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要介護1の母と私の関わり

要介護1の母と私の関わり 2015年に思う事

2015年 年の初めに思うこと
我が家恒例の、元旦ツーショットをご覧いただきましょう。上は2014年元旦に丸の内ホテルで撮影し、下は2015年、今年の元旦に実家の居間で撮影した母とのツーショットです。

今年の春、母は83歳になります(私は51歳です。(笑))
2014年と2015年の写真を見比べて、読者の皆様はどんな感想をお持ちになりますか?私は、母がこの一年で急激に老化した事を実感しています。この写真からは分り難いかもしれませんが、体重も3~4㎏減っています。母の頬を見ると、「こけたなあ~」と思いますし、口元にも大きな変化があるのです。
母は上下部分入れ歯を入れていますが、昨年は歯のトラブル続きで、歯を抜いたり治療したりで、新しく義歯を作り治し、歯科医院に随分通いました。また母には右胸に大動脈瘤があり、春先には胸が苦しいと訴え検査をしたり夏には腰が痛いと接骨院に通ったり…歯が急激にもろくなるということは、本当に体の免疫機能や再生能力が衰える、生命の悲しい現象だと痛感しました。

そんな母と、1月3日、湯島天神へ初詣に行きました。ところが、想像以上の混雑でお参りを断念、湯島天神から向かった先は、某デパートです。デパ地下はお年寄りの遊園地とも言えるくらい母のような世代の人が多く来店し、買い物をしていました。
デパ地下で買い物を楽しんだ後は、母にブレイクタイムを取らせないと、駅までの道を歩く体力はありません。近くのカフェによると、偶然にも、隣の席には有名な落語家のお師匠さんがお連れの方とマネージャーとコーヒーを飲みにいらしていました。最近まで入院していたと報道されていたこのお師匠さんのテーブルの横には、酸素ボンベが置かれていました。頬はこけ、笑顔から見える左上の小臼歯は未処置の歯が見えました。お師匠さんは母と同年代ですが、口の中も母と同じでした(歯科衛生士ゆえに見える口腔内…)。

一方、母はといえば、小さなコーヒーカップには量が多すぎるサイズのグラニュー糖の袋を開け、すべての砂糖をカップに入れスプーンでかき回しながら、アイスカフェオレにもたっぷりのガムシロップを入れ、甘~いモンブランを頬張っています。それを見たお師匠さんが、「なんだ、上手そうなケーキだなあ」と話しかけてくれました。母は「美味しいですよ!」と大喜びで答え、帰りは握手まで求めていました。80代の男女が10代の男女のように熱く手を握り合っている姿が、滑稽でもあり幸せな瞬間でもありました。
しかし、今の日本の健康寿命を超えて元気に過ごしている高齢者の皆さんが、これからも健康に過ごしていただくためには、適切なケアや食事指導、環境整備などが必要です。私たちがやらなければならない事は何か、医療人として胸が痛い気持ちでいっぱいになりました。この痛みをバネに、2015年も口腔ケアの意義と実践の啓発に関わっていきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

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