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口腔ケア

口腔ケア 歯科における、後期高齢者患者のメンテナンス通院の意味

年々メンテナンス目的(歯科治療を終えて、再発予防で歯科受診される方)で通ってくる患者さんの割合が、どこの歯科医院も増えてきています。
また、地域性もありますが、小児の患者よりも成人が多い歯科医院では、後期高齢者の割合が、全体の患者さんの1割を超えてきているところも少なくありません。
このような患者さんは、天候や体調不良でキャンセルも多くなりがちですが、「元気なうちは来ます」と真面目に通ってくれる方です。

本来、歯のメンテナンスの目的は、虫歯やお口周りの病気の予防・再発予防であり、健康で、いつまでも自分の歯で美味しく食事が出来ることです。
しかし後期高齢者の方々にとっては、歯科医院に通えることは低下しつつある身体機能を維持し、自立できている意味を持つように感じます。つまり、プラークコントロール(細菌を閾値にコントロール)も大切ですが、嚥下機能、咀嚼機能、口輪筋機能、舌機能など、機能低下を抑えていくことも重要になるのです。

私の母は、毎週1回トータルリハで、歯ブラシ指導を受けてきます。
「今日はどうだった?」と聞いても、母の返答はいつも「ただ歯ブラシ自分でするだけだよ。舌磨け、とか、口蓋磨けとか、奥歯まで磨けとか言われるだけ」と話します。

母は、歯科衛生士からこのような当たり前にできる事を毎回指導されて、意味があるのか? と言った口調です。
では、母も含め、私達が当たり前と思って自分流で行っている歯磨きの仕方が正しい口腔ケアになっているかというと、そこは疑問です。
歯科衛生士の指導する歯ブラシ指導には、それぞれ目的と根拠があります。歯ブラシの当て方一つで、汚れを取り除ける範囲も変わってきます。

ちょっと考えたくありませんが、口の中にはたくさんの菌が生息しています。
歯の隙間だけではなく、乾燥した舌や口蓋(上顎)、歯茎と頬の内側の間など、汚れた口の中で菌は増殖し、口臭の原因となったり、菌だらけの唾液の誤嚥により肺炎に至ることもあります。

肺炎を発症してベッドで寝たきりの状態になれば、足の力が弱って立つことが難しくなるかもしれません。歯ブラシを握って自分でできていた歯磨きも含め、いままでできていた日常動作ができなくなってしまうかもしれないのです。

出来る事を一つ一つ増やしてゆく考え方から、出来なくなることを少しでも減らしていく考え方が、歯科における後期高齢者のメンテナンスには言える事なのです。

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