病気の理解、理解度に応じた患者指導の方法などがあると思います。
これらを参考にして、自分の考察のあとに、「理論としてもこうだ・・・」ということを記述していくといいと思います。
2 専門書で確認
ただ、引用文献がテキストばかり・・・というのも何だか格好がつきません。
文献で押さえるというのは、あくまでも原書で押さえるのがベストなのです。
ですから、あくまでテキストは考察のポイントを絞るためのきっかけにしましょう。
ちなみに原書にあたるにはどうしたらいいかというと、テキストの巻末の引用・参考文献リストをあたってみるといいでしょう。
そこには必ず、テキストを書くのに活用された原書が含まれているはずです。
3)文献引用の仕方
文献を引用するときは、引用箇所を他の文章と区別するために「 」でくくり、研究者の名前とともに記述することを指導された方も多いかと思います。
でも、このタイプの引用方法が多いと、こんな感じになります。“
F・ナイチンゲールは次のように述べている「・・・・・・・・・・・(以下長文)」”“V・ヘンダーソンは、「患者の基本的ニードは・・・・・(以下長文)」と説明している。”・・・どうでしょうか。
こうした長文の引用は、ナイチンゲールやヘンダーソンの世界を前面に出してしまうことになります。
その結果、本来の話の筋道が寸断されてしまうことが多いのです。
引用する際には、本来の話の筋道を妨げないような配慮が必要になります。
必ずしもオリジナルな文章をまるごと引用する必要はないのです。
例えば、“こうした看護師の行動は、ヘンダーソン1)の指摘する○○にあてはまると考えられる。
”のような感じです。「○○」には、ヘンダーソンの理論の「要約」を入れ込むといいでしょう。
4)引用カ所の明記
さて、3)内で、ヘンダーソンの名前の右に1)と、小さな字で印がついていたのにお気づきでしょうか。
これは、「文献を引用しましたよ」というマークですね。
数字の意味は、レポートの最後の「文献リスト」の番号に対応しています。
番号の位置は、研究者の名前が入っている部分では名前の右側です。
引用内容の要約や、文章をまるごと引用した場合はその箇所の右側に入れるようにしましょう。
このように、自分の考えと他者のオリジナルな考えを区別することは重要です。
オリジナルな考え方や、まるごとの記述内容は著作権で守られているからです。
考察を文献で押さえることは、自分の看護が、先人の知識体系のなかに組み込まれ、確かな財産になったこと示すものです。ここまでよく頑張りました。
次回は、レポートの仕上げに向けての点検のポイントを示していきたいと思います。
なぜなら、レポートを書くのに慣れていない人が、考察の記述に最初から文献を使ってしまうと、文献の引用に終わってしまい、自分の考えがどこかに行ってしまうことが多いからなのです。
でも、今回はそんな失敗はしていないはずです。きっと自分の意見を前面に出した考察が書けていることでしょう。
自分の考えが前面に出た文章はとても力強いですが、反面、独りよがりになりがちです。
ここでは、考察が独りよがりではなく、先人の知恵や理論によっても説明ができること、また実践した看護が他の同様な患者にも応用できることを、文献を使って示していくことにしましょう。
1)文献で押さえるポイントと、用いる文献の種類
これまで何度も示してきたAちゃんの事例ですが、考察で「Aちゃんが締め切ったカーテンを開き、医療者や他の患者と少しずつ交流を持てるようになったのは、看護師がまずAちゃんの気持ちを受け入れたこと、Aちゃんの気持ちが落ち着いた段階で徐々に遊びを通して傷に向き合う機会を提供したことが重要だったと考える。」と書いたとします。
これはこれでいいのですが、独りよがりっぽい印象の文章です。
ここで、どんな文献で押さえれば締まるのかを考えます。
すると、Aちゃんへの看護師の対応は、下肢切断に対する「危機介入」だな、またAちゃんは小学1年生だから、ただの危機介入ではなく、発達に応じた介入が必要になるわけだな・・・と見えてくることでしょう。
そうです。Aちゃんの事例の場合は、「危機介入」や「発達に応じた介入」が、使用する文献のキーワードになるでしょう。
2)どんな文献を用いるか
1 まずテキストで確認
みなさんが活用する文献は、何も特殊なものである必要はありません。
学校時代に使用した、基礎看護学や成人看護学のテキストをまず活用してみましょう。
Aちゃんは小児ですから、小児看護学のテキストをひもといてみましょう。
小児看護学のテキストの最初の方は、発達や、看護に役立つ理論がたくさん掲載されていると思います。
そのなかに、病児への危機介入や、小児の発達段階に応じた病気の理解、理解度に応じた患者指導の方法などがあると思います。
これらを参考にして、自分の考察のあとに、「理論としてもこうだ・・・」ということを記述していくといいと思います。
2 専門書で確認
ただ、引用文献がテキストばかり・・・というのも何だか格好がつきません。
文献で押さえるというのは、あくまでも原書で押さえるのがベストなのです。
ですから、あくまでテキストは考察のポイントを絞るためのきっかけにしましょう。
ちなみに原書にあたるにはどうしたらいいかというと、テキストの巻末の引用・参考文献リストをあたってみるといいでしょう。
そこには必ず、テキストを書くのに活用された原書が含まれているはずです。
3)文献引用の仕方
文献を引用するときは、引用箇所を他の文章と区別するために「 」でくくり、研究者の名前とともに記述することを指導された方も多いかと思います。
でも、このタイプの引用方法が多いと、こんな感じになります。“
F・ナイチンゲールは次のように述べている「・・・・・・・・・・・(以下長文)」”“V・ヘンダーソンは、「患者の基本的ニードは・・・・・(以下長文)」と説明している。”・・・どうでしょうか。
こうした長文の引用は、ナイチンゲールやヘンダーソンの世界を前面に出してしまうことになります。
その結果、本来の話の筋道が寸断されてしまうことが多いのです。
引用する際には、本来の話の筋道を妨げないような配慮が必要になります。
必ずしもオリジナルな文章をまるごと引用する必要はないのです。
例えば、“こうした看護師の行動は、ヘンダーソン1)の指摘する○○にあてはまると考えられる。
”のような感じです。「○○」には、ヘンダーソンの理論の「要約」を入れ込むといいでしょう。
4)引用カ所の明記
さて、3)内で、ヘンダーソンの名前の右に1)と、小さな字で印がついていたのにお気づきでしょうか。
これは、「文献を引用しましたよ」というマークですね。
数字の意味は、レポートの最後の「文献リスト」の番号に対応しています。
番号の位置は、研究者の名前が入っている部分では名前の右側です。
引用内容の要約や、文章をまるごと引用した場合はその箇所の右側に入れるようにしましょう。
このように、自分の考えと他者のオリジナルな考えを区別することは重要です。
オリジナルな考え方や、まるごとの記述内容は著作権で守られているからです。
考察を文献で押さえることは、自分の看護が、先人の知識体系のなかに組み込まれ、確かな財産になったこと示すものです。ここまでよく頑張りました。
次回は、レポートの仕上げに向けての点検のポイントを示していきたいと思います。
ケースレポートの書き方一覧
◆看護研究の進め方◆
<第1回 テーマ決定1>
<第2回 テーマ決定2>
<第3回 関連文献検討1>
<第4回 関連文献検討2>
<第5回 補足資料 『はじめに』の例>
<第6回 質問紙法1>
<第7回 研究計画作成1>
<第8回 研究計画作成2>
<第9回 質問紙法2>
<第10回 面接法1>
<第11回 面接法2>
<第12回:データ収集:観察法①>
<第13回:データの収集:観察法②>
<第14回 データの収集:実験法①>
<第15回 データの収集:実験法2>
<第16回 倫理的配慮1>
<第17回 倫理的配慮2>
<第18回 量的分析1>
<第19回 量的分析2>
<第20回 データの分析:質的分析1>
<第21回 データの収集:質的分析2>
<第22回 論文の作成>
<第2回 テーマ決定2>
<第3回 関連文献検討1>
<第4回 関連文献検討2>
<第5回 補足資料 『はじめに』の例>
<第6回 質問紙法1>
<第7回 研究計画作成1>
<第8回 研究計画作成2>
<第9回 質問紙法2>
<第10回 面接法1>
<第11回 面接法2>
<第12回:データ収集:観察法①>
<第13回:データの収集:観察法②>
<第14回 データの収集:実験法①>
<第15回 データの収集:実験法2>
<第16回 倫理的配慮1>
<第17回 倫理的配慮2>
<第18回 量的分析1>
<第19回 量的分析2>
<第20回 データの分析:質的分析1>
<第21回 データの収集:質的分析2>
<第22回 論文の作成>
これであなたも即戦力!現場で役立つお役立ちコラム!
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