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ナースマガジン×メドライン・ジャパン

アメリカにおける医療現場事情
手術室で活躍!外科技師(Surgical Technologist)に聞いてみました!

投稿日:2024.03.22

手術室で活躍! 外科技師(Surgical Technologist)に聞いてみました!

世界的にも人手不足が大きな課題となっている昨今、医療現場でもさまざまな対応策がとられています。
今回ナースマガジン編集部では、同様な課題を抱えるアメリカでの手術室の運用について、周術期臨床チームマネジャーのAngelaさんにお話を伺いました。
彼女は13年間の周術期における臨床経験ののち、メドラインの米国本社にて9年間にわたり業務改善ソリューション業務に従事されています。
Angela Carranza (アンジェラ・カロンツァ) さん
メドライン・インダストリーズ(米国本社)
急性期医療営業部
周術期臨床チーム マネジャー
認定外科技師(CST)
文学士号(BA)
リーンシックスシグマ認定(Lean Certified)
外科技師とは?
アメリカの手術室でのサポート専門職。
器具の準備・管理、手術室の整備、手術中の補助、手術後の処理などを担当。外科医と看護師を支え、専門教育と認定が必要な職種。

1. 手術室のタスクシフト事情

社会全体の人手不足が慢性化する中、日本の病院では医師や看護師が担当していた業務も含めたタスクシフトを進めていくことが急務となっています。

Q1. アメリカでも、手術前の器械展開、 医療材料展開といった業務は手術の担当看護師が 実施しているのでしょうか?

Answer

アメリカの医療機関では通常、外科技師(Surgical Technologist)が手術前に手術器具や消耗品を準備し、手術室看護師は外科医や麻酔科医と協力して患者や患者のケア計画を立てることに重点を置いています。両方の役割を手術室看護師が担当している施設もいくつかあります。

Q2. 外科技師として器械出し業務などを担当するための医療資格があるのでしょうか。

Answer

外科技師の資格を取るには、全米外科技術・外科助手委員会(NBSTSA ‒ National Board of Surgical Technology and Surgical Assisting)による認定プログラムを修了している必要があります。プログラムは準学位(2年制の大学)または学士号(4年制の大学)にすることができます。委員会の認定プログラムを卒業すると、一部の州で義務付けられている認定試験を受けることができます。

Q3.手術前の体位固定、皮膚消毒、 ドレーピングといった業務も外科技師が実施していますか?

Answer

患者の体位固定と皮膚消毒の準備は、手術室の看護師、外科医、麻酔科医が担当しますが、ドレーピングに関しては外科医、外科技師が主導します。

■編集部MEMO■

役割分担と専門教育
アメリカの手術室における外科技師の活躍は、明確な役割分担とその専門教育にあるようです。
日本では看護師以外の特別な資格がなくても直接介助はできますが、現場での指導や教育はますます重要となりそうです。


2. 手術件数増加への対応と業務マニュアル

日本では、手術件数増加に伴いスタッフの時間外労働が問題の一つとなっています。また医療機関における情報の更新や共有における管理方法に共通の管理ルールがないため、業務マニュアルなどの管理業務も手術室看護師の大きな負担となっています。

Q4.アメリカで手術件数増加に向けた手術室の運営体制における工夫や取り組みがあれば教えてください。

Answer

アメリカでは、選択的処置は手術センターと呼ばれる外来センターで行われる傾向があり、医療保険における償還制度の変更が進むにつれ、これらのセンターに移行する手術が増えています。
アメリカでも医療現場における人手不足は大きな問題になっているため、メドラインとしてはキット製品の適正化など医療材料管理をはじめとした間接業務の効率化にも貢献しています。

Q5.アメリカの病院では、手術室内での業務マニュアル (術式別器械出し手順や部屋のセッティングなど)の管理に関する共通ルールや法規制などはありますか?

Answer

アメリカでは、米国 外 科 学 会(AC S)と米国周術期看護学会(AORN)がベストプラクティスを確立しています。また、米国疾病予防管理センター(CDC)、米国食品医薬品局(FDA)、および各州の保険福祉規制に準拠した各病院のポリシーと手順に沿って病院ごとに作成・対応しています。これらは通常、病院の品質チームまたはコンプライアンスチームが管理しており、毎年見直されています。

■編集部MEMO■

手術準備キットで材料管理業務の軽減や手術準備業務の標準化
日本、アメリカともに医療現場の人手不足は大きな問題の一つ。特に日本では看護師が担う業務範囲が多岐にわたるため、手術準備キットや病院の運用に沿った業務効率化がカギと言えそうです。


3. 手術室の感染対策と教育制度

世界的に影響力のある機関によって、さまざまなベストプラクティスやガイドラインが確立されているアメリカ。特に感染対策に対しては、ここ数年でより意識が高まったことが推察されます。

Q6.手術用手袋におけるダブルグローブや ゴーグルの使用において、感染予防や防曝に関する法規制はありますか?

Answer

ベストプラクティスやガイドラインに従い、各病院がその施設の運用に基づいて最適な院内感染対策の専門家(ICP)を採用しています。

Q7.手術室看護師を含む 手術室スタッフ向けの教育制度としてはどのようなものが あるのでしょうか。

Answer

看護学士(BSN – Bachelor of Science in Nursing)取得後は、手術室、品質、その他の専門分野での認定があります。認定やライセンスを維持するには継続教育による単位取得が必要です。そのためメドライン米国本社では、「Medline University」というプラットフォームを通じて単位としてカウントされる160種類近くのプログラムを提供しています。

■編集部MEMO■

アメリカの医療機関が継続教育を重視し、実践と連携させている点に注目
メドライン・ジャパンでは新人手術室看護師向けに基礎知識トレーニングなどの院内教育サポートプログラムを提供しているとのこと。こうした取り組みが、今後の医療の質の向上につながることが期待されます。

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