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心不全療養指導士
~心不全パンデミック時代に注目される新たな資格~

2021年度より日本循環器学会が開始した「心不全療養指導士」認定制度で、現在6,603名の合格者が誕生しています。今回、同学会実務部会長で心不全診療に注力されている慢性心不全看護認定看護師の若林留美先生に、チーム医療における心不全療養指導士の役割や期待されることなどについてお話いただきました。

心不全療養指導士認定制度が創設された背景とその役割

 近年、 心不全の患者数は高齢化に伴って増加し続けています。 心不全は長期にわたる治療や再入院が多く、 患者さんのQOLに悪影響を及ぼしやすい疾病でもあるため、 治療だけではなく包括的な疾病管理が重要です。 そのため、 医療専門職がそれぞれの専門性を生かしながら協働するチーム医療の実施が不可欠であり、 国家的見地から健康寿命社会を実現するための 『脳卒中と循環器病克服第2次5ヵ年計画』 が掲げられました。 その戦略の1つにある人材育成の取り組みとして創設されたのが、 『心不全療養指導士』 です。 心不全療養指導士の具体的な役割としては、 5つのことが提示されており (表1) 、 医療専門職がチームで包括的なケアを行うことがメインとなります。 また、 病院だけで完結するものではなく、 地域や療養機関との連携を推進していくことも求められています。
東京女子医科大学病院
慢性心不全看護認定看護師
若林 留美 先生

心不全療養指導士に期待すること

 心不全はさまざまな要因で悪化することがあるため、 患者さんの生活環境や家族背景、 これまでの生活なども含めて全人的に捉えたケアを行う必要があります。日常の活動や食事内容、 薬をきちんと服薬することなど、 さまざまな注意点があるので、 多職種の中で情報共有し、 分担や連携をしながら診ていかなければなりません。
 在宅療養指導料についても、 今年度の診療報酬改定で退院直後の慢性心不全の患者さんが対象に追加されたので、 より充実したケアを提供できるようになりまた。 退院後も安心して生活できるように有資格者として適切な指導や退院支援を行っていくことを期待しています。

有資格者である看護師の現状と今後

 最近では、 全国各地で心不全療養指導士のネットワークも生まれつつあり、 地域での活動も盛んになってきています。SNSなどで、 有資格者や資格取得をめざしている人同士が課題や悩みを共有し、 やり取りをしています。 医師の協力の下で勉強会などを開催しているところもありますが、 今後は看護師が主体となって活動の場を広げると同時に、 資格の認知度も高めていければと考えています。
 ぜひ病院 ・ 地域 ・ 在宅とあらゆる領域で心不全患者さんをサポートしてほしいと思っています。
(2024年5月27日オンライン取材)

東京女子医科大学病院の取り組み

当院は2023年に「医療・介護関係者の心不全に対する理解促進や相談支援の充実を図るとともに、病院と地域の連携・情報共有を強化する」ことを目的とした東京都の「心不全サポート事業」の区部担当病院となりました。当院の心不全療養指導士有資格者は、地域の医療従事者を対象としたWebセミナーの企画や開催を担当したり、循環器疾患をもつ患者さんが安心して生活するためのコツを動画で公開している「心不全スクール」の講師を務めたりと、この事業を推進していく役割も担っています。

心不全サポート事業「心不全スクール」

当初は院内限定で公開していましたが、現在院外の方々にも活用していただけるように、ホームページで公開しています。
▼こちらからどなたでも視聴可能
https://twmu-cardiology.jp/forefront/school/

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