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達人に訊く!

達人に訊く!感染予防における予防接種ここがポイント!

投稿日:2020.04.10

感染は患者によって媒介されるだけでなく医療者が媒介者になる可能性もあり、感染を拡大させないよう適切な予防対策をとることが求められます。
予防接種を受け、ワクチンによりウィルスや細菌に対する免疫力を作り出し感染症にかかりにくくする予防法は皆さんご存知かと思いますが、ご自身の抗体価を把握していますか?
今号では感染管理の達人に、感染予防における予防接種について医療者が気を付けなければならないポイントをお訊きしました。

医療関係者が、自分自身が感染しやすい環境の中で身を守る必要があると同時に、自分自身が感染媒介者にならないための予防も必要です。予防接種は感染症を予防するために最も特異的かつ効果的な方法で、定期予防接種と任意の予防接種があります(図1)。定期予防接種に該当する疾患には、集団予防を目的とする感染症(A類疾病)と個人予防を目的とする感染症(B類疾病)があります。これらは広く国民に対して行われていますが、医療関係者に向けたガイドラインがあり、一般社団法人日本環境感染学会では、医療関係者の予防接種についてガイドラインを作成し、2009年5月に公表しています。
その後、予防接種を取り巻く環境が変化するのに伴い、2014年9月には第2版として改訂されました。
ワクチンの種類には、生ワクチンと不活化ワクチンがあります。生ワクチンは病原性を極度に弱めたもので、接種により得られる免疫は強固です。不活化ワクチンは、ウイルスや細菌の感染力を失わせた(不活化)ものです。種類によって異なりますが、生ワクチンのように1回では免疫力がつきにくく、追加接種により抗体価を一定に保つ必要があるものがあります。医療関係者の予防接種は、個々人がその重要性を理解した上で任意で行うものですが、業務の特性から積極的に行うべきと考えます。医療機関への採用時はもちろん、臨地実習など医療機関で学ぶ機会の前にも予防接種を済ませているかの確認をする必要があります。

厚生労働省の報告によると、風疹は5年ごとに大流行していましたが、2011年から海外で感染し帰国後発症する輸入例が見られ、風疹患者の報告数が過去最多となりました。2014年から流行は落ち着いてきたものの、2018年からは患者数がまた増加しています。麻疹の発生の多くも国外からの輸入例であり、普段からの備えが非常に重要になってきています。
MR(麻疹・風疹混合)ワクチンの概要を確認し、漏れなく接種しましょう(表1)。さらに、現在厚生労働省では、小児期の定期接種に加えて、公的なキャンペーンとして特定の年齢層に対してワクチン接種を推奨しています。特に注意すべき年齢層は、1962年4月2日~1979年4月1日生まれ(2019年4月1日現在40~57歳)の男性です。過去に公的なMR予防接種が行われていないため、家族や周囲の人に感染を拡大させてしまう恐れがあります。
そのため、該当期間内に生まれ、HI抗体価が8以下相当の場合は、原則MRワクチンを使用するようになっています。市区町村で配布される風疹対策クーポン券が届いたら、検査・ワクチン接種をしましょう。あなたの周りに対象者はいないでしようか。
医療関係者が発症すると、本人の重症化の可能性に加えて、周囲の患者や医療関係者への感染源となることから、迅速な対応が求められます。特に麻疹が医療機関で発生すると、感染経路が空気であることから、膨大な接触者への連絡・対応が求められます。普段からワクチン接種を推進することで、職員の発症を抑制することができるため、医療関連感染対策として必須と心得ましょう。抗体価測定を前提とせず、(1歳以降で)ワクチン2回接種を徹底することです。抗体価の方法や基準の確認、データの管理に膨大な時間と労力が必要になります。入職時に母子手帳など接種歴を確実に確認し、速やかに必要回数の接種をすることで、いつ来るかわからない感染症の準備を進めておきましょう。(表2)
参考】NIID国際感染症研究所ホームページ/厚生労働省ホームページ

こちらから➡
        NIID国際感染症研究所ホームページ
   厚生労働省

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