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ナースマガジン vol.37

聴きある記:第37回 日本がん看護学会学術総会


会 期:2023年2月25・26日

会 場:パシフィコ横浜ノース(およびWeb配信)

会 長:清水多嘉子氏(がん研究会有明病院)

テーマ:がん患者の持つ力を見出し支援する
2日目のシンポジウム2「第4期がん対策推進基本計画から考えるがん看護の未来」 では第4期推進基本計画策定の経緯に詳しい4名の演者が登場。 以下に要旨を紹介する。

シンポジウ ム 2 第4期がん対策推進基本計画から考えるがん看護の未来

座長:
小澤桂子氏(NTT東日本関東病院)
増島麻里子氏(千葉大学大学院)

1  第4期がん対策推進基本計画について

原澤朋史氏(厚生労働省がん・疾病対策課)
 第3期基本計画は平成30年に策定され、「がん患者を含めた国民ががんを知り、 がんの克服を目指す」 ことを全体目標に掲げ、 「がん予防」 「がん医療の充実」「がんとの共生」を3本の柱とした。 この基本計画では3年を目途に中間評価を行うこととされ、 令和4年に中間評価報告書がとりまとめられた。 このなかでは地域間、 医療機関間で進捗状況に差が見られることから、正しい情報の提供や効果的な普及啓発の手法等の検討が必要とされた。 中間評価をもとに本年度中の第4期基本計画策定に向けて議論を進めているが、第3期基本計画の3本の柱については維持することとした。 医療全体においてデジタル化の推進が行われ、「がんとの共生」では社会復帰に関連してアピアランスケアのサポートなどが検討されている。

2 これからの緩和ケア―いつでも、どこでも必要なときに、 質の高い緩和ケアをうけることができるために

木澤義之氏(筑波大学医学医療系)
 緩和ケアは、重い病とともに生きる患者と家族のQOLの向上を図ることを目的とし、患者家族を包括的に評価し、①苦痛症状の評価と治療、 ②心理社会的支援とコミュニケーション、 ③療養の場をこえたケアのコーディネーションの実践がその根幹をなす。 わが国における緩和ケアは、がん疾患への対応を中心にがん対策推進基本法の下支えを受けてこの15年で大きく進化してきたが、 一方で不十分な点があることも指摘されている。高齢化、 人口減少社会において、どのようにこの問題に対応していくか既存の枠を超えて考えていく必要がある。

3 第4期がん対策推進基本法において看護師が担う役割

田村恵子氏(京都大学大学院医学研究科)
 令和4年、厚労省より 「がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針」 が発出された。 指針では、 ①都道府県協議会の機能を大幅に拡充し拠点病院の連携強化を図り、 都道府県全体のがん医療水準向上に関して中心的な役割を担うこと、②連携に際しては患者団体等にも積極的な関与を求めることとなっている。 また、 「相談支援センターの体制充実」 が盛り込まれているが、自身の経験からもこれまで支援センターが十分に活用されているとは言い難く、医療スタッフへの周知も十分ではなかった。 支援センターの実質的な運営を担っている看護職は多く具体的な解決策を提案し、 実施していくことが求められている。 また、 「がんと診断された時からの緩和ケアの推進」についても看護職がリーダーシップをとることが求められている。

4 希少がん患者支援から看護に期待すること

大西啓之氏(特定非営利活動法人キュアサル
 希少がん患者の遺族として2020年から厚労省がん対策推進協議会の委員として参加し、 成人軟部肉腫の患者会代表、日本希少がん患者会 (RCJ) の 一員として意見を述べてきた。 希少がん対策として、 東京に中央機関、 大阪、 福岡に中核拠点ができ、相談支援もスタートした。 チーム医療が進むなか、看護職の存在は情報が少ない希少がん患者および家族にとって重要となっている。

(ニュートリション・アルファ 西谷誠)

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