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長岐 祐子先生の口腔ケアコラム第3回

第3回 歯磨き剤、洗口剤の選び方 

歯磨き剤や洗口剤は、その患者さんの目的に合わせて選んでいきます。


むし歯がある、治療した歯が多い、プラーク(歯垢)が多い患者さんにはフッ素配合歯磨き剤が適切であり、歯周病や歯茎に炎症がある患者さんには、クロロヘキシジン配合の歯磨き剤や、リステリンやイソジンなどの洗口剤の使用を、口腔乾燥のある方は保湿剤の洗口剤を(処方)勧めます。
口腔ケアの基本は、患者さんの噛める環境を整えてあげた上で、出来るだけプラークを歯ブラシなどで取り除いていくことです。


その上で更なる効果を期待し、歯磨き剤や洗口剤を使用します。つまり、これらを使うことが治療効果となるのでななく、プラーク除去が前提となります。


しかし、健康な人と違い、プラークを簡単に取れない環境や状況にある患者さんの口腔内は、自浄作用や免疫能も下がっているため、化学的な効果を期待して使用していきます。


患者さんの病状や年齢から、うがいも出来ない、あるいは歯磨き剤や洗口剤の味を受け付けない場合もあります。


そのような時は、カテキン効果のあるお茶や、さっぱり感のある麦茶などで歯を磨いたり、口腔内の清拭をしたりします。


またお茶や麦茶は、市販されているペットボトルのものを使用しても構いません。


口腔ケアをする立場になると、ついついその炎症を治したい、汚れを取りたい、汚れを取らなければ!


という使命感のような気持ちに囚われ、ついついケアに力が入ってしまうのですが、ここで重要なことは「自分は何故歯を磨くの?」と考えたとき、毎回毎回、「ムシ歯や歯周病予防のことを気にして歯磨きはしていない」ということです。


つまり「磨かないと気持ち悪いから歯磨きをする!」のです。患者さんも同じです。「口腔ケアを受けることが気持ちいい!」と感じることが口腔ケアの成功への第一歩であり、治癒力は患者さん自身にあります。


その治癒力を高めていくサポートが私たちの気持ちよいケアでもあります。とはいえ、なかなか患者さんが思うように口を開けてくれない・・・と悩む方も多いと思います。



患者さんの口を開かせる前に、あなたはその患者さんの心を開かせることができているか、まずは「他人に口の中を見せる」という気持ちを、患者さんの立場になって考えていけるとケアが楽しくなってきます。

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