認定看護師さんインタビュー企画
認定看護師さんインタビュー企画~浦田克美さん(皮膚・排泄ケア認定看護師)~
今回の「認定看護師インタビュー」は、
千葉県松戸市にある東葛クリニック病院の浦田克美さんにお話を伺いました。
千葉県松戸市にある東葛クリニック病院の浦田克美さんにお話を伺いました。
■看護師になろうと思ったきっかけを教えて下さい。
高校生の時、進路について考えたときに、一生出来る仕事に就きたいと思ったんです。長い目で見て「手に職をつけたい」と考え、その時に頭に浮かんだのが看護師という職業でした。 ほかに学校の先生やスチュワーデスなどの職業も考えましたが、何となく、どれも私には合っていないなと(笑)。
看護師に特別に憧れていたというわけではなかったのですが、いろいろ考えていく中で、看護師という選択肢に行きついたという感じですね。
看護師に特別に憧れていたというわけではなかったのですが、いろいろ考えていく中で、看護師という選択肢に行きついたという感じですね。
■キャリアを教えて下さい。
専門学校を卒業した後、最初に外科病棟に入職しました。学校が病院の付属でしたので、そのまま入職した形です。
そこで5年ほど勤務したのち、結婚と出産を機に松戸の病院に移り、そこで認定看護師を受験しました。その後、病院が閉院することになり、現在の病院に転職をしたのです。
そこで5年ほど勤務したのち、結婚と出産を機に松戸の病院に移り、そこで認定看護師を受験しました。その後、病院が閉院することになり、現在の病院に転職をしたのです。
■認定看護師を目指したきっかけは何でしたか?
一人の先輩と、ある患者様との出会いがきっかけでした。私は看護師になりたての頃、それほどモチベーションを高くもって勉強をしていたわけではなかったように思います。
そんな私に、熱心に指導してくださる一人の先輩がいました。その先輩は、皮膚・排泄ケア認定看護師の第1期生で、とても頼れる方でした。当時私は、松戸の病院で多くのストーマ患者や褥瘡の患者さまに出会いましたが、先輩に教わりながらも、同じような対処ができない未熟な看護師だったのです。
ある日、入院していた一人の患者さまに外来で出会いました。その時に、「漏れ」の問題は患者さま自身の大きな苦痛となっていて、「入院中も夜なかなか眠れない、退院しても外出もしたくない」と思うほどの辛いものだという話を聞いたんです。
そんな私に、熱心に指導してくださる一人の先輩がいました。その先輩は、皮膚・排泄ケア認定看護師の第1期生で、とても頼れる方でした。当時私は、松戸の病院で多くのストーマ患者や褥瘡の患者さまに出会いましたが、先輩に教わりながらも、同じような対処ができない未熟な看護師だったのです。
ある日、入院していた一人の患者さまに外来で出会いました。その時に、「漏れ」の問題は患者さま自身の大きな苦痛となっていて、「入院中も夜なかなか眠れない、退院しても外出もしたくない」と思うほどの辛いものだという話を聞いたんです。
外来で偶然うかがった話だったのですが、その時に先輩の事を思い出しました。「きっと先輩なら、患者さまにこんな思いをさせなかったはずだ」「もっと私が先輩の教えをしっかりと身に付けていたら、この患者さまにも満足してもらえるケアができるはずなのに」と自分の不勉強を深く後悔したのです。同じように看護師として働いているのに、排泄ケアさえきちんと出来ない自分に対して、ふがいない気持ちが日に日に大きくなっていきました。
「こんなことでは患者さまの人生を暗くしてしまう」と思うと同時に、「先輩はしっかりとした技術と知識をもっていて凄い!」とあらためて実感しました。私も同じような技術と知識を身につけて、看護師人生を歩んでいきたい!と強く思うようになったんです。そして、認定看護師を目指すことに決めました。
「こんなことでは患者さまの人生を暗くしてしまう」と思うと同時に、「先輩はしっかりとした技術と知識をもっていて凄い!」とあらためて実感しました。私も同じような技術と知識を身につけて、看護師人生を歩んでいきたい!と強く思うようになったんです。そして、認定看護師を目指すことに決めました。
■認定看護師を目指す上での苦労などはありましたか?
受験に向けて動き出すまでに、長い時間がかかりました。私は先輩に出会っていなかったら、認定看護師を目指すとは考えていなかったと思いますし、その先輩に出会えた事が自分の進路の中でも本当に大きかったと感じています。
実は、同じ皮膚排泄認定看護師になろうと思った時に、先輩に報告しようと連絡をしたのです。そのとき、「なぜ認定になりたいの?」と質問をされたのですが、私は何も答えられなかったんですね。「まぁ、資格を取れれば…」と漠然と考えていた自分がいて、先輩に「出直してきなさい」と言われたのです。
実は、同じ皮膚排泄認定看護師になろうと思った時に、先輩に報告しようと連絡をしたのです。そのとき、「なぜ認定になりたいの?」と質問をされたのですが、私は何も答えられなかったんですね。「まぁ、資格を取れれば…」と漠然と考えていた自分がいて、先輩に「出直してきなさい」と言われたのです。
受験に対しての相談や、試験ではどんな質問が出るのか聞きたいと思っていたのですが、「認定試験は上っ面な考えで受けられるようなものではない」と叱られたのです。「自分が目指す、明確な目的をしっかり意識してから受験するべき」と諭されました。
そこから、自分は果たして認定看護師になって何をやりたいのか、ずっと自問自答していくことになりました。自身をもう一度見つめ直した結果、やはり原点はあの患者さまの話だったのです。「病気や苦痛を抱えた患者さまと、一緒になって頑張るための知識や技術を身に付けたい」という素直な気持ち。それを持ち続けることが私の使命だとあらためて分かったのです。
もう一度先輩に連絡をして、率直な思いを伝えました。先輩から、「分かった。頑張りなさい」という言葉をもらって、そこからはもう勉強、勉強の毎日でしたね。
そこから、自分は果たして認定看護師になって何をやりたいのか、ずっと自問自答していくことになりました。自身をもう一度見つめ直した結果、やはり原点はあの患者さまの話だったのです。「病気や苦痛を抱えた患者さまと、一緒になって頑張るための知識や技術を身に付けたい」という素直な気持ち。それを持ち続けることが私の使命だとあらためて分かったのです。
もう一度先輩に連絡をして、率直な思いを伝えました。先輩から、「分かった。頑張りなさい」という言葉をもらって、そこからはもう勉強、勉強の毎日でしたね。
■受験時の状況について教えて下さい。
認定試験に向けての勉強を始めたのが、子供が1歳半の頃でした。夜勤の一方で、家事や子育てもあります。勉強をする時間がなかなか持てなくて、いかに時間を工夫しながら勉強時間を捻出するかを考える毎日でした。
仕事が終わって自宅に帰り、子供と一緒に9時頃に寝ます。そして夜中の3時に起きて、朝の6時まで3時間勉強する。そして仕事に出かける。そんな毎日を、試験に合格するまでほぼ3年近く続けていました。今考えると、よくやっていたなぁと思いますが、当時は「とにかくやらねば!」との強い思いがあったのだと思います。そのときの経験で、時間を上手に使うための管理の仕方や意識が身に付いたかな、と今は感じていますね
仕事が終わって自宅に帰り、子供と一緒に9時頃に寝ます。そして夜中の3時に起きて、朝の6時まで3時間勉強する。そして仕事に出かける。そんな毎日を、試験に合格するまでほぼ3年近く続けていました。今考えると、よくやっていたなぁと思いますが、当時は「とにかくやらねば!」との強い思いがあったのだと思います。そのときの経験で、時間を上手に使うための管理の仕方や意識が身に付いたかな、と今は感じていますね
■教育課程での思い出などあれば教えて下さい。
全てが楽しかったですね。同じ目標を持った仲間がいて、ともに頑張るという場はなかなか得られるものではありませんから。さまざまな年齢の人がいたにも関わらず、みんなが同じベクトルを向いて進んでいく仲間でした。当時の仲間は今も一生の友達ですね。
そんな中でも辛かったのは、実習の時のプレッシャーでしょうか。自分が知識を吸収するのは当たり前ですが、それを人に伝えることが難しかったですね。認定看護師の役目の一つは看護の底上げですから、自分だけが出来るのではなく、他の人に知識を伝えることが大事な使命なのです。人とのコミュニケーションは教科書通りにはいかない部分ですから、とても難しいと思いました。それは今でも難しいと感じますし、それだけにとても大事な部分だと感じています。
そんな中でも辛かったのは、実習の時のプレッシャーでしょうか。自分が知識を吸収するのは当たり前ですが、それを人に伝えることが難しかったですね。認定看護師の役目の一つは看護の底上げですから、自分だけが出来るのではなく、他の人に知識を伝えることが大事な使命なのです。人とのコミュニケーションは教科書通りにはいかない部分ですから、とても難しいと思いました。それは今でも難しいと感じますし、それだけにとても大事な部分だと感じています。
■認定看護師となって、病院に戻った後はいかがでしたか。
まず院内で毎日の仕事をしっかりとこなし、自分の立ち位置を作ることを考えました。認定看護師になったからといって、自分にはまだ信頼も実績も何もありません。最初の1年くらいは自分から勉強会などに参加して、発言や発表などを積極的に行う中で、自分の考えや思いを周囲の皆さんに少しずつ伝えられたらいいと思っていました。そして次第に、認定看護師としての自分を職場でも認識してもらえるようになり、褥瘡の勉強会や委員会を立ち上げることもできるようになりました。
私は、看護の勉強については委員会を作る事が大事だと感じていたんです。チームですと参加は任意ですから、忙しい時などは人が集まらなかったのですが、委員会にすることで看護師が参加しやすい環境を作ることができたのです。
その意味では、認定看護師になってから、学んだことを皆とどうやって共有していくかを常に考えて行動するようになりました。看護はチームで行うもの。皆で思いを共有しながら、力を合わせて前に進むことが大切だと思いますね。
私は、看護の勉強については委員会を作る事が大事だと感じていたんです。チームですと参加は任意ですから、忙しい時などは人が集まらなかったのですが、委員会にすることで看護師が参加しやすい環境を作ることができたのです。
その意味では、認定看護師になってから、学んだことを皆とどうやって共有していくかを常に考えて行動するようになりました。看護はチームで行うもの。皆で思いを共有しながら、力を合わせて前に進むことが大切だと思いますね。
■現在の具体的なお仕事の内容を教えて下さい。
普段は外来看護師として勤務しながら、認定看護師としての活動日を頂いています。認定看護師としての仕事では、まず院内のおむつの選定をし直しました。また、おむつ体験も含めて、おむつの当て方など、上手に使いこなすための勉強会もできるだけ開いてきましたね。
そして、各サテライトへの回診も開始しました。これは、患者さまが動くのではなく、看護師が動くことで患者さまに余計な負担をかけないための取り組みです。当院は大きな大学病院というわけではないので、サテライト移動だけでも半日以上かかったりします。患者さまからすると大きな負担になるので、改善したいという思いが強くあったのです。
そして、各サテライトへの回診も開始しました。これは、患者さまが動くのではなく、看護師が動くことで患者さまに余計な負担をかけないための取り組みです。当院は大きな大学病院というわけではないので、サテライト移動だけでも半日以上かかったりします。患者さまからすると大きな負担になるので、改善したいという思いが強くあったのです。
■今後、認定看護師としての目標は何ですか?
サテライトへの回診を強化していくことが一つですね。そしておむつとエコーについて積極的に取り組んでいきたいと考えています。私は、おむつに対して社会的なイメージの向上を図りたいと考えているんです。おむつは恥ずかしいことなどではなく、病床で身に付けるのは当たり前です。今は仲間とともにさまざまな企業に赴いて、おむつのイメージをアップさせるための企画提案を行っています。
そして、今は看護師がエコーをすることはあまり無いのですが、当院では現在、褥瘡で行っています。最初はDTI深部の診断のために行っていたのですが、予防ケアや早期発見、経過評価にも使えることが分かってきたのです。看護師が定期的に行うことで、処置の善し悪しの判断ができるようになってきました。
よく看護師は「五感で看る」といいますが、より客観的な判断を促してくれるのがエコーです。機材もこれからもっとコンパクトになっていくと思いますし、これからは看護師が一般的に使うツールになると感じています。
よく看護師は「五感で看る」といいますが、より客観的な判断を促してくれるのがエコーです。機材もこれからもっとコンパクトになっていくと思いますし、これからは看護師が一般的に使うツールになると感じています。
■認定看護師として、心がけていることはありますか。
人に伝える時には、そこに至ることになった根拠を添えることを忘れないことですね。How toが大事なのではなく、どうしてそのような状況になったのか、つまりアセスメントについて考える力が大事だと思います。私自身も含め、しっかりとその部分を伝えるようにしています。
■認定になって充実感を感じた瞬間はありますか。
一つは、患者さまに名前で呼ばれたときに、うれしい!と感じますね。だんだん、「浦田さん」と名前で呼んでもらえるようになってきました。もちろんそれだけではダメなのですが、患者さまに認めてもらえた瞬間という感じで、やっぱり喜びを感じますね。少しは認定看護師として認められたのかな、と嬉しく思える瞬間です
■ナースの星Q&A会員へのメッセージをお願いします
認定看護師の資格を取るという結果が、ゴールなのではありません。認定看護師になって何をしたいのか? 何を成し遂げたいのか? 私が先輩から言われた言葉そのままですが、自分でそれをしっかりと認識することが、看護師としての成長につながっていくと思います。
そして資格を取得してから、思いを実現していく努力を続けることが何よりも大事です。自分は何のために認定看護師になりたいと思うのか、活動の原点をしっかりさせることで、モチベーションを維持しながら仕事ができると思います。
そして資格を取得してから、思いを実現していく努力を続けることが何よりも大事です。自分は何のために認定看護師になりたいと思うのか、活動の原点をしっかりさせることで、モチベーションを維持しながら仕事ができると思います。
<浦田さんがご活躍されている病院>
医療法人財団松圓会 東葛クリニック病院
千葉県松戸市樋野口865-2
Tel:047-364-5121 Fax:047-367-0508
>> http://www.tokatsu-clinic.or.jp/
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