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地域を支える「在宅創傷スキンケアステーション」
投稿日:2022.09.06
2022年の診療報酬の改定では、専門性の高い看護師による同行訪問について「褥瘡ケアにかかる専門の研修を受けた看護師」として「特定行為研修修了者(創傷管理関連)」が追加されました。
今後ますます質の高い看護が求められると同時に、地域包括ケアシステムの実現に向け、在宅の創傷管理の重要性が求められています。
今回、皮膚・排泄ケア認定看護師であり、褥瘡コンサルティングのトップランナーとして活躍している「在宅創傷スキンケアステーション」の岡部美保先生に、ステーション立ち上げの経緯から現在のご活動、今後の展望を伺いました。
今後ますます質の高い看護が求められると同時に、地域包括ケアシステムの実現に向け、在宅の創傷管理の重要性が求められています。
今回、皮膚・排泄ケア認定看護師であり、褥瘡コンサルティングのトップランナーとして活躍している「在宅創傷スキンケアステーション」の岡部美保先生に、ステーション立ち上げの経緯から現在のご活動、今後の展望を伺いました。
訪問看護管理者からの転機
「在宅創傷スキンケアステーション」立ち上げの経緯とは
私はもともと訪問看護師になりたくて看護師になったほど、在宅看護にに興味がありました。はじめに病院の勤務を経て、念願の在宅看護に従事してから今年で27年目を迎えます。
前職の高崎健康福祉大学訪問看護ステーションは、開設当時は国内でも珍しい学校法人が設立した訪問看護ステーションで、実践、教育、研究をコンセプトに在宅看護の貢献を目的としています。訪問看護管理者として経営や管理業務に加え、新卒訪問看護師の育成、訪問看護事業所支援ステーションの役割、市の委託事業である医療介護連携相談センターの運営など活動は多岐に渡りました。このまま管理者として、地域に貢献し新たな取り組みに挑戦する道もあったと思います。しかし持病の腰椎椎間板ヘルニアの悪化で、一時は階段を上るのもままならない状態となってしまいました。定年まで自分がこの体で何ができるのかと考えた時、これまで行ってきた在宅領域での皮膚・排泄ケア認定看護師としての活動を形にして、在宅看護の質の向上のための恩返しをしたいと強く思いました。
退職後は徐々に事業の準備をするつもりでしたが、ありがたいことに前職をはじめ、コンサルタントとしてかかわった訪問看護ステーションや施設、メーカーの方々から多くのご相談をいただきました。そこで至急活動拠点として「在宅創傷スキンケアステーション」を立ち上げました。
「ケアに悩む訪問看護師を支える」
コンサルタントとしての活動
2007年に皮膚・排泄ケア認定看護師資格を取得し、コンサルテーション業務自体は15年目を迎えました。「在宅創傷スキンケアステーション」では、コンサルテーション(同行訪問・オンライン・電話) 、ケアに悩んでいる訪問・施設看護師への知識・技術の支援、所内研修を中心に活動しています。
現場の訪問看護師さんからの相談内容は、かつての自分の悩みと重なり、その葛藤が痛いほどよくわかります。特に熱心にケアを行う人ほど、褥瘡の治癒が遅延する状況に疲弊してしまいます。もともと訪問看護師は地域で療養する人に対して「医療の視点」 「生活者の視点」から、多面的にアセスメントする力を持っています。ところが褥瘡やストーマ、失禁においては在宅ケアの中心的な役割を担い、責任と判断が要求されるため局所ケアに視点が集中してしまいがちです。
同行訪問ではアセスメントの視野を広げていきますが、相談者である訪問看護師は誠実に療養者と向き合っている方が多く、少しのヒントで自ら答えにたどりつきます。
在宅療養者 ・家族が自分の望む人生を健やかに生ききることができるように
一方、課題と感じているのは、相談のある事業所以外への働きかけです。各事業所で療養者のスキンケアの状況に差があり、改めてスキンケアは看護の質の指標となることを痛感しました。
私一人では限界があるため、今後は専門性の高い看護を提供できる看護師の育成に力を入れたいと考えています。ライフワークである「褥瘡ケアに関する訪問看護師の育成」を目指し、学習ニーズの研究をまとめていく予定です。また、これまで継続的に実施していた訪問看護師などを対象とした研修の開催や訪問看護ステーションへの学術支援を実現したいと思っています。
掲げている理念は「ハートを守るスキンケアからそして、心に希望の灯りと笑顔の花を~」です。
地域の医療・介護従事者、さらにその先の在宅療養者、家族が自分の望む人生を笑顔で健やかに生ききることができるように、スキンケアでつながり、スキンケアを通して在宅看護の質向上に貢献できる支援を行っていきたいです。
(2022年5月10日取材)
在宅創傷スキンケアステーション https://sc-station.jp/
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