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達人に訊く!

達人に訊く!下痢による糜爛が生じた時のスキンケア ここがポイント!

投稿日:2020.04.28

下痢による糜爛は、皆さんもしばしば遭遇されることと思います。皮膚のバリア機能が低下しているところへ排泄物が頻回に付着するため、三保のケアが患者には苦痛になることも少なくありません。トータルケアの視点を持ってアセスメントを行い、適切なケア方法を決定していきましょう。
今号ではスキンケアの達人に、下痢による糜爛(びらん)が生じた際のスキンケアで看護師が気を付けなければいけないポイントをお訊きしました。
下痢が続くと皮膚の浸軟によって皮膚のバリア機能が低下し、刺激に弱くなります。皮膚が剥離し、排泄物に含まれる消化液などが皮膚に触れることで痛みも生じます。剥離しているということはいわゆるIADの状態ですが、表皮が剥がれると糜爛になり、神経叢が裸の状態で境界部分に露出されるため、疼痛を生じます。疼痛を緩和するケアを行いましよう。
下痢がおさえられるまでは便に含まれる消化液が皮膚に触れると痛みを生じるため、皮膚用保護被膜剤またはパウダーかパウダーを混ぜた亜鉛華軟膏を塗布し、撥水や吸収など二重・三重にしっかりブロックする必要があります。
パウダーを混ぜると粘性が増すので、舌圧子のようなものでぺたっと塗り、その厚みで被膜の役割を作ります。
最近では創傷用の被膜剤(傷の上から塗布できる被膜剤)も販売されており、1週間程効果が持続します。IADの重症度が高い場合は1週間に2回程度塗布すると効果が高くなる印象があります。これらの処置を行って、糜爛の状態が1週間程で上皮化に近い状態までに改善したケースや治癒が見込まれる程度まで改善したケースを経験しています。
「清潔に管理しているのに糜爛が改善しない」という訴えを聞くことがあります。もしかして、糜爛がある状態の臀部を毎日洗浄していませんか?もし保清の徹底ということでこまめに糜爛状態の皮膚を洗浄していたら、それは誤りです。糜爛を生じている皮膚には薬剤が塗布されていると思いますが、その薬剤を頻繁に洗い流していたら、薬剤を塗布しても効果が持続しません。前述の処置をした後、亜鉛華軟膏+パウダーは剥がれていれば追加、剥がれていなければその上に塗り重ねていきます。薬剤を塗布しているということは皮膚の上から人工的に膜を作っている状態なので、せっかくできた膜を洗浄で取り除いてしまっては逆効果です。
また、亜鉛華軟膏のような薬剤は通常の洗浄では落ちにくいため、擦り落とそうとして皮膚に過度の刺激を与えているかもしれません。除去する際は、皮膚清拭剤等がない場合、油分を含むオリーブオイルやサラダ油で代用します。それらを使用するとラクに汚れが落ちますので、評価時(通常1週間程度)のみ綺麗に洗浄します。それ以外の時は汚れを洗い流した上に重ね塗りをし、軟膏で皮膚を保護しましょう。

【参考】一般社団法人 日本・創傷オストミー・失禁管理学会:IADベストプラクティス(照林社)第1版.第1刷

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