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髙﨑 美幸先生の胃瘻(PEG)ケアコラム第1回

第1回 胃瘻コラム

はじめに

はじめまして。いよいよ今月からPEGについて看護師の皆さんと一緒に考えられることをとても嬉しく思います。
 さて、記念すべき第1回は何を書こうかな?と悩んだ末、1回目にはふさわしくないかもしれませんが、日本国民にとって忘れられない日となった、3月11日東日本大震災後の胃瘻管理への影響について取り上げてみたいと思います。
今回5月3日から7日まで、宮城県の石巻・女川の町に全国在宅訪問栄養食事指導研究会の会員として日本栄養士会から派遣され、ボランティアで行かせていただきました。
生まれて初めてで恐らく人生最後の経験である病院栄養士としての自施設及び災害支援の体験を通して胃瘻の栄養管理について少しまとめてみたいと思います。

管理栄養士として震災について思うこと

私の勤務先は千葉県松戸市。沿岸は液状化で被害のあった被災県ではありますが、当院は内陸で建物にヒビが入った程度です。当日地震時は、患者さんへの集団栄養教室(貧血教室)の最中で、激しい揺れと時間の長さに教室を中断せざるを得ず、直後は病院のガス・電気の供給ストップや駅の閉鎖による帰宅難民職員への食事提供などの対応がメインでしたが、週が明けたら事態はもっと深刻になっていました。
給食に使用する食材料が入ってこない!計画停電で、病院の機能*や食事提供も大混乱!!まだ入らない商品もありますが、4月中旬より選択食も再開しています。
*注)当院は透析専門病院のため、透析4時間の確保のため計画停電の時間を避けた透析時間の変更やそれに伴う食事提供時間の調整及び電車の運休で出勤できない職員の続出で、透析室業務が大混乱。さらに計画停電の院内真っ暗な中での病棟の食事手配膳・・・。
災害支援では、石巻と女川の避難所及び在宅訪問に行って来ました。明治乳業の方が直接支援物資を届けてくれる等、避難所には思った以上に特殊栄養食品が届いていました。胃瘻の患者さんにはお会いしませんでしたが、逆に通常栄養サポートの必要でない方々でも避難所の炭水化物過多のたんぱく質、微量栄養素不足の状態に置かれていて、この先子供さんの成長等、管理栄養士として関われるところがまだまだあると感じました。
ところで、皆さんのご施設でも薬剤の納入が滞ったりしませんでしたか?経口で使うことが多いと思いますが、かの有名な薬価の経腸栄養剤の供給が危うくなったこともありましたね。
胃瘻患者さんでは、経腸栄養ポンプが停電で使えないのは当然のこと、上記の影響やメーカーの倉庫被災で食品扱いのものも手に入りずらい状況になってしまいました。
胃瘻の患者さんにとって栄養剤は食事ですから、手に入らないときは食品を駆使して対処します。レシピはご参考まで。
**手作り濃厚流動食**
病院編:粉飴10g、スキムミルク10g、マクトン3g、水77ml(100ml=100kcal、たんぱく質3.4g:通常タイプ)
粉飴20g、スキムミルク8g、マクトン6g、水66ml(100ml=150kcal、たんぱく質2.7g:低たんぱくタイプ)

家庭編:ご家族と同じ食事をミキサーにかけて、流動性の悪い場合はガーゼなどで少し裏ごしして使用すれば十分です。

患者さん用に少しでも市販品成分に近づけるためのレシピを考えてみました。

砂糖30g、スキムミルク40g、生クリーム30g、牛乳400ml、重湯200g、ほうれん草等葉物野菜50g、人参20g、100%オレンジジュース200ml、卵黄2ヶ分、味噌12g、だし汁150cc、オリーブ油15g、食塩2g

この材料で1日1200kcalの充足ができます(Ene:1222kcal、たんぱく質43.7g、食塩4.1g)。
*一般社団法人「全国在宅歯科医療・口腔ケア連絡会」HP一部改変

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