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患者さんの真のプロフィールを知るために第1回

【患者さんの真のプロフィールを知るために】第1回 コミュニケーションの糸口を探る

投稿日:2015.03.16

ナースの皆さんにとって、患者さんのプロフィールを知ることは、とっても大切ですよね。
お話し好きな人、ほとんど口をきいてくれない人、明らかに本心を隠している人。
患者さんにとって満足度の高い看護を提供するためには、個々の患者さんの、疾患だけでなくご本人のプロフィールも知っておきたいところ。
あなたはどんな工夫をしていますか? ( 編集部)

あなたらしさの伝わる自己紹介を

病室は自宅ではありません。治療に必要ないものは持ち込まれないものです。だからこそ、ベッド周りにおいているもの、その人の動いている様子、食べている様子などは、話題作りのきっかけを作ってくれるのではないでしょうか。

日本赤十字秋田看護大学の高田由美先生は
「相手は自分の鏡、と言われるように、お互いにどういう人なのかがわからなければ、会話は弾みませんね。まずはあなたから自己紹介をしましょう」
と言います。
「担当の〇〇です」、だけではなく、患者さんが「この人だったら話してもいいかな」と思ってくれるような(でも親しさとなれなれしさを混同しないように)自己紹介。
これはあな自身のプロフィールを再確認する作業にもなるのでは?

「聞き書き」の応用見出し

『聞き書き』ってご存知ですか? 
相手が話したことを、話し言葉のまま一人称で記録するものです。これを入院患者さんに活用している病院があります。

検温時に一言。
「運動会の季節ですね~。〇〇さんは、小さいときかけっこ速かったですか?」
「あ~、いっつも一番だったさ」。
ふむふむ、小さい時にかけっこが得意でいつも一番、とカルテに書き込みます。

次のナースもそのカルテに目を通してから病室を訪れ、会話の続き。
「どうしたら速く走れるのかしら? 私、走るのは苦手だわ~」
「そりゃもう、腕を速く振るんだよ、足が一緒に動くから」。
速さの秘訣を次のナースがカルテに記入します。

こうやって、訪れるナースが変わっても会話はどんどんリレーされていくので、患者さんは「この病院の人たちは、みんなが私のことをよく知っていてくれる」
と、安心していろいろなお話をしてくださるそうです。

在宅は宝の山

さて、我が家に帰ってきた患者さんは、玄関に飾られている絵、本棚に並んでいる郷土史の全集、壁に掛けられたお孫さんの写真などに囲まれて、とっても嬉しそう。
ホッとして、今まで病院では見せたことのないわがままな一面をのぞかせることもあるのでは?
「自宅はその方の過ごしている状態がむき出しになっているので、在宅訪問の場合は情報がありすぎるくらい。
どのような生活をしてきたのかを知るきっかけを、訪問の合間合間に聞いていくようにすると良いかもしれませんね。
ただ、従来の看護教育では、患者さんの問題点を重点的に観察する傾向にありましたから、今後はその認識を少し改善しないと生活史は見えてこないかもしれません」
と、高田先生。

患者さんにとって困っていること(問題)を探り、その人らしさを尊重した援助(ケア)を行っていくためのヒントを、患者さんの生活史から見つけようというアプローチ、あなたも試してみませんか?

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