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西山順博先生に訊きました

『ケアに活かせる栄養療法の豆知識』第32回 健康維持に 欠かせないビタミン⑩ ビタミンC

西山順博先生に訊きました『ケアに活かせる栄養療法の豆知識』第32回

健康維持に欠かせないビタミン⑩ ビタミンC

ビタミンCの推奨摂取量については、厚生労働省とアンチエイジングをテーマとする研究会や協会などで見解が異なります。

そこで、今回(その1)は厚生労働省による「日本人の食事摂取基準(2020年版)」に基づいた解説を、次号(その2)ではアンチエイジング目的でのビタミンC摂取とその注意点などを解説します。読者の皆さんも、正しい知識の下、安全で効果的な栄養療法について考えていただけたらと思います。

ビタミンCとは

 ビタミンCの化学名はアスコルビン酸、水溶性ビタミンです。食品中では、L-アスコルビン酸(AsA:還元型)またはデヒドロアスコルビン酸(DAsA:酸化型)として存在しています。体内で合成することができないため、食物や飲料から摂取する必要のある栄養素です。
ビタミンC

■ビタミンCのはたらき

 ビタミンCは皮膚や細胞を作るために必要なコラーゲンの合成には必須です。鉄の吸収を高めたり、抗ストレス作用を持つ副腎皮質ホルモンの合成を促進するはたらきがあります。また、生体内でビタミンEと協力して活性酸素を消去し、細胞を保護する抗酸化作用を持ちます。これらの作用は皮脂のコントロールやメラニン生成抑制の作用を持つために、シミのもととなる黒色メラニンの合成を抑えるはたらきも期待できます。

 生活習慣病の発症予防や重症化予防のためのビタミンCの量を策定するための科学的根拠は十分でなく、目標量は設定されていません。

■消化と吸収

 摂取されたビタミンCは消化管から吸収され、速やかに血中に送られます。消化過程は食品ごとに異なり、一緒に食べる他の食品によっても影響を受けます。ビタミンCはビタミン全体の中では例外的に、食事から摂取したものも、いわゆるサプリメントから摂取したものも、その相対生体利用率に差異はありません。吸収率は 200mg/日程度までは90%と高く、1,000mg/日以上になると50%以下となります。DAsAも、生体内で還元酵素により速やかにAsAに変換されるため、生物学的な効力を持ちます。体内のビタミンCレベルは、消化管からの吸収率、体内における再利用、腎臓からの未変化体の排泄により調節されており、血漿濃度は、およそ400mg/日で飽和します。

■過剰と欠乏

 通常の食品を摂取している場合、過剰摂取による健康障害が発現したという報告はありません。健康な人がビタミンCを過剰に摂取しても消化管からの吸収率が低下し尿中排泄量が増加することから、ビタミンCは広い摂取範囲で安全と考えられています。ただし、腎機能障害を有する場合や1日に大量摂取した場合は症状が現れたとの報告もありますので、通常の食事以外の食品から2,000mg/日以上の量を摂取することは推奨できません。

 欠乏によって影響を受けるのは、主として間葉系組織です。コラーゲン合成ができないので血管がもろくなり出血傾向となり、壊血病を発症します。

 主な症状は、全身の点状・斑状出血、歯肉の腫脹・出血、疲労倦怠感、イライラなどです。1日当たり10mg程度摂取していれば欠乏症(壊血病)は発症しません。

 一方、心臓血管系の疾病予防効果や有効な抗酸化作用は、血漿ビタミンC濃度が50µmol/L程度であれば期待できるとされており、それを維持する成人の摂取量は83.4mg/日であることが、疫学研究等で報告されています。

 このように、欠乏症予防が期待できる量と、心臓血管系の疾病予防効果および有効な抗酸化作用が期待できる量との差が極めて大きくなっています。

ビタミンCを上手に摂取しよう!

 ビタミンCは果物や野菜に多く含まれ、生食(サラダなど)は手軽で効率よく摂ることができます。水溶性なので、加熱調理が必要な場合は電子レンジや蒸し器などを利用する、あるいは煮汁ごと飲めるスープにするなどがおすすめです。摂取後2~3時間で排泄されるので、1度に摂るのではなく3食に分散して摂りましょう。
ビタミンB2を摂取しよう
参考:
「日本人の食事摂取基準(2020年版)ビタミン(水溶性ビタミン)」https://www.mhlw.go.jp/content/10904750 /000586563.pdf           
・岡田晋吾(編)「キーワードでわかる臨床栄養 令和版~栄養で治す! 基礎から実践まで」(羊土社)
・栄養andカロリー計算 http://www.eiyoukeisan.com/calorie/nut_list/index_nut.html  
・ビタミネ https://vitamine.jp/bita/bitab1201.html

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