西山 順博先生の胃瘻(PEG)ケアコラム第2回
第2回 介護福祉士さんも頑張ってくれています! 私たちと同じ医療人です!
●PEG患者さんの施設への受け入れについて
PEG患者さんは現在、全国に約40万人といわれています。これは車いす人口とほぼ同じです。
医療機関として車いすの利用方法を知らないと言えないように、PEGの管理を知らないではすまされない状況になってきています。
10年前までは、当施設はPEG患者さんの受け入れはできませんという施設も多く見られましたが、最近は地域によって格差もありますが、PEGの認知度は高まり、受け入れる施設も増えつつあります。
ただ問題は、PEGよりの栄養剤の注入が医療行為であることです。家族は在宅で、患者さんの栄養剤の注入をすることができますが、施設では医師・看護師以外の職種のものが注入することができません。
PEG以外の経管栄養療法である経鼻胃管や、点滴で行う経静脈栄養療法についても同じ規制があります。
これが夜間も医師か看護師がいる施設でないと受け入れてもらえないということにつながっています。
しかし、状態が落ち着いている患者さんにとってPEGはただの栄養ルートであり、栄養剤の注入はわれわれの食事となんら違いはなく、嚥下障害のある患者さんの食事介助に比べれば、手間ではないはずなのに変な話です。
しかし、PEGのことを理解してくれているスタッフが、医師の指示どおりに行っていればほとんどトラブルになることのないPEG管理ですが、患者さんに栄養剤を注入するという行為は、指示に従わずに栄養剤と違うのものを注入することや、栄養剤の注入を途中で中断したり、注入速度を意図的に速め、患者さんの状態を悪くすることにもできる危険な処置でもあり、医療行為とされています。
決してPEGだから、施設の受け入れが悪くなったわけではなく、経管栄養療法(PEGや経鼻胃管)、経静脈栄養療法中の患者さんの悩みの種です。
夜間看護師さんがいない施設に「ぜひ夜勤の看護師さんを雇ってください」とは言えませんが、そのような施設にPEG患者さんが入所する際には、ケアマネージャーさん、ショートステイ先、介護者と相談し、栄養剤の投与スケジュールを変更する工夫をしています。
例えば、9時から17時しか看護師さんがいない施設では、患者さんの栄養剤の注入を
《A案》1日の総カロリーはそのままで9時と16時の2回に減らす(日頃の3回分を2回に振り分け)。
《B案》9時と13時と17時の3回注入(1:1:2)とし、すべてに短時間で注入できる半固形化の栄養剤に変更。バリエーションは様々です。
また、入所中は食品扱いの栄養剤を施設の給食より出してもらいます。施設は給食費が請求でき、看護師の残業もなくなります。家族はつかの間ではありますが介護の休息になります。
患者さんにとっては日頃の医薬品扱いの栄養剤では不足していたビタミンやミネラルが補えることになり、まさに“三方よし“となります。
もちろん、患者さん・介護者・医療者へ、PEGをもっとわかっていただくための活動が全国各地で行われています。
また、看護師以外の職種でも、資格をとれば栄養剤の投与やPEG管理ができるようにと、PEG・在宅医療研究会では、認定制度の導入やセミナーを考えていただいているようです。
また、保険制度の見直しについても、行政に働きかけていただいています。
医療機関として車いすの利用方法を知らないと言えないように、PEGの管理を知らないではすまされない状況になってきています。
10年前までは、当施設はPEG患者さんの受け入れはできませんという施設も多く見られましたが、最近は地域によって格差もありますが、PEGの認知度は高まり、受け入れる施設も増えつつあります。
ただ問題は、PEGよりの栄養剤の注入が医療行為であることです。家族は在宅で、患者さんの栄養剤の注入をすることができますが、施設では医師・看護師以外の職種のものが注入することができません。
PEG以外の経管栄養療法である経鼻胃管や、点滴で行う経静脈栄養療法についても同じ規制があります。
これが夜間も医師か看護師がいる施設でないと受け入れてもらえないということにつながっています。
しかし、状態が落ち着いている患者さんにとってPEGはただの栄養ルートであり、栄養剤の注入はわれわれの食事となんら違いはなく、嚥下障害のある患者さんの食事介助に比べれば、手間ではないはずなのに変な話です。
しかし、PEGのことを理解してくれているスタッフが、医師の指示どおりに行っていればほとんどトラブルになることのないPEG管理ですが、患者さんに栄養剤を注入するという行為は、指示に従わずに栄養剤と違うのものを注入することや、栄養剤の注入を途中で中断したり、注入速度を意図的に速め、患者さんの状態を悪くすることにもできる危険な処置でもあり、医療行為とされています。
決してPEGだから、施設の受け入れが悪くなったわけではなく、経管栄養療法(PEGや経鼻胃管)、経静脈栄養療法中の患者さんの悩みの種です。
夜間看護師さんがいない施設に「ぜひ夜勤の看護師さんを雇ってください」とは言えませんが、そのような施設にPEG患者さんが入所する際には、ケアマネージャーさん、ショートステイ先、介護者と相談し、栄養剤の投与スケジュールを変更する工夫をしています。
例えば、9時から17時しか看護師さんがいない施設では、患者さんの栄養剤の注入を
《A案》1日の総カロリーはそのままで9時と16時の2回に減らす(日頃の3回分を2回に振り分け)。
《B案》9時と13時と17時の3回注入(1:1:2)とし、すべてに短時間で注入できる半固形化の栄養剤に変更。バリエーションは様々です。
また、入所中は食品扱いの栄養剤を施設の給食より出してもらいます。施設は給食費が請求でき、看護師の残業もなくなります。家族はつかの間ではありますが介護の休息になります。
患者さんにとっては日頃の医薬品扱いの栄養剤では不足していたビタミンやミネラルが補えることになり、まさに“三方よし“となります。
もちろん、患者さん・介護者・医療者へ、PEGをもっとわかっていただくための活動が全国各地で行われています。
また、看護師以外の職種でも、資格をとれば栄養剤の投与やPEG管理ができるようにと、PEG・在宅医療研究会では、認定制度の導入やセミナーを考えていただいているようです。
また、保険制度の見直しについても、行政に働きかけていただいています。
●施設におけるPEG ケアの新しい流れ
平成22 年4 月に厚生労働省より「特別養護老人ホームにおける痰の吸引等の取扱いについて」が通知されました。
今までは認められていなかった、介護職員による口腔内の痰の吸引と胃ろうによる経管栄養を容認するというものです。
まず、毎朝の第1 回目栄養剤注入は、看護職員がPEG の状態(びらんや肉芽や胃の状態など)を観察し、看護職員と介護職員の協働により実施可能かどうか確認したうえで、
1)介護職員による経管栄養中の姿勢の介助や見守り、
2)注入終了後に微温湯をチューブ内に注入すること(フラッシュ)を容認しています。
現時点ではPEG の状態に問題がなく、栄養管とPEG カテーテルの接続・注入開始は看護職員が行うという条件があります。
また、特別養護老人ホームのみに容認され、すべての施設において認められているわけではありません。
介護福祉士とヘルパー等が「介護職員」として同等に扱われたりと、この通知にはまだまだ問題点はあります。
しかし、すべての経管栄養ではなく、「胃ろう(PEG)による経管栄養」と明記されたことで、PEG 患者さんにとって希望の光がみえる内容となっています。
患者さん・家族・医療者へ、PEG をもっとわかっていただくための活動が全国各地で行われています。
看護師以外の職種でも、資格をとれば栄養剤の注入やPEG 管理ができるようにと、認定制度の導入やセミナーを検討する流れがあります。
また、介護保険制度の見直しについても、積極的に行政にはたらきかけています。
今までは認められていなかった、介護職員による口腔内の痰の吸引と胃ろうによる経管栄養を容認するというものです。
まず、毎朝の第1 回目栄養剤注入は、看護職員がPEG の状態(びらんや肉芽や胃の状態など)を観察し、看護職員と介護職員の協働により実施可能かどうか確認したうえで、
1)介護職員による経管栄養中の姿勢の介助や見守り、
2)注入終了後に微温湯をチューブ内に注入すること(フラッシュ)を容認しています。
現時点ではPEG の状態に問題がなく、栄養管とPEG カテーテルの接続・注入開始は看護職員が行うという条件があります。
また、特別養護老人ホームのみに容認され、すべての施設において認められているわけではありません。
介護福祉士とヘルパー等が「介護職員」として同等に扱われたりと、この通知にはまだまだ問題点はあります。
しかし、すべての経管栄養ではなく、「胃ろう(PEG)による経管栄養」と明記されたことで、PEG 患者さんにとって希望の光がみえる内容となっています。
患者さん・家族・医療者へ、PEG をもっとわかっていただくための活動が全国各地で行われています。
看護師以外の職種でも、資格をとれば栄養剤の注入やPEG 管理ができるようにと、認定制度の導入やセミナーを検討する流れがあります。
また、介護保険制度の見直しについても、積極的に行政にはたらきかけています。
●大阪介護福祉士会でPEG講演をしてきました
昨年に引き続き、平成23年6月19日(日)に大阪介護福祉士会でPEG講演をしてきました。
昨年は3時間ほどの講演でしたが、今年度はAM10:00~PM4:00までと拡大され、8月28日には別のプログラムで行う予定です(計11時間ですよ!!)。
なんと出席者は120名を越え、その期待にこたえるべく、私も200枚以上のスライドと動画2本、模型を用いた演習を行いました。
日頃、介護のエキスパートとして頑張っておられる参加者には目を輝かせ講演を聞いていただき、最後には時間を延長しての具体的な多くの質問まで飛び出しました。
大阪介護福祉士会会長の淺野幸子さんは
『看護師さんが看護のプロなら、私たち介護福祉士は介護のプロです。介護職員のリーダーとして研修を積み、日々スキルアップしていく責務がある。今後高齢化社会が進む中、看護以上に介護のニーズは高くなり、2012年度の実施を目指している介護職員等による痰の吸引等の行為をその追い風にするべく力を注ぎたい。』
とPEG患者さんをはじめとする在宅や施設で療養されている患者さんにとってはとても力強く、間違えなく期待にこたえてくれる我々と同じ医療者であることを確信しました。
昨年は3時間ほどの講演でしたが、今年度はAM10:00~PM4:00までと拡大され、8月28日には別のプログラムで行う予定です(計11時間ですよ!!)。
なんと出席者は120名を越え、その期待にこたえるべく、私も200枚以上のスライドと動画2本、模型を用いた演習を行いました。
日頃、介護のエキスパートとして頑張っておられる参加者には目を輝かせ講演を聞いていただき、最後には時間を延長しての具体的な多くの質問まで飛び出しました。
大阪介護福祉士会会長の淺野幸子さんは
『看護師さんが看護のプロなら、私たち介護福祉士は介護のプロです。介護職員のリーダーとして研修を積み、日々スキルアップしていく責務がある。今後高齢化社会が進む中、看護以上に介護のニーズは高くなり、2012年度の実施を目指している介護職員等による痰の吸引等の行為をその追い風にするべく力を注ぎたい。』
とPEG患者さんをはじめとする在宅や施設で療養されている患者さんにとってはとても力強く、間違えなく期待にこたえてくれる我々と同じ医療者であることを確信しました。
医療シリーズ①『胃ろうの基礎知識を学ぶ』 プログラム
1日目(平成23年6月19日)
①人体のしくみと働き(講義)
1)消化器系のしくみと働き:咽頭を含む消化器の形態・機能(30分)
2)経管栄養が必要となる病態:嚥下障害に関する理解(60分)
3)経管栄養の技術および関連するケア(90分)
経管栄養が必要な高齢者のケア、胃ろうによる経管栄養の技術
4)安全管理体制とリスクマネージメント(60分)
②胃ろうによる経管栄養の技術および関連するケアの指導(演習)(90分)
2日目(平成23年8月28日)
①『胃ろうのケアはじめの一歩』を使っての講義(120分)
②胃ろうによる経管栄養の技術および関連するケアの指導(演習)(90分)
③NSTにおける介護福祉士の役割(SGA:主観的包括的評価)講義 (45分)
④NSTにおける介護福祉士の役割(ODA:客観的包括的評価)講義 (45分)
⑤質疑応答(30分)
①人体のしくみと働き(講義)
1)消化器系のしくみと働き:咽頭を含む消化器の形態・機能(30分)
2)経管栄養が必要となる病態:嚥下障害に関する理解(60分)
3)経管栄養の技術および関連するケア(90分)
経管栄養が必要な高齢者のケア、胃ろうによる経管栄養の技術
4)安全管理体制とリスクマネージメント(60分)
②胃ろうによる経管栄養の技術および関連するケアの指導(演習)(90分)
2日目(平成23年8月28日)
①『胃ろうのケアはじめの一歩』を使っての講義(120分)
②胃ろうによる経管栄養の技術および関連するケアの指導(演習)(90分)
③NSTにおける介護福祉士の役割(SGA:主観的包括的評価)講義 (45分)
④NSTにおける介護福祉士の役割(ODA:客観的包括的評価)講義 (45分)
⑤質疑応答(30分)
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