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ナースマガジン

平成2 6 年度 診療報酬改定! 在宅医療を支える訪問看護ステーション、 機能強化と連携が課題!

投稿日:2014.05.04

3月5日、平成26年度診療報酬改定の告示・通知が発表され、4月1日より施行された。診療報酬改定のたびに、要件の見直しや加算・減算、新制度の設立などに関係者は右往左往。
人員配置にも影響するそれらの点数は、今まで実績を積んできたことに対する評価であると同時に、国の医療政策方針の表れでもある。
国を挙げての在宅医療誘導の中、患者にも看護師にも意識変革が求められている。
少子高齢化多死社会を突き進む日本。今回の改定では、〈入院医療の機能分化〉と〈在宅医療の推進〉が二本柱と言われている。 医療機関は、今後の病棟再編成の流れの中で病院が担うべき役割(高度救急、一般救急、地域包括ケア、長期療養)を選択しなければならない。 病院看護師も訪問看護師も、地域における役割を改めて問い直すことになろう。安定した地域包括ケアシステムを提供する仕組み作りに参加しつつ、安定した訪問看護ステーション運営も成り立たせなければならないからだ。 全国約68万名の会員を擁する日本看護協会の齋藤訓子常任理事にお話を伺った。

同行訪問を糸口に地域へ出てみよう

7対1病棟の要件の厳格化・縮小に伴い、看護師不足に悩む訪問看護ステーションに病院看護師が流れていくのではという意見も聞かれるが―

「(人の異動は)看護師と病院との雇用の問題ですし、各病院がどの機能に特化するのかを選択し、経営戦略上、看護師を地域に出すのか院内で活躍してもらうのかは、それぞれの判断。
病院看護と訪問看護の違いもあり、単純な問題ではありません」と首をかしげる。

平成24年度の改定で、「専門性の高い看護師」の同行訪問の仕組みが評価されるようになった(緩和ケアまたは褥瘡ケアの専門性の高い病院看護師が訪問看護に同行するときは、病院の収入につながる)。
しかし病院管理職の眼が地域に向いているとは言い難く、同行訪問の仕組みはあまり活かされていないという。専門知識や技術を持っていてもそれを在宅医療で活かすという体験を持たない病院看護師が多いそうだ。

「院内の看護配置に余裕があるならば、まず、専門性の高い看護師を同行訪問に出せる体制を、病院側は整えてほしいですね。ただ一緒に付き添っていくのではなく、在宅で褥瘡ケアや疼痛管理を行っている訪問看護師に、専門性の高い技術やケアのポイントをアドバイスしたり、患者や家族にどういう状態が緊急事態なのかを指導するのです。

現在はまだ褥瘡ケアと緩和ケアに限られていますが、今後このような病院看護師と訪問看護師の連携の仕組みを広げることにより、患者さんの在宅療養の質を上げていくことが期待できます。
これからは、自分の勤務する病院が在宅部門を持つかどうかに関わらず、『在宅』の視点は全ての病院看護師に必要になります。

退院支援の研修や、訪問看護の体験実習なども徐々に増えていますので、在宅で療養するとはどういうことか、学ぶ機会を得ていただきたいですね」。

治すための病院看護とは異なる「生活を支えるための訪問看護」に、まず触れてほしい、ということだろう。

ステーションの壁を越えた地域包括ケアの底上げ

今回創設された機能強化型訪問看護ステーションは、看取りや重症度の高い人への訪問看護以外にも、地域住民への訪問看護の普及・教育・相談支援、看護学生の実習受け入れ、他ステーションの看護師への研修による人材育成など、多様な機能・サービスの提供が期待されている( 図)。
それらのニーズに応え、安定的なサービスを提供するにはステーションの大規模化が必要なため、訪問看護事業所の半数余りを占める小規模のステーションは参入できないのではないだろうか。

「看護師不足に喘ぐ小規模ステーションにとって、機能強化型訪問看護ステーションの要件は厳しいとの声も聞かれ、賛否両論ですが、すべてのステーションが機能強化型を目指すということではなく、地域でうまく役割分担ができればいいと思います。
『なんでも病院』ではなく『できるだけ地域』の時代なのですから、受け皿となる地域全体のケアの底上げが出来ればいいのです。機能強化型訪問看護ステーションで地域の訪問看護師の教育・研修を引き受けることにより、小規模ステーションの負担を減らしバックアップすることができます。
将来的には、例えば、昼間の訪問は小規模ステーション、夜間の訪問は人員の確保されている機能強化型のステーションが担当するという連携も考えられます。
今後のモデル事業等を通して、規模の異なるステーション間での連携が出来るのか、現場のご意見をうかがいながら、改善点があれば国に提案していく当協会の姿勢は堅持していきます」
とのこと。

病院看護師も地域の訪問看護師も、どういう専門性を発揮して安定した看護を提供してゆくかというビジョンを持っている。
今回の改定に至った背景や意味を受け止め、地域包括ケアという大きな枠組みの中で、個々のステーションがどのように動きながら、それぞれのビジョン実現のためにこの改定を活かしてゆくのだろうか。

来るべき2025年問題に備え、各訪問看護ステーションの意識変革と人材育成は待ったなし、
である。

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