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ナースマガジン vol.40

ナース編集者が行ってみました‼地域でがんばる 鍼灸院の役割

投稿日:2022.12.12

補完・代替医療として鍼伮治療があります。おもに肩こりや腰痛など、症状の改善、緩和のための手段のひとつとして検討されることがあります。しかし看護師にとっては鍼灸院の日ごろの活動について知らないことが多いのも事実です。

そこで、多角的なアプローチで、地域でチーム医療に加わることもある「長岡治療院」(名古屋市天白区)の事例を紹介します。副院長の長岡哲輝先生にナース編集者がお話をうかがいました。
長岡 哲輝 先生
長岡治療院 副院長
長岡 哲輝 先生

現代医学の領域を学ぶ院内教育にも力を注ぐ

 「長岡治療院」は名古屋市東部に位置する天白区にあります。同院は、院長の長岡亨先生(長岡哲輝先生のお父様)が平成元年に開設し、これまで延べ40万人に鍼灸治療を
行なってきました。患者の7割が腰痛、肩こり、ひざ痛で受診しています。副院長の長岡哲輝先生は、「運動器症状の改善は、物理的刺激を与える鍼灸が比較的得意とするところです。患者様が体の調子を整え、より快適に生活するために向き合っています」と話します。

 同院で特に力を注いでいるのが院内教育です。週1回の勉強会で、鍼灸のことだけでなく現代医学についても知識の研鑽を積んでいます。「緊急性が高い症状や重篤な疾患を見逃さず、誤った診断をしないためには、ベースとなる西洋医学を学ぶことは不可欠です。症状によっては、迅速に地域の医療機関を紹介しています」。

在宅要介護高齢者の褥瘡予防にチームでとり組んだ経験

 鍼灸師も「現代医学の言葉」で患者情報を提供することが大切と長岡先生はくり返します。このような考えの根幹になっているのは、明治国際医療大学の鍼灸臨床研修生時代の実践経験かもしれません。在宅要介護高齢者の皮膚の発赤を鍼灸師が最初に発見。WOCナース、作業療法士、ケアマネジャーと連携を図り褥瘡予防につながった事例は、日本在宅医療連合学会で発表されました(2020年ポスター発表)。

 現在「長岡治療院」の往診患者は約20名。「チームとして行われているケアの内容を適切に把握し、他職種をリスペクトすることが大事だと思います」。往診担当の鍼灸師は介護プラン変更の担当者会議にもできるだけ参加しているというから驚きです。通知がないまま会議が終わっていることも少なからずありますが、日ごろからケアマネジャーに連絡をとるよう努力されているそうです。

地域で埋もれている課題にも目を向けていくことが大事

 天白区の高齢化率は22.30%(65歳以上・2020年)。築年数の古い団地もあり住民同士のコミュニティが比較的残っているエリアです。同院では2020年から「みんなの養生だより」を発行。「地域の健康よろず相談所」を目指したいと語る長岡先生に、鍼灸師の未来像について伺いました。「まちのイベントやコミュニティに参加し、地域で埋もれている課題を見つけ出す力も求められていくのではないでしょうか」と語ってくれました。


長岡治療院 3つの努力

1)週1回の院内勉強会
鍼灸だけでなく現代医学の知識を深める場に

2)ケアマネジャーに連絡をとる
往診患者のチーム医療の領域にかかわるために

3)院内広報誌の発行
セルフケアの情報提供と患者様のモチベーションの向上のために
「鍼灸安全対策ガイドライン」 に則った施術を行ない、衛生面に配慮したディスポーサブルタイプの鍼を使用。
現代医学も学びながら地域医療にも熱心に取り組んでいきたい、という先生のご活動がとても印象的でした。

多職種連携においても積極的に関わりを持ち、各専門職の役割を理解することの重要性もお話しいただきました。ありがとうございました!



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