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ナースマガジン×キッコーマンニュートリケア・ジャパン

エキスパートに聞く 症例から考える排尿ケアQ&A

投稿日:2025.04.04

患者さんに寄り添った排尿ケアを行うためには、正しい知識と技術が求められます。今回、排尿ケアのエキスパートである医師と看護師それぞれの視点から、実際の症例をもとに、具体的なアプローチ方法について解説をいただきました。新たな視点と実践知識を身に付け、日々のケアに役立てていきましょう。
※2024年11月5日のWEBセミナーでいただいた質問をもとに制作しています。
コンチネンスジャパン株式会社 
専務取締役
日本コンチネンス協会 名誉会長
西村かおる先生
キッコーマン総合病院
泌尿器科 主任部長
鈴木基文 先生


グループホームに入所中の80代女性について、夜間頻尿の対策としてシリコン製の尿道カテーテル(14Fr)を挿入し、1カ月の頻度で交換を行っていましたが、カテーテルの先端に結石が付着してしまい、交換時に痛みが生じています。
どのように対処すると良いですか?
―介護施設 看護師

結石の付着が尿道カテーテルの長期留置に起因する場合、結石除去も必要です。
鈴木先生:
 尿路感染も頻尿の原因の一つですが、 尿路感染に関しては、 尿の酸性化を促すクランベリージュースやビタミンCの摂取なども対策として有効です (図1)。

 夜間頻尿の原因も様々ですが、 まずは排尿に関する記録をして、24時間尿量に占める夜間尿量の割合を確認しましょう。睡眠時無呼吸症候群、 心不全、 循環不全などの疾患や下肢のむくみの有無、 夜間頻尿を誘発する薬剤 (利尿薬、 カルシウム拮抗薬など) の使用の有無など、 患者さんの状態をしっかり把握し、 多方面から総合的に考え原因を探ることが大事ですね。
図1:クランベリージュース摂取による 尿道カテーテルへの結石付着軽減効果



排尿に関する記録を行うことで、 夜間の排尿も把握することが大切です。
西村先生:
 24時間での尿量を把握し、 昼夜共に頻尿の場合であれば、 過活動膀胱の可能性もあるかもしれません。 もしこの患者さんが眠れていない場合は、 睡眠導入剤の服薬を検討し、 腹部エコーで残尿が残っていなければオムツキャッチにて尿量測定を試みても良いかもしれません。 排尿に関する記録から得られる情報は多々ありますので、 まずはしっかり記録をつけることが大切ではないかと思います。

 場合によっては泌尿器科での診察なども視野に入れながら、 再アセスメントも必要ではないでしょうか。 尿道カテーテルの抜去も含め、 患者さんにとって最適な方法を考えられると良いですね。



排尿が自立しており一般的な社会生活を送っている人がいて頻繁に膀胱炎にかかっているのですが、そのような人にクランベリージュースは有効でしょうか?
―大学病院 スタッフ

高濃度クランベリージュースの活用と性差に応じた対応を。
鈴木先生:
 クランベリージ ュースについては、 高濃度のものを飲むと、 反復性の尿路感染症のリスクが下がったとする論文がありますので、 有効であるといえるでしょう。¹⁾

 解剖学的には、 女性の方が尿道が短いため膀胱炎になりやすいことが知られています。 男性で膀胱炎を繰り返す場合は、 膀胱がんなど他の疾患である可能性も高いため、 泌尿器科の受診が必要です。
西村先生:
 まずは高濃度クランベリージ ュ ースを試してみて欲しいですね。

 女性は肛門と膣が近いため、 細菌が入らないよう排泄後のトイレットペーパーでの拭き方(前から後ろへ) にも注意した方が良いでしょう。 また、生活や衛生習慣の見直し、 仕事の忙しさなどでトイレを我慢しすぎてしまう習慣を作らないことも重要だと感じます。



鈴木先生が紹介!クランベリーの最新 TOPICS

2023年のコクランレビューによると、有症性の尿路感染症や反復性尿路感染症においてクランベリー製品の摂取で発症リスクが低下した、という結果が得られています。最新のTOPICSとして以下の2つが挙げられます。
コクランレビューとは?
国際的団体であるコクランが作成、定期更新している、信頼度の高いエビデンスに基づいた医療情報レビューです。

TOPIC 1)タブレットやパウダーにも注目

クランベリー製品には様々なタイプがありますが、形状にかかわらず、有効性が期待できます。ジュースやシロップのほか、酸味や渋みが苦手な方のために、タブレットやパウダーなどもあります。これらの摂取に関しては、有症性尿路感染症で35%、反復性尿路感染症を患った女性では55%のリスク低下効果がみられています²⁾。

TOPIC 2)有症性の尿路感染症予防効果にも期待

残尿感、排尿時の痛み、尿混濁といった一般的な症状がみられる尿路感染症に関して、クランベリーを摂取することで予防効果が期待されます。膀胱で尿pHを下げる働きや、細菌が膀胱壁へ付着するのを阻害する働きをもつ有効成分が、尿路感染症の予防や改善に役立ちます。
尿路感染症の再発は、入院期間の長期化や再入院にもつながります。発症や再発を防ぐためにも、今後、入院期間中や退院後の継続ケアとして、クランベリーの効果的な活用が望まれます。



参考文献
1) 日本感染症学会,日本化学療法学会:JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015―尿路感染症・男性性器感染症―.2016
  https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/guideline_JAID-JSC_2015_urinary-tract.pdf (最終閲覧2024年12月25日)
2) Williams G et al. Cochrane Database Syst Rev 4: Art. No.: CD001321, 2023.

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