古武術介護第3回
【古武術介護】 第三回 介護するための身体づくり
下半身と上半身をつなぐ体幹のポジショニング~姿勢
今回は体幹のポジショニングつまり姿勢について紹介していきます。
姿勢は、上半身と下半身をつなぎ、全身の連動性を引き出す役割とともに、腰痛の予防や改善にも、重要な役割を担っています。我々が一般的に思う良い姿勢と実際に動きやすい姿勢とではかなりの差があります。
固定概念を身体から考え、変えていく作業を今回も実践していきましょう。
姿勢は、上半身と下半身をつなぎ、全身の連動性を引き出す役割とともに、腰痛の予防や改善にも、重要な役割を担っています。我々が一般的に思う良い姿勢と実際に動きやすい姿勢とではかなりの差があります。
固定概念を身体から考え、変えていく作業を今回も実践していきましょう。
正しい姿勢こそ気をつけよう
それでは、一般的に良いと言われる姿勢が、実は負担がかかっているということから取り組んでいきます。
まず、我々がイメージする良い姿勢とは、気をつけの姿勢です。(写真1)
ただ、胸を張って、背筋は伸ばして、という姿勢をとっていると、腰が反り過ぎてしまい、腰一点に負担が集中するということが起こってきます。
私が、ある大学で、腰の椎間板にかかる負担の計測をした時のこと。気をつけの姿勢で立った被験者は72キロの方にも関わらず、腰には82キロの負荷がかかっていました。
なぜそうなったかは単純明快で、胸を張り、背筋を伸ばすと腰が反って負荷が集中していたからです。
では、気をつけの姿勢というのは、どういう解釈をしたら良いのでしょうか。
私は、社会的、儀礼的に良い姿勢であって、動く時には適さない、つまり使い分けることが必要な姿勢だと考えています。
私達は、小・中・高と、卒業式や入学式も、授業前後の挨拶も、気をつけの姿勢が良い姿勢として過ごしてきました。ところが、実際に動く時に、気をつけのままで動いてみると大変動きにくいことに気づきます。
まず、我々がイメージする良い姿勢とは、気をつけの姿勢です。(写真1)
ただ、胸を張って、背筋は伸ばして、という姿勢をとっていると、腰が反り過ぎてしまい、腰一点に負担が集中するということが起こってきます。
私が、ある大学で、腰の椎間板にかかる負担の計測をした時のこと。気をつけの姿勢で立った被験者は72キロの方にも関わらず、腰には82キロの負荷がかかっていました。
なぜそうなったかは単純明快で、胸を張り、背筋を伸ばすと腰が反って負荷が集中していたからです。
では、気をつけの姿勢というのは、どういう解釈をしたら良いのでしょうか。
私は、社会的、儀礼的に良い姿勢であって、動く時には適さない、つまり使い分けることが必要な姿勢だと考えています。
私達は、小・中・高と、卒業式や入学式も、授業前後の挨拶も、気をつけの姿勢が良い姿勢として過ごしてきました。ところが、実際に動く時に、気をつけのままで動いてみると大変動きにくいことに気づきます。
動きやすい機能的姿勢
そこで、動きやすい姿勢を考えていきます。まず、肩の力を抜き、股関節、膝は軽く曲げて、骨盤と腰骨は丸めたり反らしたりしない、骨盤と腰骨は真っ直ぐの状態を保つようにします。(写真2)
この姿勢が、腰に負担がかからず、動きやすい姿勢となってくるのです。先ほど82キロあった負担が、マイナス22キロの、60キロに軽減したというデータも取れました。
こういった姿勢は、日本的な姿勢には、非常に多く見られます。日本舞踊や、能、狂言、もちろん古武術もしかり。それは、着物を着て帯を巻くと、必然的に、骨盤と腰骨は反ったり丸まったりせずに、骨盤と腰骨が真っ直ぐになりやすいからです。
この姿勢が、腰に負担がかからず、動きやすい姿勢となってくるのです。先ほど82キロあった負担が、マイナス22キロの、60キロに軽減したというデータも取れました。
こういった姿勢は、日本的な姿勢には、非常に多く見られます。日本舞踊や、能、狂言、もちろん古武術もしかり。それは、着物を着て帯を巻くと、必然的に、骨盤と腰骨は反ったり丸まったりせずに、骨盤と腰骨が真っ直ぐになりやすいからです。
また、日常生活の中で、寝ている時に、我々は骨盤と腰骨を無意識にコントロールしています。足を伸ばして寝た状態だと、腰が反り過ぎて腰一点に負担が集中してきます。(写真3)
その時に、我々は誰に教わったわけでもなく、両膝を立てるようにしています。両膝を立てると腰の反りが無くなり、骨盤と腰骨は真っ直ぐの姿勢となってくるため、腰に負担がかかりにくくなるのです。(写真4)
その時に、我々は誰に教わったわけでもなく、両膝を立てるようにしています。両膝を立てると腰の反りが無くなり、骨盤と腰骨は真っ直ぐの姿勢となってくるため、腰に負担がかかりにくくなるのです。(写真4)
このように、骨盤と腰骨を真っ直ぐにするということが、負担がかからず、上半身と下半身をきちんとつなぐ、重要なポイントとなってきます。
実際に活用するための姿勢の工夫
ただし、実際の動作に使う場合には、工夫が必要になります。最も腰を痛めやすいのは、真っ直ぐに立っている時よりも、中腰で前傾している姿勢だからです。
例えば、オムツ交換、体位交換、移乗動作はみな中腰前傾の姿勢です。では、なぜ痛めやすいかといえば、骨盤と腰骨のポジショニングが崩れやすいからと言えます。そして、ほとんどの場合は、腹から曲げてしまう、ということを行いがちなのです。(写真5)
例えば、オムツ交換、体位交換、移乗動作はみな中腰前傾の姿勢です。では、なぜ痛めやすいかといえば、骨盤と腰骨のポジショニングが崩れやすいからと言えます。そして、ほとんどの場合は、腹から曲げてしまう、ということを行いがちなのです。(写真5)
腹から曲げてしまうと、腰一点に負担が集中します。腹は一見曲がりやすそうですが、実は曲がりにくいところです。
では、どこから曲げるのが良いかというと、それは股関節です。その時に、骨盤と腰骨が真っ直ぐの状態を保って前傾すると、腰にかかる負担は、かなり軽減してきます。
これがいわゆる「腰の入った構え」なのです。(写真6)
このように、骨盤と腰骨を真っ直ぐに保つことが様々な動作の基盤となってきます。ただし、筋肉でがっちりと固めてしまう姿勢ではなく、動きの中で、結果として骨盤と腰骨が真っ直ぐに保たれている、ということが重要になります。そういった、骨盤と腰骨のポジショニングを意識することによって、上半身と下半身が、きちんとつながり、全身の連動性が引き出しやすくなります。
では、どこから曲げるのが良いかというと、それは股関節です。その時に、骨盤と腰骨が真っ直ぐの状態を保って前傾すると、腰にかかる負担は、かなり軽減してきます。
これがいわゆる「腰の入った構え」なのです。(写真6)
このように、骨盤と腰骨を真っ直ぐに保つことが様々な動作の基盤となってきます。ただし、筋肉でがっちりと固めてしまう姿勢ではなく、動きの中で、結果として骨盤と腰骨が真っ直ぐに保たれている、ということが重要になります。そういった、骨盤と腰骨のポジショニングを意識することによって、上半身と下半身が、きちんとつながり、全身の連動性が引き出しやすくなります。
そして、そういった意識をもって介護技術を行うことは、技術の質的向上や腰痛の予防・改善にもつながってくることでしょう。
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