古武術介護第2回
【古武術介護】 第二回 相手との接触点となる上半身
前回は介助技術の土台となる下半身について、チェック、改善を含め紹介しました。
今回は、介助技術で、相手との接触をする役割となる、上半身の動きについて、取り組みます。
まずは、論より実践ということで、上半身の連動性がどのぐらいあるのかを各自が確認してみましょう。
今回は、介助技術で、相手との接触をする役割となる、上半身の動きについて、取り組みます。
まずは、論より実践ということで、上半身の連動性がどのぐらいあるのかを各自が確認してみましょう。
上半身の連動性をチェックする
■肘を回す①
リラックスした状態で両手を組み、身体の前に出す。その状態で肘をみると、外側を向いている。そこから、肘を下に向けたり、元の状態に戻したりしてみましょう。このとき、組んだ手が動かないように注意。
⒈リラックスして手を組む。この時、肘は横を向いている。(写真1)
⒉組んだ手を動かさないで肘を横から、下と連続して動かす。(写真2)
⒉組んだ手を動かさないで肘を横から、下と連続して動かす。(写真2)
■肘を回す②
⒈縦に拳を握る。この時、肘は横を向いている。(写真3)
⒉拳を動かさないまま肘を横から、下と連続して動かす。(写真4)
①はある程度出来た方も多かったと思います。
しかし、②のように今度は縦に拳を握り、拳は動かさないまま、両方の肘を動かそうとすると、一気に難しくなって、自分の体なのに、とても動かしにくいという事実に驚く方も少なくないでしょう。
実は、②ができる人はかなり少数なので、できなくても気にする必要はありません。
ここで大事なのは、出来た出来ないにこだわるよりも、動きのメカニズムを知ることです。
実は肘を動かすにはポイントがあります。それは肘、もっと言えば、腕を動かしているのは背中からだということです。
背中が腕をコントロールしているということは、突拍子もないことではなく、解剖学の教科書や図譜を見れば分かる、ごくごく当たり前の事実なのです。
⒉拳を動かさないまま肘を横から、下と連続して動かす。(写真4)
①はある程度出来た方も多かったと思います。
しかし、②のように今度は縦に拳を握り、拳は動かさないまま、両方の肘を動かそうとすると、一気に難しくなって、自分の体なのに、とても動かしにくいという事実に驚く方も少なくないでしょう。
実は、②ができる人はかなり少数なので、できなくても気にする必要はありません。
ここで大事なのは、出来た出来ないにこだわるよりも、動きのメカニズムを知ることです。
実は肘を動かすにはポイントがあります。それは肘、もっと言えば、腕を動かしているのは背中からだということです。
背中が腕をコントロールしているということは、突拍子もないことではなく、解剖学の教科書や図譜を見れば分かる、ごくごく当たり前の事実なのです。
肩甲骨の開閉で腕、肘を動かす
それでは、実際に背中から腕、肘を動かすことをしてみます。
最初は手を組んで、次に拳を握った状態で行ってみましょう。ポイントは背中にある肩甲骨の開閉動作です。肘の向きは、背中の、肩甲骨の開閉と連動しています。
顔を下に向け、胸をくぼませ、背中を丸め、膝も曲げていくと肩甲骨が広がった結果、肘が横を向きます。
次に顔を上に向け、胸を張り、背筋を伸ばし、膝を伸ばしていくと肩甲骨が閉じた結果として肘は下を向きます。
最初は手を組んで、次に拳を握った状態で行ってみましょう。ポイントは背中にある肩甲骨の開閉動作です。肘の向きは、背中の、肩甲骨の開閉と連動しています。
顔を下に向け、胸をくぼませ、背中を丸め、膝も曲げていくと肩甲骨が広がった結果、肘が横を向きます。
次に顔を上に向け、胸を張り、背筋を伸ばし、膝を伸ばしていくと肩甲骨が閉じた結果として肘は下を向きます。
1.肩甲骨を開いていくと、肘は横を向く。(写真5)
2.肩甲骨を背中の中心に寄せていく(閉じていく)と肘は下を向く。(写真6)
つまりこのチェック動作は「背中と腕の連動性」を引き出す理論モデルと言えます。
手首から先を動かさずに肘だけを動かすためには、背中から肩にかけての筋肉をさらに上手に使う必要があります。
「肘を動かそうとするとどうしても手首から先が回ってしまう」という人は、背中や肩の筋肉を使わず、目先の肘だけで動かそうとしているのです。
あまり意識しなくても自在に動く手(手首から先)に、日常から動作の大部分を頼りきっていると、背中や肩など、体幹部に近い部分の筋肉を使わなくなってしまいます。
その結果、背中から肩にかけての筋肉が随意に動きにくくなってくるのです。そうなると、腕と体幹部が分断され、連動性が低下し、動きの質も低下してしまいます。
2.肩甲骨を背中の中心に寄せていく(閉じていく)と肘は下を向く。(写真6)
つまりこのチェック動作は「背中と腕の連動性」を引き出す理論モデルと言えます。
手首から先を動かさずに肘だけを動かすためには、背中から肩にかけての筋肉をさらに上手に使う必要があります。
「肘を動かそうとするとどうしても手首から先が回ってしまう」という人は、背中や肩の筋肉を使わず、目先の肘だけで動かそうとしているのです。
あまり意識しなくても自在に動く手(手首から先)に、日常から動作の大部分を頼りきっていると、背中や肩など、体幹部に近い部分の筋肉を使わなくなってしまいます。
その結果、背中から肩にかけての筋肉が随意に動きにくくなってくるのです。そうなると、腕と体幹部が分断され、連動性が低下し、動きの質も低下してしまいます。
背中と腕との連動性を高める動き
次は背中と腕との連動性を高め、改善する動作を行ってみましょう。
1.肩の力を抜き、胸の前で手を組む。(写真7)
2.胸をくぼませ、肩甲骨を左右に広げた結果、腕が伸びる。(写真8、写真9)
3.胸を張り、肩甲骨が閉じてきた結果、腕が戻ってきて、1 の体勢に戻る。 (写真10、写真11)
日常の動きのなかで腕を動かす際、ほとんどの方が腕だけで動かしています。つまり背中が使われていないのです。
ここでは、肩甲骨を開閉させることにより、背中と腕とを連動させることを引き出していきます。背筋力に代表されるように、背中の筋力は非常に大きな力を出すことができます。
背中を使わずに腕ばかりに頼っていると、背中が動きにくくなり、せっかくの大きな力や動きが腕まで伝わりにくくなってしまうのです。
そこで、背中の動きでポイントとなるのは、肩甲骨を広げたり寄せたりする動き。
この動きを背中側からみると、腕を伸ばす時、肩甲骨は左右に広がり、腕を戻す時には肩甲骨は背中の中央に寄ってくる。つまり、肩甲骨を意識して動かすことで、背中と腕とが連動して動くようになるのです。この時にはリラックスして、呼吸を止めないことを意識します。
呼吸が止まると、力んでしまい、連動性もストップします。しかし、特別な呼吸法は必要なく、おしゃべり出来るくらいの感覚で行えれば大丈夫です。
どうしても呼吸が止まる場合は、現時点での肩、背中の可動域が制限されている可能性があるため、この写真のように腕を伸ばしきったりせずに、楽に呼吸が出来る範囲内で行ってください。
人それぞれ動きは違うので、現時点で負担無く行える範囲を見つけて、自分自身に合った動きをしてください。
2.胸をくぼませ、肩甲骨を左右に広げた結果、腕が伸びる。(写真8、写真9)
3.胸を張り、肩甲骨が閉じてきた結果、腕が戻ってきて、1 の体勢に戻る。 (写真10、写真11)
日常の動きのなかで腕を動かす際、ほとんどの方が腕だけで動かしています。つまり背中が使われていないのです。
ここでは、肩甲骨を開閉させることにより、背中と腕とを連動させることを引き出していきます。背筋力に代表されるように、背中の筋力は非常に大きな力を出すことができます。
背中を使わずに腕ばかりに頼っていると、背中が動きにくくなり、せっかくの大きな力や動きが腕まで伝わりにくくなってしまうのです。
そこで、背中の動きでポイントとなるのは、肩甲骨を広げたり寄せたりする動き。
この動きを背中側からみると、腕を伸ばす時、肩甲骨は左右に広がり、腕を戻す時には肩甲骨は背中の中央に寄ってくる。つまり、肩甲骨を意識して動かすことで、背中と腕とが連動して動くようになるのです。この時にはリラックスして、呼吸を止めないことを意識します。
呼吸が止まると、力んでしまい、連動性もストップします。しかし、特別な呼吸法は必要なく、おしゃべり出来るくらいの感覚で行えれば大丈夫です。
どうしても呼吸が止まる場合は、現時点での肩、背中の可動域が制限されている可能性があるため、この写真のように腕を伸ばしきったりせずに、楽に呼吸が出来る範囲内で行ってください。
人それぞれ動きは違うので、現時点で負担無く行える範囲を見つけて、自分自身に合った動きをしてください。
日常の何気ない動作から使ってゆく
講座などでこの動きを紹介すると、「この動きは何回くらい行なえばいいですか」と聞かれることがあります。
私はきっかけとして10回程度行ってみてはと答えています。
ただし漠然と形だけを真似しても何の効果も得られません。しっかりと背中から腕を動かすことを意識して行なうことで、はじめて効果が得られます。
つまり、量より質。
そして、この動作はあくまでも、背中と腕との連動を理解することが目的なので、理解が出来たらこの動作に固執する必要はありません。
それよりも、日常の何気ない動作の中で背中と腕とを連動させて使うことをすすめます。
例えば、モノを取る時も腕だけでなく、背中と腕とを連動させるようにする。その積み重ねが、自分自身の動きの質を根本から改善させることにつながります。
介助技術でも、漠然と腕だけを使うよりも、背中と腕とが連動した方が圧倒的に動きの質は高まります。
背中は背筋力に代表されるように人体の中でも大きな力や動きを引き出せるところ。その背中を使っていなかったからこそ、肩や腰などに負荷が集中し痛めやすい傾向にあるのです。
腕だけの介助技術、背中と腕とを連動させる介助技術、見た目はほとんど変わりません。だからこそ、現場で取り入れやすいと言えます。いきなり、形の違う技術を行うよりも、今行っている技術の形はそのままに、接触点となる上半身の動きを改善してみてはどうでしょうか。
人によってはすぐに改善結果が出る場合もあるでしょう。反対になかなか結果が出ないという方もいるでしょう。しかし、試行錯誤をしているうちに、今までよりも、負担は確実に軽減していきます。
当たり前のことですが、原理を理解して継続することが何よりも大事なのです。
私はきっかけとして10回程度行ってみてはと答えています。
ただし漠然と形だけを真似しても何の効果も得られません。しっかりと背中から腕を動かすことを意識して行なうことで、はじめて効果が得られます。
つまり、量より質。
そして、この動作はあくまでも、背中と腕との連動を理解することが目的なので、理解が出来たらこの動作に固執する必要はありません。
それよりも、日常の何気ない動作の中で背中と腕とを連動させて使うことをすすめます。
例えば、モノを取る時も腕だけでなく、背中と腕とを連動させるようにする。その積み重ねが、自分自身の動きの質を根本から改善させることにつながります。
介助技術でも、漠然と腕だけを使うよりも、背中と腕とが連動した方が圧倒的に動きの質は高まります。
背中は背筋力に代表されるように人体の中でも大きな力や動きを引き出せるところ。その背中を使っていなかったからこそ、肩や腰などに負荷が集中し痛めやすい傾向にあるのです。
腕だけの介助技術、背中と腕とを連動させる介助技術、見た目はほとんど変わりません。だからこそ、現場で取り入れやすいと言えます。いきなり、形の違う技術を行うよりも、今行っている技術の形はそのままに、接触点となる上半身の動きを改善してみてはどうでしょうか。
人によってはすぐに改善結果が出る場合もあるでしょう。反対になかなか結果が出ないという方もいるでしょう。しかし、試行錯誤をしているうちに、今までよりも、負担は確実に軽減していきます。
当たり前のことですが、原理を理解して継続することが何よりも大事なのです。
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