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認定看護師さんインタビュー企画

認定看護師さんインタビュー企画~加藤理賀子さん(糖尿病看護認定看護師)~

投稿日:2012.12.20

認定看護師インタビュー今回は、
川崎市立川崎病院でご活躍されている加藤理賀子さんにお話を伺いました。

■認定看護師を目指したきっかけを教えて下さい。

新人の頃からずっと、外科系の病棟や外来での勤務をしていましたが、ある日内科に配置換えになったんです。そこで、多くの糖尿病の患者様との出会いがありました。

その時に、自分が糖尿病という疾患や、療養ということに対してあまりにも勉強不足であると感じたのです。病気を経験しておられることで、患者様から教えて頂くことも多く、自分の無力さを感じることも少なくありませんでした。

そうした時に、糖尿病療養指導士という資格があるという案内を院内で見つけたのです。自分自身、勉強することの必要性を感じていたところでしたので、これを機に勉強しようと思い立ち、糖尿病療養指導士認定資格取得の試験を受けようと決意しました。

勉強を始めることになって、あらためて自分の力量不足ぶりを感じたように思います。「学生の頃に得たと思っていた知識と全然違う。自分は何も知らないで患者様と接していたに等しい…」と痛切に感じました。 まずは糖尿病療養指導士の認定資格を取得し、その後に糖尿病看護認定看護師に進めるという認定資格があることを知り、仕組みがあって、糖尿病療養指導士になった後、そのままの勢いで認定看護師を目指したのです。

■資格に向けて、取得できるかどうかの不安などはありましたか。

実は当時、私は糖尿病看護認定看護師という資格についてあまり理解をしないまま、研修学校に入学したんです。入学後初めて、「こんなに勉強するんだ」「こんな役割があるんだ」と知ることになりました。

もちろん、学校に来ている他の人たちは熟知していたと思いますが、私は何も知らずに、日頃の勉強の延長という気持ちで入学をしてしまった感じでした。いざ入ってみて、そのレベルの高さに戸惑いました。「スゴいぞここは。大丈夫かな私は…」と驚く毎日でしたが、入学に際しては病院の支援も受けていますし、「しっかりしなきゃ」と思い直して頑張りました。そうしたプレッシャーとの闘いといった面もありましたね。

■受験に際しての勉強はどのようにしていたのでしょうか

受験勉強をしていく上で、どんな内容が最も必要なのかが自分ではよく分からなかったこともあって、糖尿病療養指導士の受験ガイドブックを一冊まるまる勉強していましたね。知識学習は、ひたすらテキストで学ぶという方法です。

12月が試験でしたが、10月くらいに受験が決まったので、期間は2か月程度しかありませんでした。当時は3交代勤務の中で、仕事中はもちろん勉強など出来ませんし、家族もいるので夜も時間が取れません。必然的に、休みの日の日中に集中して、時間を工夫しながら勉強をしていました。

その時、周りの受験仲間の人たちにすごく刺激を受けていたことが、自分のモチベーションにもつながっていたと思います。糖尿病の看護に対する高い志や、豊富な現場経験をもった人が多く、「私もそんな風になれるだろうか?」と自問しながら、そうした自分になりたいとの思いで勉強を重ねていたように思います。

■いま、認定看護師として取り組んでいることを教えてください。

現在は糖尿病専門外来の中で、フットケア外来も担当しながらの勤務をしています。他には外来の患者様の療養相談や、院内では後輩の育成、そして病棟の相談業務もあります。

認定看護師としての役割は多岐に及びますから、自分自身できちんと整理しながら業務を行うことが求められます。 ほかに、委員会の中でのリンクナースの育成も大事ですし、ドクターと話をする機会も多いため、時間的な調整にも気を配っています。

糖尿病看護認定看護師は、700床規模のこの病院で自分一人しかいないため、責任も大きなものがあると思っています。それだけに、まずは自分の出来ることをしっかりとやろうと考えています。

■認定看護師になる以前と比べて、なにか変化したことはありますか。

自分自身、糖尿病看護に関する知識は以前よりレベルアップしたと思いますから、その意味で、患者様に対する自分のスタンスも良い方向に変わったと思います。入退院を繰り返す糖尿病の患者様に対しても、原因が把握できることで、患者様の心理や気持ちまで理解できるようになってきました。

また、患者様が私を指名してくることが増えたことも、喜びややりがいにつながる部分ですね。 たぶん、一緒に働いているスタッフは「なぜ加藤さんなんだろう」と不思議に思うかもしれませんが(笑)、横で見てもらって、「なるほど」と感じてもらえるように、周囲のスタッフの良いお手本になることができたら良いですね。

ドクターとも、これまでよりも近い目線で話が出来るようになり、おっしゃられている内容が理解できることで、周りのスタッフにそれを説明してあげられることもあります。そうした機会を通じて、自分自身が成長できていることを感じられるのは嬉しいですね。勉強したことが現場で生きるとともに、自分が患者様の役に立っていると感じる場面が増えたことが、何よりも嬉しく思います。

■受験に際してなど、いちばんどんなことに苦労されましたか。

通学中は、勉強もあって睡眠時間がそれまでとは比べものにならないくらい短くなりましたし、通学のための時間も2時間ほど掛かっていましたので、電車の中で睡眠を取ることも大事だと実感しました。

レポートも今までにないくらい書きましたし、テストの勉強も時間を見つけながら何とかこなしている毎日でした。それらのことを、苦労と言ってしまえばそうかもしれませんが、私は全部楽しかったんです。 苦労と感じることはなくて、楽しい毎日。充実感があったからだと思いますが、学校に行けて良かったと今でも思っています。
それよりも、本当に大変なのは、病院という組織に帰ってきてからだと思います。最初は、なかなか自分の思うように「認定看護師」という資格を生かせる訳ではないと思います。それをどう生かせるかは自分次第で、実際に積極的な行動で示すことが、周囲の理解にもつながっていくと感じます。

■認定看護師として心掛けている事はありますか。

病院から依頼があったことは、絶対に断らないということですね。私は、自分一人の力ではなく、あくまでも病院の一代表として認定看護師になることができたと思っています。だからこそ、病院にスキルを還元していくことを常に考えていなければいけないのです。

学んだものは患者様に、そしてスタッフ全員に返していく。だから、依頼されたことはいつも笑顔で引き受けるようにしています。何よりも笑顔、それが大事だと思っています。

■認定看護師になって嬉しかったことを教えてください。

日々の看護の中で、患者様から感謝の声をいただいたときです。自分が役に立てたという実感が得られて、それをいちばん嬉しく感じますね。

例えば、涙を流される患者様もいるんです。患者様の深い部分に触れることで、涙を流される。そうするとすっきりして、「ありがとう」と言ってもらえることがあります。この瞬間に、やりがいをすごく感じます。

それは必ずしも糖尿病の治療や療養のことではなく、これまでの人生のことや今の生活や家族のことに話が及ぶこともあります。今話していることが今この患者様に必要なことだと思い聴かせてもらっています。そんな時に、「ありがとう」の言葉をいただけたときに、心からやりがいを感じます。

自分なりに新たな知識を得ることができたからこそ、今までよりも患者様に踏み込んでいける部分もあると思うのです。患者様の状態をきちんと把握しながら、的確なアドバイスをする。これからも続けていきたいと思います。

■加藤さんの現在の目標は何でしょうか。

今はチームのマネジメントと自分自身の看護実践業務が主な役割ですが、他の看護師さんにも、糖尿病の領域をやりたいな…と思ってもらえるように、私自身仕事をしていきたいと思っています。

自分自身がしっかり頑張ることが、糖尿病の領域に目を向けてもらうことにつながるとも思いますし、またみんなの目標にしてもらえるような認定看護師になっていきたいですね。そのためにも、まずはリンクナースの育成という役割から今はしっかりやっていきたいと思っています。

■これから認定看護師を取得しようと考えている看護師さんへ、メッセージをお願いします。

悩むことも必要な時間です。与えられた時間のなかで、たくさん悩んでいいと思います。そして、悩むということは、心のどこかに認定看護師にトライしたいという気持ちがあるということだと思います。その想いの部分を、しっかりと自分で見つめ直してみてほしい。その上で、悩むくらいならチャレンジしてみよう! と思える自分を見つけてほしいと思います。

どうしようかな…と思っている時点で、きっとそれは「なりたい」はず。まずは行動を起こしてみましょう。やってみること。それが大事です。

<加藤さんがご活躍されている病院>

川崎市立川崎病院
〒210-0013 神奈川県川崎市川崎区新川通12-1
044-233-5521(代表)
>>http://www.city.kawasaki.jp/83byoin/kawasaki/

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