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訪問看護ステーション訪問レポート第1回

第1回 訪問看護ステーション訪問レポート 株式会社渚鷗会訪問看護ステーションみのわ

投稿日:2014.11.20

本誌読者アンケートでご要望の多かった「訪問看護ステーションレポート」を今号よりスタートします。
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経歴の違う3人が集まって

〝訪問看護ステーションみのわ〞は2013年4月、3人の看護師によって設立された。

代表取締役社長の松澤忍さんの前職は、関越中央病院の看護部長。
デンマークやスウェーデンのような、看護が地域に張り巡らされ、夢や希望の叶えられるケアを届けることで地域全体が癒されてゆく仕組みを作りたいと考えていた。

管理者の田口美代志さんは、日赤看護学校及び前橋東看護学校で基礎看護学を教えていた教育者で、実は松澤さんとは従姉妹。

田口さんと看護学校の同級生で、声を掛けられてワクワクして参加したのは、前橋市の特養かまくらの看護師だった閑野久美子さん。

実はこの3人、訪問看護の経験がほとんど無いのだが、それぞれの経歴を活かした視点やアイデアを持ち寄り、「願い叶えたまえ サービス」を届ける訪問看護ステーションを目指して集まった。
誰かが失敗しても責めることはなく、誰かの喜びはみんなで喜びあい、自他共に認める最強・最高トリオだ。

「おうちマジック」で笑顔が戻る

田口さんには、病院勤務時の印象深い思い出がある。
入院中の夫の余命が数週間と知らされ、妻の願いは「ディズニーランドのシンデレラ城の前で親子3人の写真を撮る」こと。
それを田口さんから伝えられた主治医は、その日のうちに退院許可を出す。妻は直ぐに友達に連絡を取り、友達は一丸となってその願いを叶えてしまった。
再入院の時、すでに話はできなくなっていたが、最後のチャンスを逃さず願いを叶えられたことに、皆が満足していた。
「これから亡くなっていく人も、何かやりたいことはあるはず。些細なことでも本人には大きな願いです。
その願いをかなえるために、自分が支えられたらなあと思ったのが、ステーション立ち上げに至るきっかけですね」と振り返る。

願いを叶えようという希望は、人の心を元気にする。療養の場が在宅であれば尚のこと。在宅療養の良さを、3人は口をそろえて「おうちマジック」という。

季節を感じる自宅が病室になり、懐かしい我が家の風景、音、匂いに囲まれると、病院では無表情だった顔にも笑顔が戻る。
家にはそんな最高の治療、「おうちマジック」がある、と。
「在宅訪問は病みつきになっちゃいます。私達にできることは些細なことなのだけれど、ニコ〜っと笑ってもらえたときなど、最高です。
ケアに対するありがとうだけではなく、看護を届けてくれてありがとう、というような思いが肌身に伝わってくる、そこが病院看護と全く違います。
私達はご家族が決めたことを精一杯サポートしているだけで、意図的に在宅に誘導をしていることなど何もないのですが、〝家に連れて帰れなくてごめんね〞ではなく、〝今までありがとう〞で終われるのは、最高ですね」との松澤さんの言葉にうなづく二人。

お金で買えない「富」を積む

ある日、訪問患者宅から「静脈栄養の針が抜けた。予備もないので来てほしい」という連絡を受けた閑野さん、すぐに松澤さんにSOS。
松澤さんは自身の持つネットワークをフル活用し、知り合いの病院に頼んで貸してもらうことになり、閑野さんに指示。
閑野さんは、社長なら何とかしてくれると、そのつもりで病院に向かっていた。
無事訪問先で対応することができ、この様な緊急時も何とか乗り越えてしまう松澤さんの力を、田口さんと閑野さんは「社長の蓄えてきた、お金では買えない富(とみ)」と称える。
当の松澤さんは
「良い関係を作るための良い仕事をしていれば、助けてくれる力という富は積み上げられていきます。私達はこの1年、たくさんの人からそういう富を頂いた、幸せな訪問看護ステーションなんです。
日々相手のことを思い、一生懸命やっていただけ」と笑う。

その精神は、利用者さんへのサービスにも現れる。
この地域では訪問看護自体がまだ広まっておらず、みのわのメンバーは、訪問先で「介護さん」と呼ばれて、担当外の事を頼まれる事もある。
しかし、「それは私たちにしてほしくて頼むのだから」と、本人たちもできる限り応じてしまう。
さらに「私達は丸抱えの出前サービスだから、仕事に必要なものは自分たちで用意して、ご家族の負担をできるだけ減らそうと思って」
と、清拭や洗髪用のお湯までペットボトルに入れて持参するという。
え?お湯まで?!と驚いていると、
「それだけじゃ飽き足りなくて、訪問入浴車が来なくてもお風呂に入ろう!と、ベッドの上で入浴をしたこともあるの。3人いれば、できちゃうんだね〜これが(笑)」と、
事も無げに言ってのける松澤さん。
「利用者さんが気持ちよさそうにしているのを見るのが、仕事の励みになります。気になるところは持ってきたお湯をどんどん使って、きれいに洗ってくるんです。だから、うちの利用者さんでオシッコくさい人は、一人もいません」ときっぱり。

閑野さんも、自分たちの訪問の後に訪問入浴サービスを利用されたときに、汚れが残っていると思われたくない、という、自分たちのケアに対するプライドがあるという。

「そんな私達に訪問看護の依頼がくれば、それがまさに富。富に対して恥ずかしくない仕事をしなくては」と、3人はせっせと富の種を蒔く。

「経営は大丈夫?」「ん〜わかんない!(笑)。今はこれでいいの」

当ステーションの1カ月の訪問件数は、のべ120〜130件(2014年2月現在)。
少ないからこそ訪問スケジュールにも余裕があり、頼まれたことにも対応できる、と謙遜しているが、よいケアに対するこだわりには妥協がない。
納得できるケアのためには、利益につながらなくても、物品の購入が持ち出しになっても、出費は惜しまない。
「それで経営は大丈夫なんですか?」と恐る恐る質問すると、
「ん〜…。わかんない!!」と笑って答える社長の松澤さん。「傍から見ると、これは経営的にダメなところなんでしょうけれど、あんまりそういうところでキツキツしてないのね(笑)。もちろん損益分岐点を見極めて、黒字を目指してはいます。
でも今は、ケアマネさんも含め、地域全体に〝訪問看護ステーションみのわ〞は、こんなことをやっているんです、ということを知ってもらわないと。
家族の評価は、私たちではなくてケアマネさんに届きます。そこでケアマネさんが私達の動きを知って下さって、こういう患者さんだったらみのわさんにお願いしよう、と言っていただけるようになりたいんですね。やるべきことをやっていれば、収入は後からついてくるものだから、今はこれでいいの。
何より楽しそうでしょう?みんな、苦労と思ってないところがいいの」
とケセラセラなお返事。

ナーシングホームやデイサービスを含め、みんながほっとできるこの地域のオアシスになることを目指し、雨の日も風の日も雪の日も、お湯を担いで
〝みのわ〞のナースは今日も行く!
株式会社渚鷗会 訪問看護ステーションみのわ
〒370-3105 群馬県高崎市箕郷町西明屋338
TEL   027-386-2286
OPEN  9:00 ~18:00(緊急の場合は24 時間対応)
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