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達人に訊く!

達人に訊く!浦田ナースは見た! エコーを使った排便ケア ここがポイント!

投稿日:2020.03.26

看護現場で後で遭遇する「便秘」。エコー検査を用いた排便ケアを導入している東葛クリニック病院では、褥瘡回診時に便秘症(特に機能性排便困難)型)の相談も受けており、臨床検査技師と共にエコー検査を行っています。一般的に行われている浣腸や摘便の根拠をふり返る意味でも、排泄ケアの達人にそのポイントをお訊きしました!

一気に注入して肛門から浣腸液がダダ漏れ。そんな浣腸は効果があまり期待できません。

便意はあるものの排泄困難で常に残便感があり、グリセリン浣腸60㎖の指示が出た患者の浣腸を行った時、下部直腸内の浣腸内の流れや便の動き・状態をエコー検査で確認してみました。
皆さんも経験があると思いますが、肛門からグリセリン浣腸のノズルを挿入していくと、便にノズルが刺さり、全量注入しても浣腸液だけが肛門から漏れ出し効果的な排便ケアができていない状況です。
この状態をエコーで確認してみると、注入した浣腸液は直腸内に停滞している便に浸透する間もなく肛門管の方へ逆流し、肛門管の許容量を超えると肛門から漏れ出してきていました。便はノズルの当たっていた部分が少し柔らかくなり少量の排便が見られました。
しかし、直腸内の便は残っているため患者さんは残便感を訴えていました。


これを踏まえて試行錯誤を重ねた結果、グリセリン浣腸120㎖を1/2量ずつ分けて注入する方法に行き着きました。
初めは、約1/2量のグリセリン浣腸液を注入し便を柔らかくさせて自然排便を促し、直腸内に停滞している残便に浣腸液が届くよう、少し時間を後にから残りの浣腸液が届くよう、少し時間を後にから残りの浣腸液を注入し更にこの排泄ケアによって
、頑固な便秘による不快感で頻繁にナースコールされていたこの患者も、週2回の計画排便を実践することができ、ナースコールは激減しました。
このように、排泄ケアにエコーを使うことで下部直腸内の便の貯留状況を評価し、適切な浣腸液の注入量や定期排便をする間隔の目安がわかるため計画的に排便ケアを実践することができます。
エコーの導入如 何に関わらず、重症の便秘に浣腸を行う際は、「便を溶かす」と「排便を促す」の2回に分けて注入する方法は試価値があると思います。

便に触れない=便が下りていない、だから下剤、は正しくないこともあります。

直腸に大量の便塊が蓄積され固まった便を嵌入便といいますが、それ自体は排泄されず、直腸の壁と便塊の間をすり抜けるようにして新しい便が排泄してくるため、気付かれないことも少なくありません。

肛門管(約5㎝)の先にある下部直腸(約20㎝)のギリギリのところにたまっている嵌入便は、直腸診をしても指はほとんど届きませありません。便が指に触れないと「便が下りてきていない」と感覚的に判断されがちです。ここで輸送障害への対処法である大腸刺激性の下剤が処方されてしまうと、上から押し出そうとするので強制的な下痢症状を生じて患者さんに不要な苦痛を与えることにもなりかねません。下部直腸をエコーで観察すると、嵌入便がどの範囲に停滞しているか、挿入している指がどこまで届いているのかが明らかになりまし 。
便の貯留位置や性状をエコーで評価することで、排便困難型便秘症の評価ができ、浣腸、座薬、摘便などのケア方法が有効なのかをアセスメントすることができます。さらに、「触れないじゃあ私がやってみるね」と複数回直腸に指を挿入される患者さんの苦痛軽減につながる上、摘便をする場合は、便に届く指の長さのスタッフが実施すればよいわけです。
トイレ間に合わないと「便失禁」扱いされがちですが、便意を伝える行動が伴わないことが原因では?
高齢者の身体特性と一人ひとりの排便周期を理解・把握して、適切な排便ケア(心地よい排便サポート)を行いましょう。
通常、便が直腸の内圧を上昇させると、脳にその情報が伝達され便意をもよおしますが、高齢になると神経細胞数の減少により、伝達が遅れたり脳の感受性が低下したりします。
肛門の筋力低下により肛門が閉じきれず、開いたまま便が挟まった状態でも、自覚していない方も
少なくありません。皮膚も脆弱になっているので、硬い便の排泄や摘便時の指の挿入で、肛門周囲に亀裂が起きたり出血したりすることもあります。ワセリン等を適量塗布することで、亀裂を防ぐことができます。
認知症状の進行と共に感覚低下や麻痺の悪化も進むと思われるので、認知症高齢者の便秘には、より注意を払うようにしましょう。

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