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薬剤コラム第5回

薬剤コラム第5回 薬剤師ができる看護師との連携の実際

投稿日:2014.04.11

皆さん、こんにちは。薬剤師の加治です。

今回は「薬剤師ができる看護師との連携の実際」と題して、私が行っている看護師の皆さんとの連携の一部をご紹介させていただきます。
私のモットーは看護師の皆さんの業務量を減らすこと。そして生まれた時間で薬剤に関する知識を皆さんと共有することです。業務量を減らすということは、薬に関するすべてのことを薬剤師が行うということ。

具体的に言えば、持参薬の確認、散薬のホッチキス止めを含めたワンドーズ化など看護師の皆さんがやっていた薬に関する業務のことです。
薬剤に関する知識の共有は、院内で採用になった薬を薬剤師だけでなく看護師の皆さんにも知ってもらうことにより、副作用の早期発見につなげることができるようになります。

私の薬局では、月1〜2回は院内の看護師の皆さんと合同で新薬の勉強会を開き、看護上どのようなことに気をつけていくかを検討しています。

具体例として、直近に行った勉強会はSGLT2阻害剤の合同勉強会です。

この薬は、DPP-4阻害剤やGLP-1アナログ製剤に続く新しい作用機序の糖尿病治療薬で、大型化が予想されている薬剤です。看護師の皆さんには是非知っておいて欲しい薬剤であるためご紹介させていただきました。

SGLT2阻害剤は簡単に説明すると、血液中の過剰なグルコースを尿とともに体外へ排出させ血糖を低下させる。インスリンを介さずに空腹時血糖および食後の高血糖を改善し、低血糖のリスクが低く体重減少作用を有することが期待されている薬剤であります。

勉強会の内容は、作用機序・特徴・副作用など中心に話を進めます。

【作用機序】
SGLT2阻害剤の作用機序は、端的に言えば、腎臓でのグルコースの再吸収を阻害し、尿中へのグルコースの排泄を促すことで血糖値を下げるというものです。
通常、血中のグルコースは腎臓の糸球体で濾過されますが、その99%以上が再吸収されます。その中心的な役割を担うのがナトリウム・グルコース共輸送体2(sodium glucose cotransporter 2:SGLT2)というタンパク質で、近位尿細管において約90%のグルコースがSGLT2で再吸収されます。

SGLT2阻害剤はこのタンパク質の働きを阻害することで血糖値を低下させます。
つまり、インスリンを介さずに血糖値を低下させる薬剤です。

【特徴】
SGLT2阻害剤は、DPP-4阻害剤と同程度のHbA1c低下効果があると言われています。
最も特徴的なのは体重減少効果で、単剤での臨床試験では、ほぼ全てで体重減少が認められたとされています。
また、低血糖の発症リスクも少なく、臨床試験ではおおむね、単剤で低血糖が増加する現象は見られていないようです。

【副作用】
低血糖のリスクが少ないSGLT2阻害剤ですが、尿に糖分が多く含まれるようになって細菌が繁殖しやすくなるために、尿路感染症や生殖器感染症が懸念されています。
その他、頻尿やそれに伴う脱水、口渇などの副作用が見られています。

その後、上記を踏まえてどのように連携していくか?また調剤方式をどうするか?などを話合います。

【連携】
①単独では低血糖が少ない薬剤ですが、糖尿病薬の併用による低血糖の可能性があるため注意。
②他の糖尿病薬と違い、尿路感染症・生殖器感染症のリスクがあるため患者様に事前に説明を行うことと、看護計画にも組み込んでおくと副作用の見落としが少ないことを確認
③頻尿・脱水・口渇の症状の事前説明と定期的な確認の必要性④長期的な使用によるエビデンスはまだないため、意図しない症状変化がある際はすぐに薬局へ連絡

【調剤方式】
①一包化が可能なため、服薬管理が難しい方には他の薬と一緒に一包化してお渡しをする

といった感じで勉強会を終了いたします。

このような勉強会を行うことで、看護師と薬剤師のコミュニケーションの場も生まれ、どのような情報を看護師の皆さんが求めているかも把握することができるので非常に有用なツールとなっています。

是非看護師の皆さんから、薬剤部に声をかけてこのような会を開催していただきたいと思います。

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