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ナースマガジン vol.47

聴きある記:第39回 日本臨床栄養代謝学会学術集会(JSPEN2024)

投稿日:2024.07.15

会 期: 2024年2月15・16日
会 場: パシフィコ横浜ノース・アネックスホール
会 長: 鷲沢尚宏先生
(東邦大学医学部臨床支援室 教授/東邦大学医療センター 大森病院栄養治療センター 部長・教授)
テーマ: 「All Together」

日本臨床栄養代謝学会、 新たな航路へ

 日本臨床栄養代謝学会は、学会の名称を「日本栄養治療学会」へと変更することを発表した。この改称は、栄養治療に対する深い献身を示すものであり、新たな時代への幕開けを告げるものである。来年は「栄養治療の船出」というテーマを掲げ、多職種間の連携を重視し、特に若手会員の増加とその活躍に焦点を当てている。加えて、新しいロゴの導入やWEBサイトのリニューアル、教育や研究支援の強化など、栄養治療の専門家を育成するためのさまざまな施策が展開されていた。これらの取り組みは、現状を反映し学会が担う役割の拡大と深化を示している。今回は多彩なプログラムの中から、会長講演と看護師部会のパネルディスカッション3の要旨を紹介する。

会長講演
「栄養摂取ルートに関するニュートラルな判断基準」

鷲沢尚宏 先生
(東邦大学医学部臨床支援室 教授/東邦大学医療センター 大森病院栄養治療センター 部長・教授)
 本講演は、栄養管理における判断基準の見直しと、個別化されたアプローチの重要性を訴えた。栄養バランスは疾患の有無によって異なり、疾患を抱える人々に対しては一律の栄養指針を適用することは適切ではないと述べられ、患者ひとりの状態に合わせた柔軟な対応について協調した。また、「目の前の人が食べられないように見えても、詳細な評価を行えば実際には食べられる場合がある」と話し、先入観を超えた栄養管理へのアプローチの重要性にも触れた。

 栄養摂取ルートの選択においては、「患者の状況に応じて柔軟に対応する必要がある」と指摘し、患者中心のケアの実現に向けて、医療従事者が患者のニーズに応じた栄養治療を提供することの重要性を説いた。定められたガイドラインを盲目的に受け入れるのではなく、その根拠を深く考え、患者にとって最適な選択を追求する姿勢が医療従事者に求められていることを示した。

パネルディスカッション3

【看護師部会】
専門職連携の中で看護師として栄養と活動を支えるための教育を考える
~看護師部会パネルディスカッションにみんな集まれ!~

 看護師部会では、6名が登壇し、看護師による栄養管理とその教育に関する取り組みを発表した。KKR高松病院の看護師長である野田さおり先生は、「看護師の役割は、単なるケア提供者にとどまらず、接触嚥下ケアなどの専門的知識を駆使し、一人ひとりの患者に合わせた質の高いケアを提供することにある」と述べた。こうしたプロセスにおいては、自ら学び、経験を積み重ね、専門性を深めていくことが求められる。また、看護師は患者に最も近い職種として、観察した情報を他の職種と共有し、チーム医療を推進する重要な役割を担うべきだという強いメッセージも伝えられた。
 さらに、慈恵会青森慈恵会病院看護部看護管理室の丹藤淳先生は「ワンショット療法」という栄養補給法の取り組みを紹介した。この方法は、食事摂取が困難な高齢者に対して薬杯を使用し、栄養補助食品を「薬」と称して分割摂取することができる。少量でも栄養を効率的に摂取させる新しいアプローチとして、会場から大きな関心を引き寄せた。

学会に参加して

 本期のテーマである「All Together」は、多様性を尊重し、共に学び合う喜びを重視する日本栄養治療学会の理念を象徴していた。このテーマに則り、参加者同士の交流を促進するために、地域ごとに色分けされたネックストラップが採用された。これは、同じ地域の仲間と繋がり、有意義なこにゅにケーションを図るための工夫であった。また、20代から40代を中心とした日本最大の会員数を誇る本学会は新たな時代のニーズにこたえるべく、多職種連携の精神のもの、新しい船出を迎えている。日本栄養治療学会にとって、そして参加者一人ひとりにとって、新たな学びと成長の機会となり、医療現場での栄養管理の質を高める重要なプラットフォームとなることを願っている。参加者が学んだ知識や経験を活かし、より良い医療の実現に貢献していくことは、学会の成功を超えて、社会全体への価値ある貢献となるだろう。(編集部:中澤)

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