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映画「ケアを紡いで」 大宮浩一監督 インタビュー
投稿日:2023.08.28
27歳でがんを患った看護師のゆずなさん。これは、彼女から託された、日々の記録。
映画「ケアを紡いで」
看護師の鈴木ゆずなさんは27歳でステージ4の舌がんを宣告され、治療を続けながら生きることを決意。本作は、彼女の生き方を通じて、生きにくさや苦しみに向き合いながらも自分らしく生きることの大切さを伝えるドキュメンタリー映画です。
今回、本作を制作した大宮浩一監督にインタビューを行い、映画に込めた思いや制作の裏側についてお話を伺いました。
(2023年3月30日取材)
看護師の鈴木ゆずなさんは27歳でステージ4の舌がんを宣告され、治療を続けながら生きることを決意。本作は、彼女の生き方を通じて、生きにくさや苦しみに向き合いながらも自分らしく生きることの大切さを伝えるドキュメンタリー映画です。
今回、本作を制作した大宮浩一監督にインタビューを行い、映画に込めた思いや制作の裏側についてお話を伺いました。
(2023年3月30日取材)
映画 『ケアを紡いで』 公式サイト https://care-tsumuide.com/
ストーリー
28歳の看護師、 鈴木ゆずなさんがステージ4の舌がんと診断された。2020年3月に舌の左半分を切除し、太ももの筋肉を移植。 頸部リンパ節に転移していたがんも除去した。2020年8月には肺への転移が見つかり、抗がん剤治療を続けていたが、2021年3月には保険内診療でできる標準治療がなくなり、抗がん剤治療を中断して緩和ケアと外来の併診に切り替えた。 5月には脳への転移が見つかり、右手がうまく動かせなくなった。彼女と夫の翔太さんは、やりたいことをするために行動する。6月には結婚パーティーを開き、8月には二人で富士山に登り、友人と地方へ旅行した。しかし、AYA世代である彼女の生活は厳しく、医療費制度と介護保険の谷間にあり、経済的な助成制度がほとんどない。また、仕事や育児など将来の話題が多い友人たちとのコミュニケーションが難しく感じることもあるが、些細な日常が幸せに感じられるようになった。
Q. ゆずなさんとの出会いの経緯について教えてください。
A. 映画に登場されているNPO法人「地域で共に生きるナノ」代表の谷口眞知子さんから「素敵なご夫婦だから会ってみないか」という紹介がありました。 映画として一般公開することは、後に決めたことです。はじめは「撮影することはできない」と思い、正直言いますと断るつもりでした。 しかし、お二人の雰囲気がすごく爽やかで、私自身、人としてのお二人に興味を持ちはじめました。 そのとき、ゆずなさんは、映画にしたいとか、テレビ番組で話したいとか、そういうことは言っていませんでしたが、「発信したい」という言葉を使われていました。「私ちのことを知ってもらいたい」という気持ちが伝わってきました。少しずつ撮影してみましょうかという提案をしましたが、どういう出口になるかは別して、ゆずなさんと翔太さんに見てもらえればいいのかなと思っていました。
Q. ゆずなさんが誰に何を伝えたいのか、撮影時に感じたことはありますか?
A. 彼女は、病気の有無やAYA世代に限らず将来的には誰もが介護が必要になる可能性があることを伝えたかったのかもしれません。映画ではAYA世代の悩みや医療・介護制度の課題が取り上げられましたが、それは主要なテーマではないように思います。 彼女が伝えてくれた言葉の一つに、「最後まで話を聞いてくれる人がほとんどいない」という言葉がありました。 ゆずなさんは、コミュニケーションの大切さを強調し、コミュニケーションそのものがケアであることを伝えたかったのでしょう。舌の手術後に滑舌が悪くなった経験から、話を聞くことの重要性を実感し、理解するだけでなく、話したい人にとって話を聞いてくれることがケアになると示唆していました。
Q. 映画のタイトルにはどのような想いが込められているのでしょうか?
A. もともと「紡ぐ」という言葉は、糸を紡いで面を織り上げることを意味しています。しかし本の糸だけではなかなか面を作ることができません。同じように、社会や地域の中で、様々な人たちが互いに絡み合っている様子が表現されています。このような多様性を反映した状態であり、一人ひとりが互いに支え合うような想いを込めて、「ケアを紡いで」 というタイトルを付けました。
あとがき
治療や制度には限界がある。だからこそ人や社会が受け入れる場を紡ぎ合っ ていくことが大切だと強く思う。 「私たちのことを知ってほしい」とゆずなさんが伝えてくれたメッセージから私たちは何ができるのかを考える機会を与えてくれた。それを必要としている人たちのために、看護やケアという重要な役割を果たすための道筋を紡ぎ出すために、その思いを意識し続けたい。(編集部)
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