1. ホーム
  2. コラム
  3. 2025年病棟編成 地域医療連携のお話<座談会>
ナースマガジン

2025年病棟編成 地域医療連携のお話<座談会>

投稿日:2015.08.06

地域包括ケアシステム…とは?曖昧模糊。
医療と介護と地域性で
地域独自な形で構築されていくべき。

2014年10月25日 和歌山県の病院経営者の方々にお集まりいただき、2025年モデルを見据えた地域医療ビジョンについての座談会を開催いたしました。

2025年モデルおよび地域医療ビジョンについて

工藤 2025年モデル、地域包括ケアということで、今後、中小病院では地域での医療連携が重要になってくるかと思いますが、いかがですか。

福   当院は開業以来、外科に特化しておりまして、現在は内視鏡手術に力を入れております。今後はケアミックス型という選択肢も模索しております。

稲田  当院は療養型ですが、最近は大病院からの白内障などの眼科の短期滞在型患者さんの受け入れが増えていますね。
成川  当グループでは、人口3万人くらいのエリアで急性期、療養、介護と複合体でほぼ独占でやっています。

丸畑  当院は療養型のみで介護事業をしていません。連携室が窓口となりケアマネや多職種との連携を図ってきました。協力できる開業医の先生もできつつあります。
楠山  地域包括ケアの流れですが、結局国はベッドを減らしていきたいということだと感じております。
当院のようなケアミックス型は、次へのつなぎの病院としてご利用いただくというかたちで生き残りを模索しております。

工藤  須佐先生のところは如何ですか?

須佐  当院は地域包括ケア病棟2を取得しています。
稲田  当院でも地域包括ケア病床を作ったのですが、在宅復帰率が壁です。復帰率70%は厳しい。
色々なところから重症患者を受け入れているので、退院していただくにも、退院先がない。自前で高齢者住宅を作るか、他の事業所と連携を強めていくか悩んでいます。
とにかく退院先の選択肢が欲しいですね。

工藤  地域包括ケアは「時々入院、ほぼ在宅」を目指すものです。今はそのための誘導の時期です。今回のポイントはデータ提出加算です。

福    とにかく現状のデータを全部出せということですね。

工藤  そういうことです。厚労省は実際にどれくらいの医療資源を投入されているのか知りたいのです。今後はその投入医療資源に応じた点数に改定されていくと思います。

辻    今回新たに設けられた「地域包括診療料」は、クリニックはともかく、病院にはかなり要件が厳しいですよね?

楠山  私もそう思います。実は、当院でも検討しましたが、患者さんのカルテを全部チェックしてもほとんど適合しなかったので届け出は検討中です。

工藤 「地域包括診療料」は「かかりつけ医」の在り方を今回、厚労省として示したものということで、また今後要件は見直されていく可能性はあります。

2014年度の診療報酬改定後の在宅医療への取り組み

工藤  今回の診療報酬改定で、特に同一建物への在宅医療についてはかなり厳しい改定となりましたが、影響はありましたか?

丸畑  在宅医療に及び腰になった病院も多いと聞きますが、当院は減算対策もして伸ばしています。
工藤  大きな高齢者施設向けに複合的に医療サービスを行っていたところは、今回の改定で大きな打撃を受けましたね。

稲田  当院はご自宅への個別訪問なので改定自体はさほど影響はないのですが、和歌山という地域特性上、移動時間が在宅医療に対する非常に大きなハードルになっていますね。
一つのエリアに患者さんが集中してくれていればいいのですが、現実的にはそうではないですから。
医療資源の投入に見合った患者さんのケアができるかどうかで、在宅医療への取り組み、スタンスが変わります。

2025年度に向けた医療・介護連携、地域連携に関する取り組み

工藤  地域包括ケアシステムを考えた場合、機能強化型訪問看護ステーションが重要な位置づけになると思いますが、特に24時間対応の運営面についてはいかがですか?

辻    前の病院で、二人体制で在宅担当医師だったのですが、夜間に往診したのは1年で4回程度でしたね。

稲田  当院も3ヶ月で2回くらいですね。
工藤  24時間体制という要件のハードルは高いですが、現実的には真夜中まで忙殺されるというケースはあまり聞かれないようですね。
さて、地域包括ケアシステムにおいて、医療と介護の連携という点で考えますと、丸畑室長いかがですか?
丸畑  当院のような療養型は、地域医療の川上と川下を「つなぐ」という役割は明確です。そのための多職種との連携を作っていかないといけませんが、まさに「連携室」がカギだと思います。
当院では急性期病院からの受け入れに、家族との事前面談を省略してスムーズな受け入れをしてきました。

ところが最近は紹介元の退院支援での対応が不十分で、受け入れ後にクレームになることもあります。医療療養における「医療区分」など医療機関、病棟の要件につての理解がまだまだ不十分だと感じます。
工藤   確かに「医療区分」を川上である急性期が把握していないケースはまだ多いようです。
さて、地域包括ケアシステムについては2025年を目標に行政主導で構築していくわけですが、現実的な問題として、
急性期を脱した患者さんをどう受け入れていくのか?
介護領域は自前でやっていくのか?
地域連携でやっていくのか?
また、限りある医療資源をどのように投入していくのか?
そこで働くスタッフのあり方は?
国もこれからデータを集めて精査していくところですから、まだまだ検討すべき課題は山積しておりますね。

ま と め

2025年モデルに向けて医療機能の再編は待ったなしで進んでいきます。
限りあるヒトを含めた医療資源をどのように割り振っていくのか、そのあり方は国も病院側も試行錯誤を続けている状況です。
退院調整や地域医療連携に携わる看護師の方は、こうした大きな流れにも意識を向けておくと、働き方、日々の業務にも気づきが生まれるかもしれませんね。

このコンテンツをご覧いただくにはログインが必要です。

会員登録(無料)がお済みでない方は、新規会員登録をお願いします。



他の方が見ているコラム