新型コロナウィルス感染症(COVID-19)次の波に備える
特集2「新型コロナウィルス感染症(COVID-19)次の波に備える」TOPIC2
COVID-19に立ち向かう在宅訪問栄養食事指導 体の中からの感染症対策
COVID-19は、外来(受診者)・入院患者の大幅減少のみならず、在宅訪問サービスの実施にも影響を与えました。以前より在宅訪問栄養指導に力を入れてこられた、鶴巻温泉病院栄養サポート室長の高崎美幸先生が、当時の訪問の様子をレポートしてくださいました。
髙崎 美幸 先生
(医療法人社団三喜会 鶴巻温泉病院/栄養サポート室長 管理栄養士・在宅栄養専門管理栄養士・臨床栄養士・NST専門療法士)
(医療法人社団三喜会 鶴巻温泉病院/栄養サポート室長 管理栄養士・在宅栄養専門管理栄養士・臨床栄養士・NST専門療法士)
当院のCOVID-19におけるBCP (Business Continuity Plan:事業継続計画)
当院は、神奈川県秦野市にある病院で病床数は505床、介護医療院52床で主に回復期・慢性期医療を担っています。ダイヤモンドプリンセス号の集団発生が起こった2020年2月より病院内は少しずつ変化し、2月25日からは面会・外泊・外出が原則禁止となりました。そのため頻回に「新型コロナウイルス関連BCP会議」が開かれるとともに、感染拡大防止のため、職員はマスク・ゴーグル着用の上、患者さんと対面するようになり、飛沫感染防止策として院内各所にビニールシートやパーテーションが設置されました。恐らく多くの病院・施設が当院と同じような対応をされていたことと思います。
訪問栄養食事指導の対象者
通院が困難 かつ
◎糖尿病 ◎腎臓病 ◎脂質異常症 ◎胃・十二指腸潰瘍 ◎高血圧症 ◎心疾患 ◎高度肥満症 ◎肝疾患 ◎膵臓疾患 ◎貧血 ◎痛風などの既往歴があり特別な食事管理が必要な方 ◎低栄養状態と判断された方(体重の減少・脱水・褥瘡・がんなど) ◎咀嚼・嚥下機能が低下している方
通院が困難 かつ
◎糖尿病 ◎腎臓病 ◎脂質異常症 ◎胃・十二指腸潰瘍 ◎高血圧症 ◎心疾患 ◎高度肥満症 ◎肝疾患 ◎膵臓疾患 ◎貧血 ◎痛風などの既往歴があり特別な食事管理が必要な方 ◎低栄養状態と判断された方(体重の減少・脱水・褥瘡・がんなど) ◎咀嚼・嚥下機能が低下している方
訪問栄養指導におけるCOVID-19対策
栄養サポート室に所属している私は、院内のNST(Nutrition Support Team)と在宅訪問栄養食事指導を担当しています。
COVID-19では基礎疾患のある方は重症化しやすいと言われています。訪問利用者は、ほぼ全員がハイリスク患者と言えますが、院内の変化に取り残され、3月までは通常体制で訪問を継続していました。
COVID-19では基礎疾患のある方は重症化しやすいと言われています。訪問利用者は、ほぼ全員がハイリスク患者と言えますが、院内の変化に取り残され、3月までは通常体制で訪問を継続していました。
訪問時にはガイドラインに従い、PPE(個人防護具:Personal Protective Equipment)を着用していますが、在宅では、患者・家族が通常の服装で重装備は私だけ。違和感を感じながら食事介助等にあたっています。
今後は第2波、第3波に備えるために、訪問担当者の対策に加え、在宅の環境整備(手洗い、部屋の換気、体調チェックなど)に目をむけ、感染症対策を浸透させていくことが課題です。
今後は第2波、第3波に備えるために、訪問担当者の対策に加え、在宅の環境整備(手洗い、部屋の換気、体調チェックなど)に目をむけ、感染症対策を浸透させていくことが課題です。
予防は最大の治療
このような対策を取りつつ今も訪問栄養指導を継続しているわけですが、そもそも栄養状態を良好に保つということは、体の中からの感染症対策だと思います。
一般社団法人日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)ではCOVID-19対策プロジエクトチームを立ち上げ「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療と予防に関する栄養学的提言」を2020年4月10日に発表しました。
内容としては、1〜12の提言でまとめられており栄養評価の実施の内容から始まります。
地域住民の間でも新型コロナウイルス感染症予防は関心が高く、鶴巻地区の多世代交流サロン会報誌「みんなのて」通信5月号に寄稿依頼がありました。一般の方向けに免疫力を高めるからだ作りの視点で食事の摂り方を説明しました。
栄養学的提言中の「タンパク質の喪失とともに種々の身体的機能的障害が惹起され、比較的早い段階で免疫能が障害される」に着目すると、「栄養状態は、ウイルスと戦うための土台になる」と考えられます。
「土台」となる身体が弱っていては、最先端の医療技術や医療機器を駆使して治療しても、良好な経過は望めないと予測できます。
また、外出自粛による運度不足やストレスによるフレイル(虚弱〉やサルコペニア(筋力減少症)では更に免疫力を低下させます。
そのため訪問栄養指導では、「よく食べ、よく動き、よく笑う!」を目指しています。提言12でも「予防が最大の治療」として個々の免疫力が発症や予後を左右することから、普段から栄養状態を高く維持しておくことが肝要であると述べられています。これは「社会栄養学」という新たな概念で、栄養状態においても「備えあれば憂いなし」こそが最大の目標である、と強調されています。
全文はJSPENホームページ(※1)をご覧ください。
一般社団法人日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)ではCOVID-19対策プロジエクトチームを立ち上げ「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療と予防に関する栄養学的提言」を2020年4月10日に発表しました。
内容としては、1〜12の提言でまとめられており栄養評価の実施の内容から始まります。
地域住民の間でも新型コロナウイルス感染症予防は関心が高く、鶴巻地区の多世代交流サロン会報誌「みんなのて」通信5月号に寄稿依頼がありました。一般の方向けに免疫力を高めるからだ作りの視点で食事の摂り方を説明しました。
栄養学的提言中の「タンパク質の喪失とともに種々の身体的機能的障害が惹起され、比較的早い段階で免疫能が障害される」に着目すると、「栄養状態は、ウイルスと戦うための土台になる」と考えられます。
「土台」となる身体が弱っていては、最先端の医療技術や医療機器を駆使して治療しても、良好な経過は望めないと予測できます。
また、外出自粛による運度不足やストレスによるフレイル(虚弱〉やサルコペニア(筋力減少症)では更に免疫力を低下させます。
そのため訪問栄養指導では、「よく食べ、よく動き、よく笑う!」を目指しています。提言12でも「予防が最大の治療」として個々の免疫力が発症や予後を左右することから、普段から栄養状態を高く維持しておくことが肝要であると述べられています。これは「社会栄養学」という新たな概念で、栄養状態においても「備えあれば憂いなし」こそが最大の目標である、と強調されています。
全文はJSPENホームページ(※1)をご覧ください。
参考※1 JSPENホームページ
https://www.jspen.or.jp/
https://www.jspen.or.jp/
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