ナースマガジン vol.49
【何ぞやシリーズ第43回】処方カスケードってなんぞや?
投稿日:2024.11.25
高齢になると複数の疾患を抱え、処方薬が多種多量になるポリファーマシーが問題となっています。その原因ともなっており、認知機能障害にも悪影響をもたらす可能性があるのが処方カスケードといわれています。処方カスケードって何ぞや?
作画 : 上田みう 制作 : マンガエッグ・エンターテイメント
連鎖的に増えてしまう処方カスケード
処方カスケードとは、服用した薬によって生じた有害事象を新たな病状と誤認して、それに対して他の薬で対処するために処方が連鎖的に増えてしまう状況のこと。 「カスケード」とは英語で「小さな連なる滝」を意味し、次々と連なるように処方される様子を例えているんだ。
複数の医療機関や診療科にかかることで、たくさんの薬を処方される「ポリファーマシー」とも似ているんですよね?一度に多くの薬を飲んでいると、さまざまなリスクがあると聞いたよ。
その通り。処方カスケードは、ポリファーマシーが起きる原因の1つでもある。複数の医療機関を受診することによる足し算的な処方がポリファーマシーにつながりやすいけれど、1つの医療機関で1人の医師の処方だけでも処方カスケードは起こるんだ。何種類以上の薬を併用しているとポリファーマシーになるかという明確な定義はないけれど、6剤以上になると薬剤有害事象という有害な反応が出やすくなると報告されているんだよ。認知症のある人にも、処方カスケードが生じることがあるから注意が必要だ。
加齢に伴う症状との判別が難しい
ポリファーマシーには具体的にどんな症状が多いんですか?
その通り。処方カスケードは、ポリファーマシーが起きる原因の1つでもある。複数の医療機関を受診することによる足し算的な処方がポリファーマシーにつながりやすいけれど、1つの医療機関で1人の医師の処方だけでも処方カスケードは起こるんだ。何種類以上の薬を併用しているとポリファーマシーになるかという明確な定義はないけれど、6剤以上になると薬剤有害事象という有害な反応が出やすくなると報告されているんだよ。認知症のある人にも、処方カスケードが生じることがあるから注意が必要だ。
それで高齢者ほどポリファーマシーのリスクが高まるのね。でも、もともと加齢に伴って出てくる症状が多いから、高齢者の機能低下によるものか、薬による影響なのかが判別しづらいわ。
特に気をつけたほうがいい薬はあるんですか?
降圧薬、睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬、便秘薬など高齢者によく処方される薬の多くに注意が必要だ。例えば、利尿剤や抗炎症薬などで腎機能障害が起こることもあれば、漢方薬の中でも甘草が低カリウム血症を引き起こすことがある。長く飲み続ける場合、血液検査でチェックをしながら対策を考えていかなければならないんだよ。
信頼関係を築くことが減薬につながる
結局、処方カスケードを防ぐにはどうしたらいいんですか?
まずは薬を一元管理する意味では、かかりつけの医療機関や薬局をもつことだ。減薬の際は、急に減らすと思わぬ症状(離脱症状など)が出ることがあるから、慎重に減らさなければならない。症状をコントロールするために、必要な薬を必要な量だけ服用してもらうには、医療従事者の指示を守ってもらう必要がある。患者との信頼関係が築けているかどうかが大切なんだ。
それが難しいのよね。認知症の患者さんも多いから、なかなかうまく伝えられなくて。
うまくいかないときは、アプローチの方法を変えてみることも必要だよ。軽い認知症の患者さんには昔の出来事や記憶を思い出してもらう「回想法」や、患者さんよりも自分が低い位置から接する「ワンダウンポジション」 、自分の悩みや秘密を打ち明ける「自己開示」などを試してみてはどうかな。コミュニケーションが取りやすくなってケアの質が高まれば、減薬もうまくいくケースが多いようだ。
薬物療法の安全性を高めるために、患者さん本人とご家族、多職種が協同して患者さんのQOLが向上できるよう取り組んでいくことが大事ね!
(つづく)
監修:医療法人社団至髙会たかせクリニック理事長 髙瀬義昌先生
参考:厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編,2018)(各論編,2019)」
参考:厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編,2018)(各論編,2019)」
■高齢者が気を付けたい多すぎる薬と副作用
編集:日本医療研究開発機構研究費「高齢者の多剤処方見直しのための医師・薬剤師連携ガイド作成に関する研究」研究班、日本老年薬学会、日本老年医学会
https://jpn-geriat-soc.or.jp/info/topics/20161117_01.html
\ シェア /