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望月 弘彦先生の胃瘻(PEG)ケアコラム第3回

第3回 PEGについて思うこと 

5月に第1回を書いてから間が空いてしまいましたが、PEGについて思うことについて続けて綴っていきます。


前回の最後に、「二者択一で考えるのは単純明快のように見えるが、多くの問題点を取り落としている」と書きましたが、では、To PEG と Not to PEG の間にあるものとはなんでしょうか。


まず第1は、どれだけの栄養摂取が必要で、それを経口、経管(経鼻栄養チューブ/PEG)、経静脈(末梢静脈栄養/中心静脈栄養)でどう振り分けて摂取してもらうかです。


どれか一つにまとめる必要はなく、患者さんの状態や療養環境に応じて可能な物を組み合わせるのが一番です。


PEG造設についてもいきなり行うのではなく、まずは経鼻経管栄養を行って消化管を使わない期間を短くし、胃・食道逆流の有無を見極めてから造設することで造設後の合併症を少なくすることができます。


また、嚥下訓練を進めるために、あえて経鼻経管栄養を中止し、経口摂取での不足分は経静脈的に補っていくという選択支もあります。


患者さん個々に応じた栄養プランを考えていく必要があり、多職種が連携して対応することが大切です。NST(栄養サポートチーム)が稼働している施設では、まずはNSTに相談してみてください。


第2に、PEG造設は栄養療法のゴールではなく、通過点に過ぎないということです。PEGを造ってからの栄養管理や瘻孔ケアのみならず、しっかりと水分や栄養補給を行った上でのリハビリテーションが重要です。


ベッドで横になった状態ではぼんやりしていた患者さんが、ベッドを起こして座らせたり、車いすに移すことで覚醒度が上がって眼に生気が戻ってくることは珍しくありません。


第3は食べるためのPEGという考え方です。PEG造設によって栄養状態が改善し、リハビリテーションが進んだ結果、経口摂取が可能となる方もいます。


日本病院協会による「胃瘻造設高齢者の実態把握及び介護施設・住宅における管理等のあり方の調査研究」によると胃ろう造設後に経口摂取と併用している方が14%、胃ろうを離脱する見込みがある方が急性期病院で4.5%、慢性期病院や介護施設でも3%いるという結果でした。
急性期からの積極的な機能的口腔ケアと継続的な嚥下機能の評価とリハビリテーションが普及すれば、この数字はもっと向上するのではと思います。

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