第2回　認知症とは？

前回の第１回目のコラムでは、認知症看護における看護師の役割について掲載させていただきました。ちょっと固いお話になってしまいましたね。


第２回目の今回のコラムでは、「認知症とは？」について掲載させていただきます。よく私の勤務している病棟では、「この人認知がひどい」「認知が進んだよね」「ひどい認知だから看られない」等のエイジズム的な酷い言葉を耳にします。


ここでいう「認知」とはどんな状態のことを言っているのでしょう？認知症についてどこまで理解されているのか疑問に思うことが度々あります。


「認知症とは？」・・・。認知症看護を実践するにあたり認知症について正しく理解することが必要です。また、加齢による物忘れと認知症との違いも理解しておくことが重要です。


したがって、今回第２回目のコラムとして、認知症とは？
①認知症と加齢による物忘れの違い②認知症の中核症状と周辺症状について掲載させていただきます。


①「認知症」とは、もともと正常に発達した知能が、その後の病気や障害によって、持続的に低下した状態のことを言います。したがって認知症は一つの「病気」の名前ではなく、様々な原因で知能が低下した「状態」の総称として名づけられた用語です。



認知症の定義としては、WHOの「世界疾病分類第10版(ICD-10)」では、「認知症は、脳疾患による症候群であり、通常は慢性あるいは、進行性で、記憶、思考、見当識、理解、計算、学習能力、言語、判断を含む多数の高次皮質機能障害を示す。意識の混濁はない。」と定義しています。



このことにより、社会生活に支障をきたす（生活障害が生じる）ようになった状態を認知症といいます。



自分の経験した認知症の症例を頭に浮かべて具体的な症状（同じことを何回も尋ねる人、ブツブツ言いながら歩き回る人、紙を食べてしまう人等）と並べるだけでは、認知症の人が示す行動症状の一面を言っているだけで、認知症を正しく理解しているとは言えません。



認知症をきたす病因は多岐にわたり、血管性認知症(脳血管性障害によって起こる認知症)変性性認知症(原因が明らかでなく、何らかの原因で神経細胞死が生じておこる。



代表的はものとして、アルツハイマー病、レビー小体病、前頭側頭型変性症など)。二次性認知症(二次的に発症する認知症であり、多くの場合は原因疾患を治療すれば認知症の症状は改善する可能性が高い)などに分類されます。


※認知症の病因と症状について詳しくは今後のコラムにて掲載いたします。　


次に、認知症と加齢によるもの忘れの違いにつて、多くの高齢者は加齢に伴い生理的なもの忘れが生じます。



認知症によるもの忘れと加齢によるもの忘れの違いについて※表１に示しましたので参照して下さい。


加齢によるもの忘れは、進行は緩慢で見当識は保たれているなど、認知症による症状とは異なります。　　※１※表１