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何ぞやシリーズ第22回 「シンバイオティクス」って何ぞや?

何ぞやシリーズ第22回 「シンバイオティクス」って何ぞや?

投稿日:2020.03.27

2017年に定められた「慢性便秘症診療ガイドライン」では、『本来体外に排泄すべき糞便を十分量かつ快適に排泄できない状態」を便秘と定義しています。
十分な排便量を確保し、腸管の蠕動運動を促進するためには、便の材料となる食事内容に目を向ける必要があります。
体に有益な働きをする善玉菌を増やし腸内環境を改善する、と最近話題の「シンバイオティクス」って何ぞや?

排便ケアはQOL改善の手段

排便ケアは快適な生活環境を左右する大切なケアだ。食べたら出す、っていうのは身体の自然な生理現象だから、「出ない便をいかに出すか」は原因を見極めてそれに合った対応をする個別性の高いケアのはずだ、本来は。なのに何故「3日出なかったら、出さなきゃ!」となるんだろうか。
患者さんの快適な生活のためにこそ、排便周期を把握し適切な時期に気持ち良い排便を促すことが排便ケアだと僕は思うんだ。便を出すということが目的なのではなく、便を出すという手段を用いて、より快適な生活を患者さんに提供すること、と言ったらいいかな。そう考えると、便秘になりにくい環境づくりが大切になってくるよね。便意を起こすための十分な便の量があるか、大腸の蠕動運動が正常に機能しているか、というアセスメントも必要だ。
まずは、気持ち良い排便を促す食べ物の摂り方について考えてみよう。

良い便を作る食べ物

理想的な便の成分は約8割が成分、残りが固形物。だから、便の材料となる食物残渣(食物繊維)を含む食事を十分摂っているかどうかを、もと君に訊いたんですね?
便が大腸に停滞して水分が吸収され硬便になると、さらに出されにくくなる。だから大腸を刺激して蠕動運動を活発にし、便の通過時間を短縮する必要があるよね。そこで登場するのが食物繊維(表1)。
食物繊維摂取量と消化通過時間、便の量は強い相関があることが報告されているんだよ。
ただし、蠕動運動が正常な場合に有効なので、便秘の原因を見極めることが重要だね。
下膳の時、喫食量はチェックしているけど、食物繊維をどのくらい摂れているかまでは意識してなかったわ。
排便日誌をつける時は食事日誌とセットで考えて、栄養科にも協力してもらおうっと!(表2)

何がsyn(一緒)? シンバイオティクス

腸内細菌は、日和見菌・善玉菌・悪玉菌、合わせて100兆個以上も生育しているけど、気持ちよい排便には善玉菌の割合を増やすことが重要なんだね。
生きた善玉菌を摂るプロバイオティクスと、善玉菌を育てる餌になる成分を摂るプレバイオティクスを組み合わせ一緒に摂るからシンバイオティクスというのか~(図)。
これによって腸内環境の改善に最大の効果が現れるんだって。
腸内環境は摂取後3~7日くらいで変化が現れるといわれている。意識的にシンバイオティクスをプラスする事で、腸内環境を整えて気持ちよく食べて出す生活に近づけるということだね。
腸内環境の改善は、病原菌の抑制や免疫機能の改善、向上も期待されているよ。医療現場ではシンバイオティクスは感染防御、炎症抑制などにも効果をあげているんだ。
排便ケアの視点からの食事内容の見通しを、ぜひナース諸君に普及させていってほしいな。
(つづく)
■監修 NPO法人日本コンチネンス協会 会長 西村かおる先生

■参考 西村かおる:排便のコンチネンスの実際
    月刊ナーシングVol.26 №14 2006
   西村かおる:コンチネンスケアに強くなる排泄ケアブック
    学習研究社 2009

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