1. ホーム
  2. コラム
  3. 西山順博先生に訊きました 『ケアに活かせる栄養療法の豆知識』第1回
西山順博先生に訊きました 第1回

西山順博先生に訊きました 『ケアに活かせる栄養療法の豆知識』第1回

投稿日:2015.11.27

褥瘡患者の栄養管理とコラーゲンペプチド

褥瘡患者の栄養管理

褥瘡は患者のQOL を著しく低下させ、介護者の負担も増やします。
日々、適切な対応(スキンケア、体圧分散など)をしていることと思いますが、褥瘡の予防にも治療にも、それぞれの状態に適した栄養管理が重要です。

褥瘡患者の栄養管理で大切なのは、エネルギー量や水分量、そして褥瘡治癒を促進させる栄養素の補給です。必要エネルギー量が充足していても、栄養源が糖や脂質中心でタンパク質(アミノ酸)が不足していると、創部の修復が進みません。ビタミンや微量元素等、特定の栄養素の補給を考慮することもあります。
とは言っても、小食や偏食、また嚥下機能が低下している方も少なくありません。本人が負担を感じているのに食事からの摂取を強要され続けたら、楽しみのはずの食事が苦痛やストレスの原因となってしまうかもしれません。

本人が1 回に食べられる量を把握し、デザートやおやつで不足する栄養素を補給するように工夫しましょう。

ちまたで話題のコラーゲンペプチドとは?

最近、コラーゲンペプチドが注目されています。身体を構成するタンパク質の30%を占めるコラーゲンを熱により分解するとゼラチンになり、ゼラチンが酵素によってさらに分解され、冷水にも溶けるようになったものがコラーゲンぺプチドです。

血流にのって全身を巡りながら、真皮・筋肉・骨・軟骨などの細胞を刺激する「活性化物質」として細胞壁に運ばれていきます。
これまで、食事として吸収されたコラーゲンやゼラチンはアミノ酸まで消化(分解)・吸収され、体内でタンパク質合成の材料となると考えられてきました。

最近の研究では、ジペプチドで吸収されるものもあり、特にコラーゲンに特徴的Hyp(ヒドロキシプロリン)を含むジペプチドが、線維芽細胞を刺激して増殖・遊走を促進し、コラーゲンやエラスチンなどの合成を促進・活性化させることが知られてきました。
褥瘡モデルラットの試験では、対照群に対し、コラーゲンペプチド投与群で有意に「褥瘡面積比総和の縮小」と「褥瘡治癒日数の短縮」が示されており、褥瘡の予防や改善にも意義があるのではないかと注目されているのです。
コラーゲンは肉のスジや魚の骨や皮に多く含まれるのですが、現代人は、このような食品からのコラーゲン摂取量は減ってきています。
1日に5~10g摂取するのが理想的と言われていますが、現代人の摂取量は平均1.9gという報告もあります。日々の食事からだけでは摂取しにくくなっているコラーゲンは、コラーゲンペプチドとして摂取すると効率的に補えそうですね。

「栄養療法の豆知識」と謳っていますが、栄養はできるだけ「食事」から楽しんで摂ることを忘れずに、工夫していただけたらと思います。
※中尾光治、他 : 褥瘡モデルラットにおけるコラーゲンペプチド経口摂取の褥瘡治癒促進効果.Jpn Pharmacol Ther(薬理と治療),vol.41,No.6,2013

このコンテンツをご覧いただくにはログインが必要です。

会員登録(無料)がお済みでない方は、新規会員登録をお願いします。



他の方が見ているコラム