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【何ぞやシリーズ4】「ESBL 産生菌」って何ぞや?

【何ぞやシリーズ4】「ESBL 産生菌」って何ぞや?

投稿日:2015.03.11

細菌検査の結果に「ESBL」と書かれていることがあります。
これは、基質特異性拡張型β‐ラクタマーゼ(Extended Spectrum β-Lactamase)のこと。
さてその正体は?
院内感染予防のためにも知っておきたい「ESBL 産生菌」って何ぞや?
院内感染というと、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)やMDRP(多剤耐性緑膿菌)が思い浮かぶだろ? 
ESBL産生菌も、第三世代セフェム系抗菌薬を分解して効果を失わせる酵素を生み出す、多剤に耐性を示す細菌だ。
まぁ、産生菌そのものが持つ病原性が強くなるわけではないが、感染を起こした時に効果のある抗菌薬が限られて、治療に支障をきたすことがある。
さらに困るのは、この耐性遺伝子が他の菌(たとえば大腸菌から肺炎桿菌へ)にも耐性情報をうつしてしまうことなんだ。
大腸菌や肺炎桿菌は、腸内常在菌として一般の健康な人が保菌していることも少なくないわ。
ESBL産生菌が私たちの手や器具なんかでうつらないように、しっかりと手指衛生をして、正しい器材処理をすることが超重要よね。
「感染症治療に有効な抗菌薬の選択には、薬剤感受性試験で治療効果が期待できるかどうかを判断することが望ましい」って虎の巻に書かれてたよ。
研究上、細菌の発育を阻止する最小の抗菌性物質濃度をMIC(最小発育阻止濃度)という。
この考えを臨床に当てはめると、感染症を治せる最小の抗菌性物質濃度を臨床的ブレイクポイントといって、感染原因菌のMIC がこの値より低いと治療効果が期待される感性、高いと効果が期待できない耐性と判定されるんだ。
この感性の定義は、「適正な抗菌性物質の使用により治療効果が期待される」から、現在では「被検菌の発育は抑制される」と、臨床的な効果を直接表すものではない、という考え方に変わってきているそうだ。
耐性菌の産生という問題をもっと私たちも意識して、漫然と長期間同一の抗菌薬投与がなされていないか、手指衛生をきちんと行っているか、しっかりチェックしなくちゃね。
(つづく)
①薬剤感受性結果に基づいて適切な抗菌薬に変更できる

②効果的でない抗菌薬の継続投与による多剤耐性菌の抑制が期待できる

③感受性結果を縦読みせず、感染臓器と組織移行性を考慮するとさらにGOOD!

■監修/四宮 聡
 感染管理認定看護師
箕面市立病院 ICT担当副部長)

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