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    健康維持 に 欠かせな い ビタミン⑫  ビタミンE
西山順博先生に訊きました

『ケアに活かせる栄養療法の豆知識』 第35回
健康維持 に 欠かせな い ビタミン⑫  ビタミンE

西山順博先生に訊きました『ケアに活かせる栄養療法の豆知識』第35回

健康維持 に欠かせないビタミン⑫  ビタミンE

ビタミンEは脂溶性ビタミンですが、比較的体内に蓄積されにくく、通常の食品からの摂取では欠乏症や過剰症は発症しづらいとされています。美肌や健康へも注目されていますが、サプリメントでの大量摂取には気をつけたいビタミンです。

正しく理解し、患者のサポートに繋げましょう。

■ビタミンEとは

 ビタミンEは脂溶性ビタミンで、4種類のトコフェロール、4種類のトコトリエノールの計8種類の同族体の総称です。特にα-トコフェロールは体内に最も多く存在し、生理作用も最も強く、全体の約90%を占めています。これらは細胞膜や脂質に多く存在し、自身の酸化により多価不飽和脂肪酸の酸化を防ぎます。

■ビタミンEのはたらき

 ビタミンEの抗酸化作用は非常に強く、細胞の壁(生体膜)を構成する不飽和脂肪酸や他の脂溶性成分を酸化から守るため、細胞膜のリン脂質二重層に存在しています。これにより過酸化脂質の生成を抑制することができ、血管を健康に保ったり、LDLコレステロールの酸化を抑制したり、赤血球の破壊を防いだりします。

 そのほか、抗酸化作用により細胞膜を保護することで細胞の老化を防いだり、肌細胞の酸化を抑え、皮膚のしみやくすみを減らし、美肌効果をもたらします。さらにビタミンCやβ-カロテン(ビタミンA)、ビタミンB2とともに摂取すると、その効果は高まります。また、細胞の酸化を防ぐことから心臓病、脳卒中、糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病予防にも寄与します。

■ ビタミンEの消化、吸収

 ビタミンEを摂取すると、胆汁酸などの働きで吸収しやすい形(ミセル化)に変わり、その後腸からリンパ管を通って体内に吸収されます(吸収率については明確な数値は不明で、諸説あります)。体内に吸収された ビタミンEは肝臓に取り込まれ、その後α-トコフェロールとして優先的にα-トコフェロール輸送蛋白質に結合します。その後、
α-トコフェロールはVLDL(体内の脂肪を運ぶ役割を持つタンパク質と脂質から成る粒子)に取り込まれ、血流中に運ばれます。


■過剰と欠乏

 ビタミンEの欠乏は、以下のような症状が現れることがありますが、ビタミンEの欠乏は通常の食事からは起こりにくいとされています。 しかし吸収障害や遺伝的疾患、早産児などの場合は注意が必要です。

 過剰摂取に関しては、摂取量の約2/3は便として体外に排出されるため、脂溶性ビタミンの中では比較的体内に蓄積しにくいとされています。

 そのため、通常の食事からの摂取による過剰摂取はほとんど見られま せん。しかし、サプリメントなどを通じて極端に多く摂取すると、健康に影 響を及ぼす可能性があります。このため、1日に摂取すべきビタミンEの上限量が設定されています。


■ビタミンEを上手に摂取しよう!

 ビタミンAは、レバーや魚介類、乳製品、卵類、藻類、野菜類などに多く含まれています。脂溶性ビタミンなので、油と一緒に摂取すると吸収率がアップします。ビタミンE(α-トコフェロール)は、種実類、油脂、穀類、魚介類、豆類、野菜などに含まれています。ビタミンEは光に弱いため、保存時は光を避ける必要がありますが、酸や熱には強いので調理による損失はほとんどありません。油と一緒に摂取することで効率よく吸収できますが、過度の加熱は避けましょう。また、ビタミンA、Cと一緒に摂取することが推奨されています。 ビタミンAは、レバーや魚介類、乳製品、卵類、藻類、野菜類などに多く含まれています。脂溶性ビタミンなので、油と一緒に摂取すると吸収率がアップします。
食品100g当たりのビタミン E(α-トコフェロール)の含有量


<参考>
厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
食と健康の総合サイトe840.net
https://vitamin.e840.net/v111200.html
文部科学省:食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/ranking/ranking.html

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