ナースマガジン vol.48
【何ぞやシリーズ第42回】BNPとNT-proBNPってなんぞや?
投稿日:2024.08.02
高齢化に伴い心不全患者が増加する中、2023年、「血中BNPやNT-proBNPを用いた心不全診療に関するステートメント」が改定され、注目されています。
さて、BNPとNT-proBNPって何ぞや?
さて、BNPとNT-proBNPって何ぞや?
作画 : 上田みう 制作 : マンガエッグ・エンターテイメント
日本心不全学会がステートメントを改定
BNPとNT-ProBNPは、心不全診療に重要なマーカーなんだ。2013年に日本心不全学会は、jこれらのマーカーを適切に使用するためのステートメントを作成し、臨床で広く使われてきたんだ。2023年にはそのステートメントが改定され、注目が集まっているんだよ。
そうだったんですね。
何が変わったのかしら?
何が変わったのかしら?
心不全は、心臓の収縮能力を評価するEF(左室駆出率)によって、EFが低下したタイプとEFが保たれたタイプの大きく2種類に分けられるんだ。注意が必要なのがEFが保たれた心不全で、このタイプは心臓の拡大がなく、動きがある程度良好なため、心不全であってもBNPとNT-proBNPが低く出てしまうことがあるんだよ。従来のカットオフ値では病態が過小評価され、心不全を見落としてしまう可能性があるんだ。最近、EFが保たれた心不全患者が増加している背景があり、今回の改定が行われたんだよ。
どうしてそんな修正がされたんですか?
心不全は、心臓の収縮能力を評価するEF(左室駆出率)によって、EFが低下したタイプとEFが保たれたタイプの大きく2種類に分けられるんだ。注意が必要なのがEFが保たれた心不全で、このタイプは心臓の拡大がなく、動きがある程度良好なため、心不全であってもBNPとNT-proBNPが低く出てしまうことがあるんだよ。従来のカットオフ値では病態が過小評価され、心不全を見落としてしまう可能性があるんだ。最近、EFが保たれた心不全患者が増加している背景があり、今回の改定が行われたんだよ。
BNPとNT-proBNPの特性と臨床的使い分け
先生たちはBNPとNT-proBNPをどうやって使い分けているんですか?
BNPは生理的に活性があり、他のホルモンや薬の影響を受けやすいのが特徴なんだ。糖尿病や腎不全などの治療薬を使っているとBNPが上昇してしまうため、その場合は活性のないNT-proBNPで評価したほうがいいね。一方でNT-proBNPは腎機能の影響を強く受けるため、腎機能が低下している場合はBNPのほうがいいんだ。基礎疾患や使用する薬剤にいよって使い分けることが大切だよ。どちらにも共通する注意点として、肥満の場合には低め、高齢の場合には高めの数値になることも覚えておこう。
あくまで診断の補助として使う
BNPとNT-proBNPは、基準値以下であれば心不全の可能性を除外できる有用な指標だけど、あくまで補助診断ツールであることを忘れてはいけないよ。心不全は、BNPとNT-proBNPの数値だけでなく、心臓の機能的・構造的な異常や、症状・身体所見、心臓エコー検査、X線上の肺うっ血のような証拠をもとに診断されるからね。
じゃあBNPとNT-proBNPが高いだけなら問題ないってことかしら?
その場合、心不全でないとしても、心臓に負荷がかかっているという判断をすることが大切なんだ。なんらかの方法で負荷を除去することで、心不全になる状況を避けられるからね。逆に、BNPとNT-proBNPが高くても心不全ではないケースもあるんだよ。あくまで補助として使いながらも、心臓の負荷を評価するために使いこなすことが大切なのさ。
患者さんの症状を一番近くで見る看護師だからこそ、BNPとNT-proBNPの数値をしっかり理解し、日々の看護に活かしていきたいね。
(つづく)
監修:大西内科ハートクリニック 院長 大西勝也先生
参考:一般社団法人 日本心不全学会
「血中BNPやNT-proBNPを用いた心不全診療に関するステートメント2023年改訂版」
https://www.asas.or.jp/jhfs/topics/bnp20231017.html(2024年6月現在)
一般社団法人 日本心不全学会
「心不全マーカー検査をご存じですか?」
https://www.asas.or.jp/jhfs/pdf/BNPQ&A.pdf?20240401(2024年6月現在)
参考:一般社団法人 日本心不全学会
「血中BNPやNT-proBNPを用いた心不全診療に関するステートメント2023年改訂版」
https://www.asas.or.jp/jhfs/topics/bnp20231017.html(2024年6月現在)
一般社団法人 日本心不全学会
「心不全マーカー検査をご存じですか?」
https://www.asas.or.jp/jhfs/pdf/BNPQ&A.pdf?20240401(2024年6月現在)
大西勝也先生のYouTubeチャンネル「心不全新機能アカデミー」はこちら
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