ナースマガジン vol.39
達人に訊く!認知症患者のオーラル マネジメントここがポイント!
投稿日:2022.05.09
日本における 65歳以上の認知症の人数は約 600万人(2020年現在)と推計され、2025年には約 700万人(高齢者の約 5人に 1人)が認知症になると予測されています。現在でも看護師は認知症患者と関わることが多々あると思いますが、どのように対応したら良いか困ったり悩んだりした経験のある人は多いのではないでしょうか ?
今回は、数々の施設や訪問先で認知症患者の口腔健康管理に携わっている認定歯科衛生士の桝井えつこ先生に、認知症患者へのオーラルマネジメントについてお話を伺いました。
今回は、数々の施設や訪問先で認知症患者の口腔健康管理に携わっている認定歯科衛生士の桝井えつこ先生に、認知症患者へのオーラルマネジメントについてお話を伺いました。
認知症患者のオーラルマネジメントで大切なこと
自分事のように捉える
認知症患者と関わるうえで一番大切なことは、「自分が患者さんまたはその家族だったらどうするか?どうされたいか?」 と考えてケアをすることです。 それは、 患者の尊厳を守ることにつながります。 さらに自分事のように捉えることで小さな症状や変化に気づけるようにもなります。
認知症患者は、困っているのにうまく説明ができないことがよくあり、「苦しい」と言ったとしても「痛い」「体勢がつらい」と訴えたかったような場合も多くあります。介助者側が本当に言いたいことを探る必要がありますが、先述したように自分事として考えられるだけで、原因や言いたいことが見えてくることがあります。例えば、 自分の歯にさきいかが詰まったら、爪楊枝や歯間ブラシなどで取りたくなると思いますが、それを訴えることもできないのはつらいですよね。そうやって患者が自分、もしくは家族だったらという視点を持っていただくと良いと思います。
認知症の特徴
認知症には種類があり表)、それぞれ特徴がありますので、ケアの方法も変わってきます。ですので、患者がどの種類の認知症かを評価すると、対応方法が予想できます。その他に、患者の生活習慣をご家族へ聞き取りをしたり、キーパーソンを把握することも重要になります。また、患者を尊重し信頼関係を築いていくと、ケアがスムーズに行えたり、本人のできる事が増えていくこともあります。
認知症患者のオーラルマネジメント お悩み別解決のヒント
どの悩みごとでも、まずは原因が何か探りましょう。1つずつ原因を探るのは忙しいなか大変だと思いますが、原因を見つけてしまえば解決の糸口も見つけやすくなります。ヒントとして以下を参考にしてみてください。
その1 :怒る・拒否する
▶ ポジティブな声かけ
「さっぱりしますね」「おいしくごはん食べられますね」など前向きな声かけをし、時には女優になる。
▶ ポジショニングの調整
歯磨きは苦しいと思っている人は意外と多い。呼吸がしやすい姿勢に。
▶ 歯周病菌の理解
バイオフィルムは3日ほどで歯周病原性を発揮するため、その前に口腔ケアで除去することが重要。
▶ キーパーソンやお気に入りのスタッフがいる時に実施
▶ 歯磨きをする姿を見せる
「歯磨きの時間ですね」と歯を磨く姿を見せることで自分もやろうとすることがある。
▶ 回数にこだわらない
歯周病菌の知識のもと、1日1回磨く。
▶ 食べかすだけでも除去
窒息を防ぐ。
「さっぱりしますね」「おいしくごはん食べられますね」など前向きな声かけをし、時には女優になる。
▶ ポジショニングの調整
歯磨きは苦しいと思っている人は意外と多い。呼吸がしやすい姿勢に。
▶ 歯周病菌の理解
バイオフィルムは3日ほどで歯周病原性を発揮するため、その前に口腔ケアで除去することが重要。
▶ キーパーソンやお気に入りのスタッフがいる時に実施
▶ 歯磨きをする姿を見せる
「歯磨きの時間ですね」と歯を磨く姿を見せることで自分もやろうとすることがある。
▶ 回数にこだわらない
歯周病菌の知識のもと、1日1回磨く。
▶ 食べかすだけでも除去
窒息を防ぐ。
その2:うがいの水を飲みこむ・吐き出せない
▶ ポジショニングの調整
肥満などは足を閉じていると前傾が苦しい。骨盤を立てて足を開くことでうがい時に前傾になりやすい。
▶ 空気でブクブクうがいの練習
水を口に含む前に練習する。空気でのうがいで、喉元に唾液が溜まりゴロゴロ聞こえる場合は誤嚥に注意。
▶ 1つのことに集中させるために1 動作ごとに声かけ
人によって「ブクブク」「グチュグチュ」など異なる。
▶ ガーグルベースンは縦に
水の跳ね返りが少ない。また手桶でもOK。口元を覆うことができるので吐き出しやすい。
肥満などは足を閉じていると前傾が苦しい。骨盤を立てて足を開くことでうがい時に前傾になりやすい。
▶ 空気でブクブクうがいの練習
水を口に含む前に練習する。空気でのうがいで、喉元に唾液が溜まりゴロゴロ聞こえる場合は誤嚥に注意。
▶ 1つのことに集中させるために1 動作ごとに声かけ
人によって「ブクブク」「グチュグチュ」など異なる。
▶ ガーグルベースンは縦に
水の跳ね返りが少ない。また手桶でもOK。口元を覆うことができるので吐き出しやすい。
▶ 一口量を調整する
個々の一口量を把握する。過去の経験から水が少なかったり多かったりすると「うがい」という認識ではなくなってしまい飲み込んでしまうことも。
▶ 鼻が当たらないような口が広いコップを使用
上を向きすぎず、誤嚥予防にも。
▶ レビー小体型認知症ではパーキンソン症状が出現する
ため動作のリズムを作る初期からメトロノームや好きな歌で拍子をとる練習をしておく。
▶ 水の温度
人によっての好みや習慣、認知症の進行度合いによっては常温が分かりにくいことも。お湯であれば50度前後まで。
▶ 場所を変える
洗面所や風呂場など。水が流れる音を聞いたり、鏡を見ることで歯磨きとして認識できることがある。
個々の一口量を把握する。過去の経験から水が少なかったり多かったりすると「うがい」という認識ではなくなってしまい飲み込んでしまうことも。
▶ 鼻が当たらないような口が広いコップを使用
上を向きすぎず、誤嚥予防にも。
▶ レビー小体型認知症ではパーキンソン症状が出現する
ため動作のリズムを作る初期からメトロノームや好きな歌で拍子をとる練習をしておく。
▶ 水の温度
人によっての好みや習慣、認知症の進行度合いによっては常温が分かりにくいことも。お湯であれば50度前後まで。
▶ 場所を変える
洗面所や風呂場など。水が流れる音を聞いたり、鏡を見ることで歯磨きとして認識できることがある。
その3:歯ブラシを噛んでしまう
▶ 原始反射の場合
伵反射が起こる部位は最後に磨く。また、口を開けた時に内側を磨き、噛み締めたら外側を磨くなど工夫する。
▶ 前歯は痛点が多いので奥歯からマッサージをするように磨く
▶ 歯肉に触れることで筋緊張がほぐれるので、歯ブラシを当て2~3 呼吸待ち、ほぐれてから動かす
伵反射が起こる部位は最後に磨く。また、口を開けた時に内側を磨き、噛み締めたら外側を磨くなど工夫する。
▶ 前歯は痛点が多いので奥歯からマッサージをするように磨く
▶ 歯肉に触れることで筋緊張がほぐれるので、歯ブラシを当て2~3 呼吸待ち、ほぐれてから動かす
その4:義歯を外してしまう・紛失する・他
▶ 義歯やブリッジなど口に合っていなかったり尖っている箇所がないか確認
▶ 義歯や口腔内に汚染や食べかすが残っていないか確認
▶ 義歯を包まないようティッシュを近くに置かない
ゴミのチェックをしたり、ハンドタオルを渡しておく。
▶ 義歯の置き場を確認できるように張り紙をしておく
▶ 夜は義歯ブラシを用い流水で擦り洗い後、水に浸した容器で保管
義歯入れは、蓋付きの透明な容器を使用し記名する。洗浄剤は、使用説明書通り使用し、災害や誤飲の観点からも、化学熱傷のリスクを考え日中にスタッフが行う。
▶ 義歯や口腔内に汚染や食べかすが残っていないか確認
▶ 義歯を包まないようティッシュを近くに置かない
ゴミのチェックをしたり、ハンドタオルを渡しておく。
▶ 義歯の置き場を確認できるように張り紙をしておく
▶ 夜は義歯ブラシを用い流水で擦り洗い後、水に浸した容器で保管
義歯入れは、蓋付きの透明な容器を使用し記名する。洗浄剤は、使用説明書通り使用し、災害や誤飲の観点からも、化学熱傷のリスクを考え日中にスタッフが行う。
オーラルマネジメントの達人
桝井 えつこ 先生
口腔科学修士
日本歯科衛生士会 認定歯科衛生士
認定分野A(5領域)及び C
日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士
ヘルパー 2 級、介護予防運動指導士
福祉用具専門相談員 など
日本歯科衛生士会 認定歯科衛生士
認定分野A(5領域)及び C
日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士
ヘルパー 2 級、介護予防運動指導士
福祉用具専門相談員 など
「どうしても磨かなきゃ!」と気張りすぎずに、前向きな声かけをしながら、コミュニケーションの一環として笑顔が増えるようなオーラルマネジメントを心がけていきましょう。自分自身も嫌々歯磨きする時と、お出かけ前のわくわくした気持ちの歯磨きは違うと思います。生活の一部として、楽しく歯磨きができるようになると良いですね。口腔の状態を整えることで自尊心が高まったりICF(国際機能分類)に基づく社会参加にも繋がるかと思います。分からないことがあったら小さなことでも専門家に相談してみてください。
⇒義歯の洗浄方法については、『義歯洗浄の手順と注意点』で紹介しています
参考文献
厚生労働省 知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_recog.html
ひもときネット ひもときテキスト改訂版 認知症の理解
https://www.dcnet.gr.jp/retrieve/download/index.php
厚生労働省 知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_recog.html
ひもときネット ひもときテキスト改訂版 認知症の理解
https://www.dcnet.gr.jp/retrieve/download/index.php
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